第3章 ハイテクITが分からん(業界編)

ユーザーを奴隷扱い

新しく買ってきたコンピューターの類の設定とか立ち上げは、どうしてあれほどうまくいかないのか。

アプリケーションをなんとかして使えるようにするのに、取り掛かってから気がつけば2時間も3時間もたっている。

だいたい、その解説書もヘルプも、書いてある日本語が翻訳者の頭の悪さ丸出しでたらめで、読んでも分からない。クイズを解いてるんじゃないんだよ。

そうやって悪戦苦闘の末やっと使えるようになったとしても、要するにやっと出発点に立っただけで、それからが仕事なのである。それまでの苦労はなーんにも成果がない。それまではマイナスをゼロにする仕事をせっせとやらされていたのであり、それをやらせたコンピュータ屋が言うには(多分)、お前のやり方がまずいんだよ、とて、なーんにも補償してくれない。

こんな悪習慣を世間はどうして黙って許しているのか?

例えばですよ、本を買ってきて、読みはじめるまでに2時間も3時間もかからないと表紙が開かない仕掛けになっているなんて、あーた、考えられますか?

実は、携帯電話を買って1ヶ月たっても、そいつとMOBILE PCがいまだに交尾に成功しないんだよなー、くそっ。

ちょっとは態度が変わったかMS

PCを買い換えてWIN98からWINXPにしたときのことである。

こんどはちょっとは馬鹿言葉がなくなったなかあと思っていると、やっぱりでてきたでてきた。

WIN98で頭にきていたことは、フリーズしたり変になると、「お前が不正なことしたからだぞ、こんどからきをつけろー、、」みたいな言い方で、自分が故障したのをこっちのせいにするヤツである。しかも「不正」行為なんて、まったくもって言葉知らずの失礼きわまるやつである。

それがXPになったら、「すみません、間違えましたので、やり直してください、、」みたいな文章に変わった。おお、よしよし、ちょっとは分かってきたか。

で、そのあとに続いて、「この故障をマイクロソフトに通知してくれ、、」なんていうのだ。で、それをクリックすると電話回線にはいってインターネットに自動的につながる。

おいおい、ちょっと待ってくれ、その通信費、電話代は誰が払うんだよ。

そっちの欠陥のせいを、費用こっち持ちで教えろとは、なんとまあ虫のよいこと。

え、その通信費なんて安いもんだっていうのですか、なにをおっしゃる、世界中の故障ユーザー何億人もが負担するのですよ、何十億円になるかしら、。

これ本当は、全部メーカー側で負担するべきでしょ。

最近は、売ったXPだかなんだかソフトに不具合が出ることが分かって、そこを直したから、インタネットでアクセスして修正用ソフトをダウンロードせよといってくる。その数がめったやたらに多いのである。

おいおい、欠陥商品を売っておいて、買い手が交通費負担して修繕用具を取りにこい、それ使って買い手が自分で手間ひまかけて修理せよって、そんな馬鹿なことが通じるのが、ITの世界なんですか、え?

モデルチェンジで稼ぐ

こんどはウィンドウズ7だってさ、マイクロソフトのOSだそうである。

ついこの間、VISTAなんてのが出たような気がするのに、またかよ。

えーと、95、98、ME、2000、XP、VISTAと来て7つめだからセブンなのか、。平均2年に1回のモデルチェンジであるな、MSさんもえげつない商売に励んでいることよ。

ま、わたしは今のXPで結構ですので、関係ないけどね。もっとも、その前に98もMeも買っちまったのが癪である。

そうしたらMachintoschもモデルチェンジだって。iPhoneのことである。Macもモデルチェンジで稼ぐのだ。

そういえばiPodが初めて出て、すぐにiPod miniが出たので、喜んで買った。結構便利にしていたが、その後なんだか色々なiPodが出てきて、miniはまるで時代遅れ廃棄物扱いになってしまった。付属部品なんか廃止になって売っていないのである。 しょうがないからわたしは今は使っていない。

でも、わがPCもいつか寿命がくる。自分の寿命が先に終わるかもしれないが、今のところ多分PCのほうが短命だろう。

そうしたら買い換えるときに、XPがまだあるかどうかが問題となる。

いっそのことMACに戻るかとも考えるが、MACからMSに転向して長いから、昔のMACと違うので覚えるのが大変だよなあ。

いや、まてよ、先日VISTAにちょっと触ったが、XPとはとんでもない大違いで、面食らって早々に退散したのだった。

だから、MSの新OSに乗り換えようが、MACに乗り換えようが、面食らうのは同じだろうから、これはまたMACにするかなあ、。

でもなあ、どっちにしても新しいOSの操作に慣れるまでとか、愛用するソフトウェアのインストールとかの面倒なことといったら、あれほど馬鹿らしいことは無い。

だって、その作業には何も創造的なことは無くて、わかったとき、インストール終わったときがゼロからの出発点であり、それまではせっせとマイナスの作業ばかりやらされるのだ。

