「民衆の大地 広宣の光道」 発表35周年
君よ勇気の旗を持て!
1990年6月、栃木研修道場を訪れた池田先生は、鮮やかな花々にカメラを向けた(那須町内で)。私たちも自分らしく、友情の花、笑顔の花を咲かせゆこう
1988年(昭和63年)9月23日、池田先生は栃木の同志に、長編詩「民衆の大地 広宣の光道」を贈った。本年で35周年の節目を刻む。ここでは、長編詩の抜粋を紹介する。さあ、誓いの友よ、勇気の旗を高らかに掲げ、新たな師弟旅に出発しよう!(電子版では長編詩の全文を掲載します)
青き空に 白き雲ひとつ――
光満つるあの高原に
一人の旅人はたたずむ
大気は限りなく澄みわたり
涼風は薫風となり
さわやかに またさわやかに
彼の頬をやわらかくなでる
彼の目には
詩歌を作りゆけと
緑の山々が待っている
そこには
汚れを知らぬ清き水が
恋人と語りあう鳥のさえずりが
鮮やかなニッコウキスゲの
山吹色の花園が広がる
おお 若き日より
栃木を訪れたること幾度か
恩師と歩いた日光の山坂に
はるかなる広布の峰を望んだ
懐かしき父子の語らいあり
同志と過ごした塩原 鬼怒川
会長就任の翌年の
宇都宮支部結成大会
11・6「県の日」の淵源となった
昭和四十八年の県幹部総会
そして 五十年の師走――
晴れわたる那須高原の青空のもと
落成した待望の研修道場に集った
あなたたちの笑顔 笑顔
ああ そして思い出の
あの第一回栃木青年平和文化祭
昭和六十年八月十八日――
郷土民謡の「八木節」
「川俣おけさ」「鬼怒船頭唄」の
リズム感あふれる勇壮な舞台
土に生きる力を歌った「石刀節」
「日光和楽踊り」に弾む歓び
ぐんぐん昇る水銀柱と競うかのような
汗光る熱演 また熱演
君たち あなたたちの
「人間」と「文化」を謳う舞台は
万雷の拍手と共歓のうねりを呼んだ
文化祭を終えて 私は
那須の研修道場を訪れた
大宇宙の夜空に
満天の宝石のごとき星空
わが頬にそよぐ心地よき涼風
文化祭の「躍動」と
大自然の「静謐」と
わが命に刻まれた黄金の尊き一日
早朝 近隣の牧場より
那須の同志が届けてくれた
新鮮な牛乳 氷菓の美味
あの真心は
いまも なお
私の胸に響いている
栃木広布の原点には
尊くも 懐かしい
恩師の足跡が刻まれている
昭和二十一年 秋
戦後第一回の地方指導は
那須郡の両郷村
恩師ら七名の一行は
妙法の座談の灯を
この地に赤々と点した
民衆のなかに入り
民衆とともに歩み
民衆のうねりを
一波 二波 千波 万波と
広げ 高めゆく
われら広宣の運動こそ
真実の歴史の回転軸となりゆこう
その先駆の足跡は
君たち あなたたちの
故郷の大地に印されたのだ
研修道場の一角に
厳として立つ「座談会の碑」
その正面に 恩師の一行を象徴する
益子焼の七つの椅子あり
この碑こそ 日本に
否 世界に唯一の
君たちの輝ける勲章だ
「ゆかいな栃木」を築きゆく
民衆の崇高なる力のシンボルだ
座談会の王者 栃木よ
和楽の集いに先駆する
広布の勇者たちよ
君よ 忘るるなかれ
故郷の大地に脈打つ
庶民の魂を!
君よ 知ってくれ給え
暴虐 非道なる権力の嵐が
いかに吹き荒れようと
永劫にして究極の勝利は
われら民衆の掌中にあることを!
おお 人材立県の栃木よ
人材とは「人間性の光沢」である
飾らず
つくろわず
自己の奥底より輝き出でて
宇宙をも包みゆく
生命の妙なる光彩をもてる人
これこそ
人材としての第一の要件なのだ
また 人材とは
「まっすぐな心根」の人である
物事を真摯にとらえる人は
澄みきった心の目で
万事に対処していける
小手先の策は
かえって事態を複雑にする
朗らかな大誠実こそ
もつれた糸をも解きほぐしゆこう
「まっすぐな心根」――
これこそ“下野の心”
人間の輝き
まことの信仰の帰結
あのまっすぐと天に伸びゆく
野州麻の姿にも似ている
御聖訓にいわく――
「汝蘭室の友に交りて
麻畝の性と成る」と
さらに 人材とは
「大感情」の人である
栃木は「情」厚き国土
こまやかにして温かい
人情のふれあいは
何にもまして
潤いの世界をつくる
「情」あるがゆえに
人の美があり
人の和も生まれる
しかし 心しよう
「世間の情」と――
「出世間の情」と――
「世間の情」は
移ろいやすい人間の心に根ざす
ゆえに それは はかなくもろい
時に 愛と憎のはざまに揺れ
つかの間にして 色あせていく
「出世間の情」は
三世にわたる
常住にして不変の法に根ざす
それは
「世間」を離れず
「世間の情」を包み 生かし
崩れざる絶対的な幸福の軌道へと
友をみちびく
そこにこそ
人と人との絆をば
真実の友情と愛情と人情へと
昇華させゆく
人生と社会の王道が開けゆく
「人材光る栃木」は
二十一世紀の大いなる夜明けに
やがて 燦然と
輝きわたるに違いない
おお!
新しい広宣の輝きの空に
希望と希望の太陽は
いま
厳として無限の光を放ちはじめた
君たちよ あなたたちよ
死するまで青春の希望を
断じて 離してはならない
文化の足利 気骨の佐野
歴史の日光 発展の小山
新生の宇都宮 前進の那須
和楽の矢板
共に相和し スクラムは固く
さあ
勇気だ 勇気だ
勇気の旗を持て!
ここにこそ
自分自身の広宣流布と
世界の広宣流布の
力があるからだ
若き友よ
妙法と共に進むのだ
同志と共に進むのだ
どこまでも またどこまでも
広宣の光道を進みゆくのだ
誓いの同志と共に
誓いの兄弟と共に
一九八八年九月二十三日
学会本部にて
『池田大作全集』第42巻所収