第4章 ハイテクITが分からん(言葉編)

機械語が分からん

いまどきホームページを開設しても、ほお、あなたもやっとホームレスじゃなくなりましたかと、おちょくられかねない。

だが、キャットもスプーンも、IT、ア痛てー、逢いてえ、愛茶と、日常生活に入りこんできて、困ったもんである。

電話代わりのコンピュター使うやり取りばかりじゃなくて、あれもこれもと電子情報使った機械が身近に出てきて、困らせる。

まず、駅の切符売りが愛茶になって、自動販売機に向かうと、あれこれ操作の注文が多い。注文の多い切符売りである。「東京駅」と一言いえば、さっと切符と釣り銭が出てきた無愛茶時代の昔が懐かしい。

バスに乗ってもカードで決済だから愛茶である。ところが,鎌倉に住んでいた頃、市内の京急バスにITが入った。「カード型料金支払い機」ってやつで、初めのころは機械でしゃべる姉ちゃんが、珍妙なる言葉を使った。

カード支払い時に料金が残金が不足していると、女の声でこうしゃべる。

「このカードは料金不足です。何等かのお支払い方法をご申告下さい」

いかがです、「何等かの」ですよ、「お支払方法」ですよ、「ご申告」ですよ。

たかが百円程度のことで、申告書を書いて、はんこ押して、社長の決済とって、支払うんですか、といやみのひとつもいいたくなる。

いかにも役所的な言葉つかいですねえ、誰が教えたんだろう。

どうして、「バス代が足りません。追加して払ってください」と、簡単に言えないのかなあ。

ついでに、なんでバス会社ごとにカードの入れ方が違う機械なんだよ、乗るごとにおたおたするぞ。バス愛好者は頭に来る。

日本語の言葉づかいもろくに知らないIT屋に任せておくと、これからバスにも電車にも乗れなくなって、どうなるものか分かったもんではない。

ここは分別ある高齢者がたちあがって、愛茶社会を牛耳る必要がありそうだ。

AED語が分からん

AEDなる器械の講習会に参加した。なんでも、道端に人が倒れて意識不明なら、これを使って生き返らせる器械らしい。

日本語ではなんとかかんとかジョサイドウなんとかかんとかというらしいが、覚えられない。

A安心E延命D電撃器としておこう。

さて、道端に人が倒れているとしよう。

「あっ、人が倒れている、人工呼吸だ、」くらいは、私も頭では知っているが、まず心臓マッサージをやれという。胸を間歇的に押すのだが、けっこう力が要る仕事である。

マッサージしながら野次馬にこういうのだ、

「あなたっ、見てないでスグ119番して救急車呼んでッ、そっちの人ッ、AEDを探して持ってきてッ」

AEDってのを近頃は学校や公的施設などにはおいてあるのだそうだ。

まあ、それを探して持ってきた人がいるとして、次はそれを使うのであるが、講師の消防署員がいうには、

「器械のしゃべる通りにすれば分かります」

AEDって機械は、表面にタッチボタンがいくつもついているノートPCくらいの大きさで、ほかに電線がぶらさがる2枚の手のひら大の小判型粘着シートもある。

器械がしゃべる。

「パッドをコネクターでセツゾクしてください」

パッドって?、コネクターって?、セツゾクって?

消防署員に聞けば、パッドとはその小判型の粘着シートのことで、コネクターとはそれにぶら下がる電線のことで、セツゾクとは電線の端っこを器械のボタンが点滅しているところに差し込むことだそうだ。

じゃあ、なんで「電線の端っこを灯りがついているところに差し込んでください」って言わないのか?

次に器械がまたしゃべる。

「パッドをカンジャにソウチャクしてください」

エッ?、また聞けば、カンジャとは倒れている人のことで患者らしいし、ソウチャクとは1枚を右肩に、もう1枚を左横腹にはりつけることだそうだ。なるほど、小判型シートに、それを貼り付ける位置の絵が描いてある。

患者って、病院にいる人のことで、道端に倒れている人を患者って言うかしら、。

ソウチャクとは装着らしいが、背中に肩こりの貼り薬を装着してくれ、なんて言うか?

この器械は、なんで普通の日本語でしゃべらないのか?