まあ、ボケ防止にはなるか、いや、腹がたって頭に血が上り、脳梗塞とかでボケが進行するかも、、。

欠陥IT商品の責任

官庁の諸手続きを、コンピューターからインタネットつかってできるように、電子化システムを各官庁が整えてきた。

ところがなんとまあ、その利用率がぼろくそに悪いとマスメディアが伝える。システムの開発費と維持費ばかりかかって、利用者1件あたり数万円もかかっている計算になるものもあるという。

そりゃそうだろう、例えば、わたしだって所得税の確定申告で、その電子システムでやろうとしたが、まず認証のめんどくささでひっかってやめた。

計算システムだけ利用して、紙に印刷して郵送しているのである。要するに使い勝手があまりに悪いので、紙で届けるほうが楽なのである。

ほかも同じだろうが、なんでそんなに利用率が低いか、それはコンピューターの普及とかではなくて、やってみればわかるが、システム利用案内の日本語が分からないのである。

これもこの本の中でもあちこちで言っているが、、日本語をろくに知らないらしいITバカ技術者が作るからである。あるいはバカ翻訳するからだろう。

そんなシステムを買う官庁も官庁である。買う前に市民に利用の実験してみればすぐにそのバカさ加減が分かることである。

マスメディアは、役所が無駄使いしてけしからんて論調だけど、これははっきり言ってIT業者が欠陥商品を納入したのである。使えないものは欠陥商品である。

たとえて言えば公共施設として劇場を建てたとしよう。先ずそこを使うには鍵を開けて入らなければならないが、これが面倒くさい手続きを要求するから、嫌になって使うのをやめるのである。

たとえ鍵を開けたとしても、こんどは中の部屋や設備の使い方の案内書がなんて書いてるか分からないのである。たとえ使えても、その面倒なことおびただしい。

というわけで、使えないもの、つまり欠陥商品を売りつけたのである。

素人をだまして、高い金を取ってつくり、維持費も独占的に高い金を取って、要するにこの件でボロもうけしたのはIT業者で、大損をしたのは税金を納めた市民である。

そこをマスメディアはなぜ追求しないのか、メーカーやソフト業者の責任をなぜ言わないのか不思議である。

欠陥建物ならすぐ設計者や建設業者をどうのこうのというのに、お前等おかしいぞ。

思い出せば、IT立国なんてのを唱えた当時の森喜郎首相は、どうみてもITと程遠いお顔の方であった。IT業界を税金で儲けさせたのであったか。

やっぱりマッチポンプか

「もしかしたらウィルスはウィルス駆除ソフト制作会社がつくっているのかも、、だってそれが儲かるいちばんの早道だもん、これをマッチ・ポンプと言うが、まさかね。」

そんなことをずっと思っていた。その「まさかね」が起きた。

ここで知らない人がいるといけないから解説すると、マッチポンプとは、自分でマッチで火をつけて、自分で消防ポンプ車を呼ぶことである。

新聞によると2005年4月23日にウイルス駆除ソフトウェアのアップデートソフトが原因で、コンピューター障害が世界中に起きたというのだ。

リリース前に検査をしなかったのが原因だと製造配給元はいっているそうだが、実態はコンピューターウィルス駆除ソフトを偽装したウィルスソフトをばら撒いたのと同じである。

幸いにもわたしはこれに引っかからなかったが、それはその高価なソフトウェアを買う金がないので、ほかの安物を入れているからにすぎない。

ところで、これによって被害をこうむった人たちに、製造配給元はどうやって補償をするのだろうか。企業活動被害は巨額だろうし、世界中のそれを足すと膨大な額となるはずである。

