聖教新聞テクノロジー欄2023.4.12(水)
[補聴器] AIで進化、見た目も 「眼鏡のように気軽に着けて」
補聴器が進化している。人工知能AIを搭載し声をより聞こえやすくしたタイプや、見た目を重視した カラフルな機種も登場。「ノイズが入る」 「調整が面倒」といった不便さから敬遠する人も多い補聴器だが、メーカー各社は普及に向けて機能やデザインを競っている。
トップメーカーの一つ、デンマークのデマントは 2021年からAI搭載の「フィリップスヒアリング」を販売。AIがさまざまなノイズパターンを学習、騒がしい環境でも会話を聞きとりやすくした。コロナ禍のマスク習慣を踏まえ、耳にかけるホルダーがない「耳穴型」も昨年投入した。
パナソニックホールディングスは、耳かけ型の「R4」 シリーズを10色で展開。スマートフォンで簡単に音量調節もできる。シャープは耳穴型「メディカルリスニングプラグ」にピンクを追加した。ワイヤレスイヤホンのような形状で、担当者は「眼鏡のように気軽に着けて」と話す。
日本補聴器工業会の昨年の調査によると、難聴を自覚する人の補聴器所持率は15.2%で、4~5割に上がる欧米とは開きがある。高性能の補聴器 には数10万円と高価な機種も多い。
難聴を放置すれば聴覚機能が一段と低下し、認知症やうつ病のリスクも高まるとされる。デマントの ソーレン・ニールセン最高経営責任者(CEO)は「高齢化が進む日本では長くアクティブに働くために聴覚ケアの重要性が増している」と強調、啓発活動にも力を入れる方針だ。
(日経TREND)
シャープ耳あな型補聴器「メディカルリスニングプラグ」9万9800円(非課税、形名はMH-L1-B)。故障や紛失を5年間カバーする「ケアプラン」税込み3万3000円、基本プラン期間以降もフィッティングサポートを受けたい場合に60日間追加できる「リモートフィットサービス(追加)」が税込み1万1000円