どうやらこれもPCのマニュアルみたいに、おバカ技術者が直訳したんだろう。困ったもんだ。

まあ、そうやってまた声にしたがって点滅するボタンを押せば、貼り付けた2枚のシートの間に電気が流れて、止まりそうな心臓をビリビリドカン電撃一発!、失神からビックリ起こす、1回で起きなければ何回も繰り返すのだそうだ。

なんだか乱暴な。

で、そのAEDはひとりの人に専用に使うのだそうだ。こっちが生き返ったから次はそっちだと、数人にひとつのAEDを使いまわしてはいけないのだって。

となると、例えば道端にわたしと若い美女とが倒れていたとする。もちろん偶然に通りがかりで、え~と、そう、突然雷が落ちてきたのだ。

さて、そこにAEDがひとつしかないとなると、う~ん、わたしの助かる確率はかなり低いなあ。

AあなたをE選ぶ(選ばない)D電撃器ってか、。

無礼な電話屋

電話屋のNTTから「ひかり電話ルータの不具合に関するお詫びとバージョンアップのお願い」なんて長たらしい郵便が来た。

ルータってなんだ、バージョンアップったあなんのことだ、日本語で言えよ。

要するに、NTTが売った電話機と電話線をつなぐ機械(これをルータというらしい)が欠陥商品と分かったので、買った客が自分で治せ、というのである。

そりゃないでしょ、欠陥商品なら治しに来るか、欠陥のないルータを持って取替えに来るのが、世の常識だろうよ。

治し方を書いてあったので治したけど、来た文書を読み電話機に取り付いて治しおわるまでに20分はかかったぞ、それに加えて本当に治ったか確認のために天気予報にかけたから、その人件費と諸経費と通話料はどうしてくれるんだよ。

そりゃまあ、たいした金額じゃないけど、でも100円くらいになるだろうよ(時給300円か、安いな)。光電話加入が何件あるか知らないけど、仮に100万件なら合計1億円だぞ。そんだけNTTは自分が原因の損失を免れて、消費者に負担をかけたのである。

わたしの場合は一番簡単なやり方で治ったけど、それで治らなかったらという方法の、ひかり電話サイトにPCをつかって入ってやることになったら、もっともっと時間がかかるはずだ。

お詫びとは言いつつ、こっちで治すのが当然の言い方、誰でもこれくらいは知っているみたいなカタカナ用語(ルータ、バージョンアップ、ファームウェア、プログラム、アラーム、INIT,CONFIG)、とにかくそれが気に食わない。

「バージョンアップを行ないます」なんて、いかにも性能を高くするのをタダでやらせてやるみたいな言い方だが、要するに欠陥の修理である。「修理を致しますので、お手を貸してください」と言いなさいよ。

コンピューター関係業者も礼儀知らずだけど、電話屋も無礼である。

それにしても、買ってから6年9ヶ月経ったら、電話が自分で死んでしまうんだってさ、、バッカみたい。

多分、この光電話を始めてから今頃が6年9ヶ月なんだろう、どこかでうんともスーとも言わない電話になってしまって、どうしたんだよって文句が出て、おやそうなのかってはじめて「ファームウェア(機器のプログラム)の不具合があり」って、欠陥商品だったことが分かったのだろう。

この次はどんな欠陥が出て、どんな修理のご指示をいただくのか、タノシミである。

あ、そうだ、これからは何か間違ってたら、ではバージョンアップします、って言おうっと。

コンピューターは東北弁

マッキントッシュのコンピューターを、ずいぶん昔にはじめてコンピューターを始めた頃に使っていた。2年くらいでウィンドウズに買い換えたが、いまでもマックへのある種の郷愁みたいなものがある。

なにしろMACのほうがデザインが格段によいから、格好よさにあこがれる。

その後の長いWIN使いで慣れきってしまったし、MACも昔とはずいぶん違うから、いまさら戻れない。

それでも未練がましく、MACサイトでWINからの乗換えなんて動画を見ていたら、その解説の日本語のイントネーションに耳が引っかかった。

こういうのは多分標準語でしゃべるはずだろうが、コンピューターだから当然に日本語に翻訳できない?単語のカタカナ語だらけである。

もちろん英語だから、その元のイントネーションがあるはずだが、MAC解説者のしゃべるのと違う。まあ、違ってもよいのだが、それがどういうわけか尻あがり発音になるのである。そういえば、日常聞くそれらも変なものがある。

ファイルゥ、フォルダァ、メールゥ、ドックゥ、アドレスゥ、ワードォ、ブログゥ、コメントォ、ウェッブゥ、ツールゥ、アドレスゥ、プリンタァ、グーグルゥ、サーバァ、データァ、フォントォ、モデムゥ、ルータァなどみんなそうである。 元のアクセントは、ファイルのように前にあるはずなのに、なぜか尻あがりである。

外来語発音に標準語があるわけはないから、元のアクセントに倣うイントネーション発音してもなにも問題ないし、RとLの区別じゃないから日本人にも発音できそうなものを、どうしてだろうか。

で、わたしが思うに、北関東や東北地方では尻あがりイントネーションが多いので、その方面の出身者が多い東京あたりでつくる解説ビデオでは、外来語発音も東北弁傾向になるに違いない。

これが関西弁傾向だと、多分、尻下がりになるのだろうが、どうなのか大阪あたりの人に聞いてみたい。

メイルマガジンを講読?