それとも、そのソフトウェア使用許諾条件に「このソフトウェアによる被害については一切の補償をしません」なんて書いてあるのだろうか。

新聞に出していたお詫び広告にも、できる限りの対策をとるとは書いているが、被害補償するとはない。

いつもソフトウェア取り入れるときに、あの長たらしい許諾条件の文が出てくる。これをまじめに読んだ上で「承諾クリック」をしている人が世の中にどれくらいいるだろうか。

わたしは読むことはまったくないのが実情だけど、たいていの人がそうだろう。

もしかしたらあそこに、「これを使うと1億円支払うことを承諾する」って書いてあるかもしれないなあ、、おお、怖い。

ま、これは公序良俗に反するから法的には無効だろうが、被害補償しないとは書いてありそうだ。だからわたしは、インストールしてもメーカーに登録はしないのだ。

ところで、わがPCには1980円の安物ウィルス駆除ソフトウェアが入っているのだが、それが高価なソフトウェアと同じなのだろうかと気にはなっている。

高いから駆除能力が高い、安いからダメってことはやっぱりあるんだろうなあ、と思うのが世の常識である。

この安物ソフトウェアも一生懸命にデータスキャンして、ウィルスはありませんでした、なんて言ってくる。

でもねえ、お前、ほんとに駆除してるの?、ただただスキャンしているだけで、実はな~んの能力もないんだろ?って言ってみたくなる。

持ち主であっても、その中身がどうなっているのか全く分からないで使わざるを得ないのがコンピューターでありソフトウェアなんだから、IT業界は世の常識と違うことが多すぎる。

欠陥製品補償しないの?

マッチポンプか、と書いた、ウイルス駆除ソフト会社がウイルスソフトをばら撒いた事件のことの続きである。

たまたま買ったPC関係雑誌(Yahoo Japan 2005年7月号)を読んでいたら、この事件のことがコラムに書いてある。気になったところを引用する。

その1(この事件の背景には)『新種ウィルスの頻発と不正プログラムの悪質化という大きな問題があります』

これはその会社の社長の弁明である。

おい、それはおかしいでしょ、だってそういうことがあるから、そんなソフトを売って儲けてるんでしょ、病気に効くよというので買った薬が原因で身体を壊したら、それは病原菌が悪いっていうなんて、加害者が言う言葉ではない。

その2『被害にあったユーザーで、業者などに依頼して復旧を行った場合、その費用を8500円まで負担する。ソフトウェア障害で補償を実施するのは非常に珍しいケース』

なんで8500円かというと、そのソフトの販売価格らしいが、それはないでしょ、現実に被害額はそんなもんじゃないはずですよ。

それに補償は非常に珍しいケースだというのも、えっ、そういう変な業界なの?って感じです。

買ったものによって起きた被害、明らかに売った側の責任であるのに、それを補償しない業界って、あるんですねえ。

人命にかかわらないからよい、と思っているのか。しかし、いまやそうばかり言っていられない使い方をコンピューターはしているところもあるはずだ。

そしてこのコラムニストの結論は、インタネットは安心できないから、こういうことが起きても大丈夫なように、ユーザー自身で日ごろから気をつけましょう、って言う調子。

おいこら、これじゃあ業者は悪くないって結論になってしまいますね。いくら雑誌が広告で成り立っているといっても、結論がこれではあまりにひどいと思います。

とにかく、IT業界は変なところですね。

申請手続きしろだって?

コンピュータ屋のAppleから、頼んだ覚えないのに勝手に宣伝Eメイルを何通も送ってくるので、そのたびに、頼んでない、俺の電話代でお前の宣伝するな、以後送るなと、返事すれどもすれども送ってくる。当然、中身は読んでいない。

バカヤロ、もうApple製品を買わないぞ、と思いつつ(実はついふらふらとiPodminiを買っちまったのだ)、もしかしたらどこかに止め方が書いてあるかと、初めて読んだら、あった。

『メールでの情報提供を中止されたい場合は、下記URLにてメール配信中止希望の申請手続きを行ってください』

ムカムカッ、Appleはお役所か、もともとおまえの不良行為なのに、どうして俺の電話代を使って、俺の手間ひまかけてして、俺のほうから手続きを行って希なる望みを申して請わなけりゃならんのだッ、顧客を馬鹿にするなっ、俺のメイル読んだらそっちで止めるもんだよッ、、。

大学同期の友人たちでメーリングリストを始めた。

Yahoo Groupというシステムで、メイル交信の登録は管理者となった友人がやってくれた。これに加えて各人がYahooID登録すると、いろいろサービスがあるという。

