2010年6月のメッセージ
誰が総理大臣を替えたがるのだろう?
毎年毎年国の指導者が変わる国なんて、他に世界の何処にあるでしょう?
戦後のほとんどの期間にわたって我が国を支配してきた政党は、できるだけ大勢の議員が総理大臣や大臣になれるように、派閥順繰りに総理大臣を替え、頻繁に内閣改造して当選回数順繰りに大臣を乱造してきました。いわゆる談合です。
ところが、オザワさんが捨て身の戦術でつくった小選挙区制度時代になると、そんなことをしていては総選挙に勝てないので、談合はなくなるはずでした。そのはずなのに、相変わらず首相のクビのすげ替えは年中行事です。小選挙区制度導入後も、コイズミさんの時期を除いてほとんどが1年以内で首相を辞任しておられます。細川さん、羽田さん、モリさん、アベさん [1]、フクダさん、アソーさん、などなどです。
こんなにコロコロと国の指導者を替えていては、付き合う相手国も困るだろうと思います。安全保障同盟や領土問題など、一体誰と話せばいいのか。その結果、日本の将来を決める大事なことが、政治家ではなく官僚にまかせることになってしまうのです。企業では、社長が毎年解任されたり辞任をするなんてあり得ません。そんな会社は、取引先も顧客も信用しません。大学でも研究所でも自治会でも市役所でも、同じです。トップや代表者が頻繁に変わる組織は、他からは信用されません。
それなのになぜ、わたしたちの国だけはこんなに首相の首のすげ替えを繰り返すのでしょうか?いったい、誰が総理大臣を頻繁に替えたがるのでしょう?
それは、私はテレビや新聞などのマスコミではないだろうか、と考えています。
事件や騒動があれば、人はテレビの前に釘付けになり、新聞もたくさん売れます。視聴率が上がり、購読者数が増えます。マスコミ的には、総理大臣は頻繁に替わった方がいいのです。大臣や幹事長の辞任も、好ましいはずです。衆議院の解散などは、確実に長い間にわたって高視聴率が取れます。選挙中は人々はテレビの前に釘付けになり、新聞は号外まで出る騒ぎになります。だから、マスコミは政情不安を煽ります。
ハトヤマ内閣は、総選挙で圧倒的多数でもって選ばれた政府なので盤石だったはずなんですが、それでもニュースが欲しくって、マスコミはこの政府を転覆させようとしたのではないでしょうか。幹事長や首相の弱点を探して徹底攻撃し、検察からのリーク・ガサネタ情報を匿名情報として流し、うわさ話で政権を不安定にし、記者会見やぶら下がり取材で失言を引きずり出し、複数の大臣にインタビューをして不一致を見つけ出す。そして評論家を使って政府を大批判した上で、世論調査をします。そんな状況で世論調査をすれば、支持率が下がるのは当然です。そして、与党や野党の議員に対応策をしつこく尋ねて、街頭では国民に意見感想を求めます。
日本は、和をもって尊し(赤信号みんなで渡れば怖くない)の国ですから、人と違う意見は言いづらく、政権への支持率は一度下がり始めるとその流れは加速します。私たちはかつてこのようにして、マスコミの扇動に乗せられて戦争への道をまっしぐらに進んだのかもしれないなあ、と考えさせられます。
全国民の参加する国の総選挙でもって選ばれたはずの政権の首相が、マスコミがやる怪しげなる世論調査によって辞任に追いやられるとは、恐ろしきかなマスコミの威力です。マスコミの飼い犬として政権転覆に荷担する評論家達もまた、恐ろしい存在です。この飼い犬なる御用評論家達を使って一方通行の世論形成を誘導するメディアの暴走を、誰がどうやって止めることができるのでしょうか。 一国の総理の首さえすげ替える事のできるこの権力者を抑えるには、命がけの覚悟と行動が必要でしょう。
首相を辞めさせた次にマスコミは、首相が辞めたのは無責任だと責めて衆議院解散を迫ることでしょう。ショータイムを長くした方が、新聞がより多く売れるからです。
