7,数学は暗記科目か?
【数学は暗記科目か?】
「数学は暗記科目である」ということについて。
数学を暗記でやっていこうとすれば、確かに数学は暗記科目になります。
前回の続きですが、
「教科書などに載っていない、テストの時にはじめて顔を合わせる問題」は
どう対処すればいいかについて、お話しいたします。
結論から言ってしまうと、「実力で解け」です。
当たり前のことですが、実はこれが一番難しい。
そして、これができたらもう算数・数学は恐くない。
むしろ、楽しい教科に変わっていきます。
いい点数をとったり、計算がさらっとできることは
確かに嬉しいことです。やる気にもつながるでしょう。
しかしながら、数学の本当の楽しさ、真髄は
自分で論理的に考えて正しい答えを出すことにあると思います。
そしてそれには、自分の力で考える力が求められます。
これが身に付いていけば、未知の問題に出会っても
何とかして解くことができます。
数学を暗記科目としてとらえるなら、多量の問題を解き、
考えるよりも解答解説を見て解き方を覚えればそれで済みます。
最短距離で今すぐ点数をアップさせたいなら、この作戦が最も有効です。
けれど。
教育の目的はただ点数をとることだけではないはずです。
大事なのは、点数を得るために努力する中で、数々の力や
その他大切なことを学んでいくことです。
暗記科目としてとらえ、暗記で数学をやっていけば、
点数は上がるかも知れませんが、そのかわりに
思考力の伸びと、先述した数学の楽しさを知るという効果は
薄くなってしまいます。私は、それらを犠牲にしてまで
点数を得ることがよいとは思いません。
遠回りでもいいから、王道を行って欲しいです。
また、暗記のもうひとつの欠点ですが、
「ちょっとひねった問題に弱い」ことです。
昔、数学の苦手な子に
「リンゴ3個とミカン2個を買ったら800円だった」
というのを、3x+2y=800というふうに暗記させましたが、
学校で「リンゴ4個とミカン3個を買い、1000円払ったら
おつりは120円だった」という問題が出たら、
まるでわけがわからなくなってしまったということがありました。
私が実際に生徒を指導するときですが、
数学が苦手な子には最初はまず答えを見せます。
そして、なぜそうなるかの理由を説明します。
「ノーヒントで解いてごらん」というのが
通用するのは、ある程度の思考力がある人です。
こういう人たちは、「これこれこうだから、こうなって・・・」と
自分で論理的に考えて解いていきます。
大多数の、思考力があまり鍛えられていない人達。
そんな人達には、「理由を説明させる」という方法が有効です。
解き方をただ覚えるのではなく、理由を理解させ覚え込ませる。
そして今度は自分で解き方を説明させる。
これが解き方を覚えながら、思考力もつけられる方法です。
そんなわけで、数学の問題集を解くときには、
とにかく「どうしてそうなるのか?」に注目してください。
答えよりも式が大切。そして式よりも考え方が大切です。
あとはできるだけ多くの問題を解き、経験を積んでいく。
それが有効な方法です。
もっとも、思考力がはじめからついていれば、数学はかなり得意になれます。
(思考力もコンフーのひとつです。)
思考力を普段から鍛えておく方法については、また次回にお伝えします。
最後に、算数・数学の成長の順序についてまとめておきます。
1,まずは計算力を徹底的に鍛える。
2,教科書やドリルにある問題を何度も解いて解き方を覚える。
3,慣れてきたら、解き方をただ覚えるだけでなく、
どうしてそうなるのかを考え、説明するようにしていく。
4,あとはそれを繰り返し思考力をつけていく。