10,読む力を育てる

【読む力を育てる】

学校に通うようになると、ついに「読む力」が出てきます。

ところが、読む力とはひとつではないのです。

まずはそれを分類してみます。

1、音読する力

声に出して読めるかどうかです。これは、

「はじめて見る文章でもすらすら読める」レベルが目標です。

2、漢字の読みの知識

どれだけ漢字が読めるか、ということです。

目標レベルは「たくさん読めるにこしたことはない」と

言ったところです。最低でもその学年の漢字は

カンペキにしておきたいところです。

3、気持ちを込めて読む力

特に物語の音読では大切です。しかしながら、

テストの時にはあまり重要視されません。

だからといって捨てていいわけではなく、

物語の登場人物の気持ちを考えなければならないので、

自然と「人の気持ちを考える力」が身につきます。

目標レベルは特にありませんが、そのかわり

普段から心がけて読むことが大切です。

4、内容を理解する力

ここまではただ、字を声に出して読めばいいだけでした。

しかしこれは、「読み取る」力なのです。

これがあれば学校の勉強は手にとるようにわかります。

目標レベルは、「文章の内容を説明できるレベル」です。

最も難しいのは4番目。しかし、一番最初にはじめるのは

やはり1番目の音読練習からです。そして、

これらはバランスよく伸ばしていく必要があります。

このコラムでは、そのための方法をひとつひとつ解説していきます。

国語は本当に大切なんです。教える側として痛感します。

今回はまず最初の「音読する力」についてお話しします。

音読とはいっても、実はこれ、奥が深いんです。

これについて詳しく解説しているとかなり長くなりますので、

ここではポイントだけにとどめておきます。

音読のポイントは次のとおりです。

・とにかく毎日読むこと。

・正しい姿勢で読むこと。

・発音に気をつけて読むこと。

まずは、練習は原則として毎日おこなってください。

1日5分でも続けていくと効果が出てきます。

ただし、イヤにならないように、やらせすぎには注意してください。

姿勢も大切です。というより、曲がった姿勢だと

あまり声は出ないのです。特に低学年のうちに

正しい姿勢をつくっておくことは重要です。

そして、発音には気をつける必要があります。

ひらがなのひとつひとつをはっきりと発音します。

唇がしっかり動くことが大事です。

発音がよいと、対人関係においても有利ですよ。

なお、お子さまが小さいうちは

まず大人の方が読んであげて、そのあとに

読ませる形で練習すると上達が早いです。

これらの練習を長く続けて、

「はじめて見る文章でも漢字以外はきちんと読める」

という状態をつくりだしてください。とにかく、

字を読むことに慣れておくことが第一段階での目標です。

音読は、実は脳の全体を使用して行われます。

ということはつまり、音読をすれば、脳が活性化されるのです。

脳が鍛えられていれば、計算も速くなるし、理解も深まるし、

記憶もしやすくなります。そして何より、将来に役立ちます。

音読や、かんたんな計算は脳の活性化には持ってこいなのです。

ですから学校でも、授業のはじめに音読や計算を

ウォーミングアップとして採り入れているところが多くなっています。

ぜひ、このような活性化につながる学習を

毎日行うとよいでしょう。

さて、音読するときの教材の選び方ですが、

下記を参考に選んでみてください。

・音読が苦手な人、学校の授業についていけない人

今使っている教科書か、一学年前の教科書を

読んでいきましょう。

・今使っている教科書は読めるという人

少し難しめの文章にチャレンジしていきましょう。

大人が読むような文章でも、読みがながふってあれば

さほど苦労はせずにすみます。私の塾では、

漢文や古文なども練習させていますが、

珍しい文章を目の前に、おもしろがって読んでいます。

練習は、嫌がっていたら早めにきりあげるくらいの

軽い気持ちで継続するとよいでしょう。

「はじめて見る文章でもすらすら読める」状態を

目指してがんばってみてください。

音読の話は以上です。

しかし音読にはひとつだけ課題が残ります。

それは漢字の読みです。

「ひらがなはすらすら読めるが、いつも漢字でつっかかる」

こういうお子さんはなかなか多くみられます。

これを克服できるかどうかが、上に行けるかどうかの分かれ道です。

漢字が読めないと、教科書が読めません。

そうなると、理解することを先生の説明に頼るしかありません。

漢字が読めないことは、ありえないくらい不利なことなのです。

これも毎日の学習が基本になります。

書けなくてもいいから、まず読めることが大事です。

その際、できれば意味も覚えるといいでしょう。

意味を覚えるには、以下のようなやり方が有効です。

例えば、「勤務」という言葉。

まずは意味と例文をこちらから言います。

「勤務というのは働くこと。

今日の勤務時間は9時から夕方の5時だ」

そのあとに、お子さんに例文をつくらせます。

先に意味だけを伝えて例文をつくらせると、

「トラックの運転手は勤務だった」のように、

時々へんてこな文章ができてしまうので遠回りになります。

このような学習を行うには、

市販の教材などがあるとやりやすいでしょう。

当フォーラムで取り扱っている「コンフー育成キット」にも

そのための教材はあります。(熟語のみですが)

お子さんが、どの部分の「読みの力」が足りないのかを

まずはつかみましょう。そうすれば、

何を学べばいいのかが分かってきます。

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