これは本当にあった話である。ちょっとアレンジして書きます。

私が参加しているある会から来たメイル(A)と、それへのわたしの返事(D)のやりとり。

(A)このたび本会では会員にメールマガジンを発行しますので、講読してください。

(D)はい、購読なら有料でしょうから、購読料はいくらでしょうか。

(A)貝ヘンの「購読」ではなく、ゴンベンの「講読」ですから、無料です。

(D)「購読」のお書き間違いと思いましたので、お尋ねしました。失礼をお詫びします。しかし「講読」とは、それを読みながら講義をすることですから、そのマガジンは「講読」するほどのレベルの高い内容なのですね。それが無料ならば喜んで配信を受けましょう。

(A)「講読」とは、インタネット慣用語で無料購読のことをいいます。

こんなやり取りをしたが、ほんとうにそうなんですか?

インタネットエキスプローラーの昔のヴァージョンのツールバーに、「購読」というのがあった覚えがある。わたしは何かを買わされるのだと思って「購読」をクリックしなかったが、あれはここで言う「講読」のことだったのだろうか。そのうちに「お気に入り」に変わった。

ところが「RSS購読」というのがいまだに生きている。わたしはRSSには近寄らないようにしている。

これだけパーソナルコンピューターが普及したのに、まだまだ変なコンピュータ語が使われている。

わけわからぬカタカナも困るが、なまじっか日本語モドキであるので、違う意味になるからなおさらに困る。

今日も今日とて、新しく買い入れたコンピューターを飼いならすために、あれこれとソフトウェア・ハードウェアのマニュアルを読んでいるのだが、あいもかわらぬアホバカ翻訳日本語モドキである。

さすがに1970年代末のワードプロセサー初期よりはよくなっているが、あのころが悪すぎたのだ。

コンピューター技術者は、外国語のソフトウェアーを正しい日本語で、わかる言葉づかいに翻訳し、理解しやすいプレゼンテイションをできるように、「教養」を身につけてもらいたいものである。

WEBサイトを聴く

「ひとみ」と名づけた視覚障害者用の電動車椅子がある。

コンピュターを乗っけた電動車いすに、あらかじめ走行経路を教えておけば、自走して視覚障害者をつれて歩いてくれるのである。わが畏友の山梨大学の森 英雄教授が開発した。

このハイテク電動車椅子の普及のための、「ひとみ」WEBサイト作りを手伝っている。

なにしろ眼の見えない視覚障害者を対象とするWEBサイトだから、このサイトの読者は眼で読むのではない。

テキストを読み上げるコンピューター用のソフトウェアを使って、文字を音声に変え、読者ではなく聴者となってそれを聴くのだ。

これまでは見て読むことを当たり前に考えて、自分のウェブサイト「まちもり通信」を作ってきたのだが、こんどは読み上げて聴くサイトとなると、ずいぶん勝手が違うことに気がついた。

同音同義語、漢語の羅列、助詞の省略、長文の文節、主語の省略などなど、見て読めば当然に分かることとして書いてきた文章ではいけないのである。

人間が読んでいるのを聴く場合は、聴いて分からないならその場で質問すればよいし、読み上げる人も気を利かせて言い替えなどしてくれるだろう。

ところが読み上げソフトウェアとなると、そうは気が利かないだろうし、聴くほうにお構いなしにどんどんと読みあげて進むだろう。

じつはそのソフトウェアが高価なので、わたしは導入できていないのだが、書いては自分で声を出して読みながら訂正し、それを協力者の視覚障害の方に送って、読み上げソフトを使って聴いてもらう。問題あれば教えてくださるので直すのだ。

機械に読み上げられることを前提に書かなければならないのは、それなりに気を使うのであるが、考えてみると普通に文章を書くときにもそうする習慣をつければよいのである。

わざわざ眼で読まなければ分からないような文章を書くほうが、そもそも間違っていると思うようになった。

グーグル語?