そこでそれぞれこの登録手続きをページ上でやるのだが、その案内がどこをどうせいと言っているのやら分からない。

年寄りとはいってもそれなりに理工学部を出た誰も彼もが悪戦苦闘。

いくら利口学部出ではないにしても、これはシステム案内設計の悪い「Yahooのahoo」のせいだと、さっそく波羅立ちメイルが行き交う。

どこがおかしいか言うこともできない悪案内に、もうどうでもいいやと適当にあちこちいじっていると、いつの間にやら登録できた。どうしてできたのか、いまだにわからない。

そんなのが何人もいるし、2ヶ月たってもできないヤツもいる。

たしか、YahooってのもSoft Bakaがやっていたような、おお、ahoo+Bakaには勝てっこないなあ、なんて。

ブロードバンドで情報伝達の本質を忘れる

ちかごろはEメイルで重いファイルを、平気で送ってくる人が増えてきた。

昔もあったが、それはメイル初心者がよく知らないで送ったのだが、近頃はそうではなくて、あいてがブロードバンドかどうか確かめもしないで、確信犯的に送ってくるようだ。

どうもブロードバンドの急速普及に原因がありそうだ。

わたしの家の通信環境は2006年に光のブロードバンドに変えたが、それまで長い間、ピポパピポじゃなくてパルスによる普通回線であった。

インターネット接続はアクセスポイントの電話番号に、ブツブツブツ・ブツブツ・ブツ・・てな調子で、PCが自分でお電話する(ダイヤルするというのか)ことから始まる。

なにしろ2002年まで居た鎌倉の家では、わたしの机の上にはPCと並んでダイヤルをジーコジーコと回す黒電話が鎮座していた。こいつがPCに合わせてチリリン、チリン、チリチリと、けなげにも小声で歌うのが楽しかった。

だから、重すぎるファイル付きメイルはダウンロードに数十分もかかる。いらいらする、健康によくない、だからプロバイダーのメイルサーバーからいきなり削除してしまって、受け取らないことにしていた(そうもいかないこともあるが)。

えーっ、そんなことでよいのか、せっかく送ったのに見ないとは何事か、失礼なヤツ、すぐにADSLに変えろっ、こう立腹するお方もいたに違いない。すまん、ごめん。

いや、ちょっと待ってもらいたい、ちょっと違うのである。

高利貸(サラ金とかまち金ともいう)の宣伝ちり紙(ティッシュペーパーともいう)を街角や駅前で配るのはずいぶん前からやっているが、2000年ごろからだったか、ソフトバンクが広幅帯(ブロードバンドともいう)通信道具を配っていたことがあった。

デジタル最先端技術の道具でも、はじめは、あの風俗客引き風のなんともはやアナログなやり方でないと、かんたんには普及しないものなんだなあー、と、思ったものである。

そうやって高速通信道具が組織にも個人にも急速に行きわたり、その道具としての普及の急速さと、その使い方の普及との間にギャップが出ている。ちかごろは最初から広幅帯通信のひとは、そういうものだと思っているだろう。乗り換えた人も速さに大喜びしているうちに、誰もがそれでやっていると思い込んでしまう結果が、相手の状況を考えない通信となる。

その頃、わたしの家の通信環境を若い人たちに話したら、いまどきすごいですねと驚いて笑われた。そうなんだよー、いまに電話局がやってきて、もうアナログはお宅だけです、おねがいですからブロードバンドにしてください、と言って来るぞ、なんて酒飲み話をした。

インターネットは世界をめぐるのだが、世界中どこもブロードバンドの通信環境ではあるまい。わが家の様なところは、世界中まだまだ多いに違いない。

人にものごとを伝えるということは、相手の立場になり、分かりやすい言葉にするのはもちろんだが、伝える手段も相手に伝えやすい方法とするべきである。

そのとき、ブロードバンドを標準にするのではなく、おそいほうが「世界標準」だと思う。ブロードバンド普及で、情報を伝える本質を忘れてきているように思う。

今はブロードバンドが世界にどれくらい普及しているのだろうか。

情報の検閲と検索

アメリカ企業のグーグルが、中国での検索事業から撤退すると発表した(2010年3月22日)。

中国で検索事業やるなら国家権力による情報検閲のもとで行なうべし、とする中国政府の指示のもとで商売するのはイヤだってのが理由だそうである。中国側は中国で商売するなら中国政府の方針に従え、いやならやめなさいってことらしい。

一方は、検閲そのものがけしからんから引き上げだ、一方は、検閲する政策だから従え。国家権力の行使に仕方に関する基本的な違いは埋めようが無い。

商売人ならば、お上の言うことにしたがっておけば儲かるんだから、ここは目をつぶろうってのが普通だろう。

現に、グーグルはこれまで中国での検索事業は、自主的に政府に都合が悪い情報は出てこないようにしていたそうだ。中国進出のときに政府と取り決めたのだそうだ。やっぱりね、。

ところがここにきて突然に毅然とした態度になった、ように見えるのはどうしてか。本当にそんな格好よいものなのだろうか。国際的な中国非難の揺さぶりを期待できる環境になったってことかなあ、。

思えば、グーグルが世界の先頭に立って築いたインターネット情報検索技術の発達は、国家権力による情報検閲技術も発達させてしまった。皮肉である。

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