杉田明子(すぎたあきこ)さん
【この人】栃木県弁護士会長になった
2025.5.9 5:00金 下野新聞
36人の女性会員の中から、14年ぶり2人目の会長が誕生した。男性を含め233人を束ねる団体の長として「会員が働きやすい環境づくりのお手伝いをしたい」と意気込む。
足利女子高(現足利高)時代から「一生やっていける仕事がしたい」と考え、一橋大法学部を卒業後、法曹の道を志した。2001年に司法試験を突破し03年、日弁連副会長なども務めた佐藤貞夫(さとうさだお)弁護士の下でキャリアをスタートさせた。
転機は4年後だった。佐藤弁護士が急死し、30代前半で事務所の代表を継ぐことに。受任した数多くの事件の処理、複数企業との顧問契約継続など課題が山積していた。
事務所存続の不安が募ったが、先輩や同期、事務員らに支えられ、乗り切った。「あの経験があるから今は何とかなると開き直ることができる」とほほ笑む。
家庭内暴力や性犯罪、離婚-。女性弁護士であることを聞きつけた女性からの相談は多い。「ニーズを日々実感する。対応していきたい」と力を込める。
日弁連の男女共同参画推進本部、性の平等に関する委員会に所属し、法曹を目指す女子中高生向けイベント開催や、弁護士向けハラスメント研修の導入を進めている。選択的夫婦別姓の実現にも意欲的だ。
趣味は国内外の旅行、遺跡や温泉巡り。足利市出身。宇都宮市在住。51歳。
(勝俣直(かつまたなお))
「対話による平和構築を」
栃木県弁護士会長声明
2025.5.3 5:00 下野新聞
憲法記念日に合わせ、県弁護士会は2日までに「憲法の基本理念のもと、武力ではなく対話による世界平和の構築を目指すべきだ」とする杉田明子(すぎたあきこ)会長の声明を発表した。
「基本的人権が尊重されるためには戦争のない世界が構築されなければならない」とし、ロシアによるウクライナ侵攻など各地の軍事紛争に言及した。
集団的自衛権の行使容認や反撃能力の保有の容認、防衛費の大幅増大、防衛装備の海外移転の拡大決定などの動きが国内で相次いでいることを「武力によらない世界平和を目指す憲法の基本理念とは程遠い政策が重ねられている」と指摘した。
昨年、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことにも触れ、唯一の被爆国として対話による世界平和の構築を目指すよう訴えた。