「世界で一番貧しい大統領」が語る貧乏とは?
2025年6月11日聖教新聞 名字の言
SDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択されて、本年で10年。2012年の「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)で策定開始が合意された▼この会議で注目を浴びたのが、南米ウルグアイの大統領だったホセ・ムヒカ氏である。大量消費社会を批判し、真の豊かさとは何なのかを問うた。在任中、貧困対策のほか、エネルギー改革に力を注ぎ、同国は水力や風力などの再生可能エネルギーで電力需要をほぼ賄えるまでになった▼氏は給料の9割を慈善事業等に寄付し、小さな農場で生活した。その質素な暮らしぶりから「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれた。だが「私は貧乏ではありません」と氏。「貧乏とは、欲が多すぎて満足できない人のことです」(佐藤美由紀著『世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉』双葉社)。先月、89歳の生涯を閉じるまで国民と共にあり続けた▼法華経には「少欲知足」との言葉がある。欲望が少なく、得られたもので満足することをいう。人間の欲望には際限がない。だからこそ欲望を制御し、善の方向へと転換することが重要だ▼今月は「環境月間」。地球を守る第一歩は、自らの意識変革から始まる。未来は私たちの選択と行動にかかっている。(剛)