訪問看護師に話したことをなぜ介護士が知っているのかと怒られた
1.職業
訪問看護師
2.業務分類
3.施設内看護の年数
4.訪問看護の年数
5.経験内容
Iさん、50歳女性。急性骨髄性白血病で骨髄移植を受けたが、その後、言語障害や歩行障害が出現した。白血病の状態が安定したため、在宅でリハビリを中心としたサービスを利用している。
リハビリは徐々に進み、歩行器で台所まで行き、冷蔵庫の中を確認してメニューを考えたりはできるようになった。意欲的ではあるが、なかなか体が思うように動かず、焦りも抱えている。
訪問看護は週1回の利用だが、訪問介護は毎日利用しているので、 Iさんの生活面の情報は介護士がよくわかっており、 Iさん宅に置いてある連絡ノートで情報交換したり、気になることがあれば電話で報告を受けていた。
訪問看護師は、「一人暮らしをして遠方の大学に通う娘の卒業式に参列したい」というIさんの思いを聞き、そのことをリハビリの目標として連絡ノートに記入した。その記録を介護士が見て、「娘さんの卒業式があるんですね」と|さんに声をかけた。
すると|さんは「何で知つているの? 私はあの看護師さんにだけ言つたの……。あなたたちは何でも情報交換するの?」「家の中のこと、家族のことはあまり言わないで」「ノートには家族のことを書かないで」と言われた。
以後、連絡会議で話し合い、連絡ノートの記入は最小限にし、気になることは電話報告とすることで統一した。 Iさんにはケアマネジヤーを通して情報交換の必要性を説明してもらった。
連絡ノートの活用について、本人が納得できる十分な説明がなされていない。
訪問看護師と介護士の個人情報保護方針および個人情報管理規定についての理解が不十分と思われる。
療養者と訪問看護師の信頼関係が損なわれた。
6.出所
杉谷藤子、川合政恵監修、医療人権を考える会著『事例で考える 訪問看護の倫理』(日本看護協会出版会)、2015年、p.96.
7.キーワード
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