グーグルが「日本語入力」という、PCで日本語を書くソフトウェアーを無料提供している。

ダウンロードの最初のページに「豊富な語彙 WEBで使われている膨大な用語をカバーしています」とある。検索能力を生かしてWEB上にある言葉を、キーボード打ち込みを日本語に変換するときに取り込むらしい。多分、使用頻度順の高い順に変換するだろう。

問題は、猫杓子ブログ時代だから、間違いだらけの猫杓子語が横行する。

でもそれが間違い言葉かどうかグーグル検索は判断をしないから、世に間違い言葉書き込みが多くなると、多数決でどんどん間違いが横行して、言葉は変わっていく。

このことについて先日の朝日新聞の日曜版に載っていたのは、「喧々囂々」(うるさいこと)と「侃々諤々」(各自固執すること)をごっちゃにした「喧々諤々」(あれ、IMEでこれが出てきたぞ、おかしいなあ)がグーグル辞書に登場する事例をとりあげて、グーグル日本語入力ソフト導入には注意せよとあった。

たしかにケンケンガクガクっていいそうだなあ、でも辞書には載せてないだろうって思い、ためしに広辞苑で「喧々諤々」をひくと次のようにある。

けんけん‐がくがく【喧喧諤諤】(「喧喧囂囂(ケンケンゴウゴウ)」と「侃侃諤諤(カンカナガクガク)」とが混交して出来た語) 多くの人がいろいろな意見を出し、収拾がつかない程に騒がしいさま。「―として議長の声も聞こえない」

おやおや、間違い語のままに辞書に載ってしまっている。IMEにもあるのだから、これじゃあグーグルにケチをつけられないなあ、朝日さん。

こうやって言葉は変わっていくのだ。

つまり検索技術が上達すればするほど、実は衆愚検索、いや、集愚検索となる可能性を持っている。こここそ検閲が必要だろうが、言葉を検閲をすると次は内容の検閲をしたくなるか、、う~む、。

IT語辞書をつくったぞ

・アナログ【穴魯愚】:いまだに昔のTV受像機で見ている人を「あな魯愚なるかな」とあざける。反対語「出痔樽」

・インターネット:内部の網のこと。インターチェンジあたりで網を張ってスピード違反を捕まえること。どうでもいいことを伝え合うこと。

・ウェブサイト:サーフィン場、波止場

・お気に入り:なんでここだけくだけた言い方になるんだよ、だったら検索は「お探しもの」、「挿入」は「はめこみ」、「移動」は「お引っ越し」とか言えよ。

・ケータイ:懐中式電子情報交換無線装置

・クラウド:雲行き怪しいIT業界のこと

・サーバー【魚~青↑】(鯖を引き伸ばしたイントネーションのつもり。IT語は東北弁イントネーションで発音するものらしい)コーヒーサーバーみたいにコンピュータに間違い言葉をサービスする機械のこと

・サイト【斉藤↑】(尻あがりに東北弁風に発音)電網のなかのどこかの場所のことらしいが、一般にホームページと混同している。斉藤さんが発明したのでそのなを取って発音する。波止場と同じ。

・2チャンネル:うちのアナログTV受像機ではここにBS2を設定した

・ネット【熱湯↑】(尻あがりに東北弁風に発音)網のこと。この網をつかってどうでもいいことを伝え合うのがインターネット

・サムネイル:親指の爪。クリックすると全然違う絵が出てくることが多い。

・ソフトウェア:柔らかい着物のこと

・チデジ【血出痔↑】:地上で出痔樽放送するので、テレビ受像機を買い換えなければならなくなって、家計に赤血が出て痔になること。

・データ【出~たっ↑】(尻あがりに東北弁風に発音):PCの中でどこに行ったか分からないデータがタマタマ見つかると「出た~っ」と喜ぶ。

・ディスク【でぃ掬う↑】(尻あがりに東北弁風に発音)要するに円盤のことだろ

・デジタル【出痔樽】:「血出痔」を見よ。反対語「穴魯愚」

・トラックバック:荷物自動車が後退すること

・ハードウェア:硬い着物のこと

・ブックマーク:本印

・ブリーフケース:下着パンツ入れ

・ブロードバンド:下らぬものでもどんどん結んでしまう幅の広い帯

・ブログ【風呂愚↑】:風呂の中の屁のごとく愚にもつかぬことをだらだら垂れることblog

・ヘルプ:読んでも分からず、ちっとも助からないのでOh Help!

・マナーモード:エケチットモード(これが分かる人は年寄りだな)

・メール【眼選る↑】(尻あがりに東北弁風に発音)猫も杓子も文章書きになって、ちょっとは本も読むようになるかと思ったけど、書いてる内容がアホだからそうはならなかった。

・ユビキタス【指切ったス、湯引き足す】:指を切ること。Ubiquitous

・ワード【和~銅↑】:余計なおせっかい世話焼きソフトウェア

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