私は、国民の選挙で選ばれた総理には、なんとしても辞めないで頂きたかったと思っています。参議院選挙に勝つために、総選挙で選ばれた総理のクビをすげ替えることは、決して許されることではありません。これでは、国のためよりも政党のための首相辞任です。こんなことをするのなら、参議院は廃止した方がいい。3年に一度、衆議院と無関係にある参議院選挙は、首相交代や内閣改造などの近視眼的な党略のための政治を生みだし、国益に反した効果をもたらしています。政党も参議院選挙に振り回されることなく、じっくりと政治をして頂きたいと願います。
マスコミは世論誘導して、ハトヤマさんとオザワさんを辞めさせて政局混乱と視聴率向上を図りましたが、私自身はハトヤマさんたはなかなかよく頑張ったと思います。ハトヤマさんのお陰で、沖縄の人たちの怒りが久しぶりに皆に伝わったと思います。沖縄以外の都道府県はそれに対してとても冷たいこともよく見えてきました。アメリカがしたたかであることも分かってきました。ハトヤマさんにとっては、沖縄の基地を最低県外、できれば国外へ移転したいという自分の思いを実現することができず、悔しい思いをされたと思います。社民党は政権与党なのに、基地移転を実現することができないばかりか、文句だけ言って政権離脱とは無責任の極みです。自分の思いを実現できなかった総理を嘘つきだというなら、誰が沖縄の基地をアメリカや他県に移転してくれたのでしょう。政権交代をしたり総理大臣を交代すれば、沖縄の基地は移転できるのでしょうか。社民党が政権を投げ出せば、沖縄の基地はなくなるのでしょうか。私は、沖縄の人達もマスコミに踊らされて可哀想だと感じています。相手のあることですから、誰も思い通りにはできない、でも首相がまずはその意志を示すことは大切だと思います。
このメッセージがアップされる2日前の6月1日に、私はハトヤマさんを激励したくて、「負けたらあかん」という今月のメッセージを用意しました。もちろん5月28日に入手したiPadでPagesを使って書きました。ところが、これを理研の私のMacのiTuneでsyncしたところ、Pagesのアプリもろとも消去されてしまいました。iPadのPagesは阪大のMacnのiTuneでダウンロードしたので、理研のMacのiTuneでは消されてしまったようです。「消去されたのは、内容が過激だから載せるなと言う神様のお告げですよ」と研究員の一人に言われました。
そうこうするうちに、ハトヤマさん辞任のニュースが流れて、より怒りを込めたメッセージに書き直した次第です。ここまで書いても大丈夫ですよね!?
私は1986年に初めてMacを購入しました。阪大で最初の注文だと言われました。その以前も以降も、MS-DOSもWindowsも使ったことがありません。途中、Steve Jobsが離れて経営も商品企画も劣悪であった時期も含めて、ずっとAppleの製品のみを使ってきました。当然のことながら、iPod Nanoの発売日には心斎橋のアップルストアに並び、iPhoneの発売日には表参道に早朝に並びに行きました。iPadも早くから予約をして、発売当日に入手しました。でも、まだ上に書いたようなトラブルに悩まされています。初期不良とでも言う現象でしょう。
だからといって、iPadを見限ることは決してありません。今回の騒動を見て、ますます人を簡単に見限ったり非難することはするまいと、改めて決意をしました。SK
[1] そういや、なぜアベさんが首相を突然放り出したのでしたっけ。憶えていますか?インド洋での給油活動を民主党が反対し、「それを中止すればアメリカが怒って大変なことになる」というのが理由でした。 でも、アメリカはなぜアベさんが首相を投げ出したのか、分からないままです。インド洋で日本が給油活動をしていたことなど、アメリカ人は誰も知らず誰も評価していないし、結局、給油をやめても何の問題も騒ぎも起こっていません。あれは、嘘だったのです。何のために誰が嘘をついたのでしょう。ただしアベさんは本気でそう思っていたと思いますがね。
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