1.職業
看護師
2.業務分類
3.施設内看護の年数
4.訪問看護の年数
5.経験内容
"その人らしさをたいせつにすること
看護師の久枝さんは、肺がん末期の彰子さん(58歳)を受け持ちました。彰子さんは夫と二人暮らしでしたがとても仲がよい夫婦でした。久恵さんは彰子さんの髪が汚れて整髪されていないことがとても気になっていました。そこで、彰子さんに「酸素をづけたままでも、ベッドのうえで神が洗えますから、薬が効いて少し気分がよいときに洗ってみませんか。髪もきれいになって喜ぶと思いますよ。気分転換にいかがでしょうか?」と提案しました。彰子さんは、「そうですか、洗えますか?汚れているし痒いし、世話をしてくれる夫にも悪いと思っていました」と言いました。そばにいた夫は、「妻は、元気な時はいつも毎日髪を洗って、きれいにセットしていましたから今の状態はどんなにつらいだろうなと思っていましたが、私だけではどうしたらよいのか分からなくて、息が苦しそうになったら困るし」と言いました。そこで、久枝さんは、彰子さんの負担が最小になるように、ケリーパッドと洗髪車のシャワーを組み合わせて用いることを提案し、夫にその使用方法と協力してもらうための手順を説明しました。
夫には、洗髪前に髪を梳いてもらうこと、洗髪後のドライヤーをかけることに参加してもらいました。そして、彰子さんには8割ほど乾燥させた後のきれいになった髪を鏡で見てもらい髪を梳いてもらいました。
彰子さんは、「久しぶりに気分が晴れたよ言うに思います。こんな風に私たちの思いを察していただきありがとうございます。まだ、こうやって自分の髪を梳いたり鏡を見る元気が残っていたんですね。あなたから元気をいただいたような気がします」と言って夫に笑顔を向けました。夫も「私たちにもできることがある、元気を引きだしてくれてありがとう」と言いました。"
6.出所
宮脇美保子『身近な事例で学ぶ看護倫理』中央法規、2008年、158-159頁。