親子げんかで済ませるのか、虐待として積極的に対応すべきか悩んでいる
1.職業
訪問看護師
2.業務分類
3.施設内看護の年数
4.訪問看護の年数
5.経験内容
Mさん、80歳女性。18年前に脳梗塞で左半身麻痺となリベッド上生活を余儀なくされている。2年前から幻覚、妄想、記憶力低下、興奮状態などの症状が目立つようになり、精神科から薬が処方されている。要介護4で、家族は長男と次女の三人暮らしである。
長女は県外におり、年に1~2回帰省している。長男は精神疾患があり、次女が働き、生活を支えている。主に次女が介護しているが、日中は仕事のため不在。訪問看護、デイサービス、介護士の制度を利用し、自宅療養を行っている。Mさんと次女との喧嘩は以前から時々あり、お互いに叩いたり、つねったりして、Mさんの顔にうっすらと内出血の痕跡を認めることもあった。
次女は、仕事、母の介護、精神障がいをもつ兄の生活の支えと、心身ともに疲れており、経済面でも余裕がない状況と思われる。訪問看護師は次女の負担が軽減できればとショートスティの利用を提案するが、費用負担のこともあるのか、Mさん、次女とも承諾していない。2人の意向を尊重する必要性もあり、サービス利用を増やすなどの予防的な介入が難しい。実はMさんには「次女から叩かれることを他人に知られると娘がかわいそう」という気持があり、相談はしたくない、と訪問看護師には話していないが、長男の訪間に来ている保健師には時々話すこともあった。訪問看護師は、次女の大変さを日々感じながら、今後も同じことを繰り返し、さらにエスカレートするリスクも予測され心配だが、親子喧嘩と捉えるか、虐待として積極的に対応すべきか悩んでいる。
親子喧嘩と捉えるか、あるい|ま虐待として対応すべきか悩んでいるだけで、行動はしていない。
訪問看護師は自分で解決しようとして、その解決策を専門家や同僚に相談していない。
次女の負担軽減への積極的対応がなされていない。
6.出所
杉谷藤子、川合政恵監修、医療人権を考える会著『事例で考える 訪問看護の倫理』(日本看護協会出版会)、2015年、p.116.
7.キーワード
#精神疾患 #家族 #虐待 #高齢者虐待防止法 #無危害原則 #プライバシー