2011年2月のメッセージ
八百長、面白い!
相撲とかプロレスとかプロスポーツは、お客さんに喜んでもらうことが一番です。観客にとって面白くなければ、八百長があってもなくても大相撲は興業としては失敗でしょう。国技であるとか日本の文化であるとかそんなきれい事だけでは、大相撲は生き残れません。逆に言うと、多少の八百長があってもお客さんが「面白い」と喜んでくれれば、そして「見に行きたい」と思ってくれれば大相撲は生き残れます。
大相撲もまた、収入があって初めて成り立つビジネスなんです。アマチュアスポーツでも慈善事業でもありません。公益財団法人の認可という役人の脅しに振り回されて折角の春場所(大阪場所)も中止していては、経営破産します。相撲ファンが「春場所を開催しないで」と言えば止めればいいでしょうが、「見に行きたい」と言う人がいれば春場所は開催するべきです。お金を払って見に来てくれる観客やタニマチの方々が、相撲を支えているのであった、相撲を見に行ったこともない町の人たちのテレビインタビューによって、左右されてはいけません。マスコミと文部科学省と相撲評論家は、大相撲の経営の責任を取ってはくれません。
失礼ながら、八百長は大相撲の文化の一つです。横綱でも格下の関取に対して変化(注文とも言います)してもいいのですが、横綱は変化しません。これは相手に事前に取り組み方を教えているようなもので、八百長です。評論家が変化を批判するのは、八百長を奨励しているのと同じです。小さな関取が大きな関取を投げ飛ばすのを見るのは、痛快です。観客の前では、大きなお相撲さんは小さな関取にちょっと遠慮するかもしれません。
プロ野球でも同じようなことがあります。ホームランバッターに対して敬遠すればよいという場面で、投手が直球勝負することがあります。そしてホームランを打たれて、負けてしまうことがあります。これも八百長かもしれませんが、私はいけないとは思いません。観客が喜んでいることであり、求めていることであるからです。
プロのスポーツは観客がお金を払って見に来てくれて初めて興業として成り立つのですから、普通のスポーツとは異なります。そこで八百長をしていけないのは、それによって観客が被害を受ける場合に限られます。競輪や競艇がそうです。これらは博打ですから、八百長によって観客は損をします。それ以外は、放っておけばいい。下手に八百長をすれば人気が無くなり、ファンが減ってしまうでしょう。あるいは、プロレスのように、かなり八百長の色彩が強くてもいいプロスポーツもあっていいと思います。
角番の大関が7勝7敗で千秋楽が来れば、ほとんどの場合は勝って大関に留まります。これは良からぬ八百長の臭いがぷんぷんします。こんなことを繰り返していては、大関の人気は下がります。興行的にも失敗です。一方、名横綱の力が落ちてきているのに大関連がふがいないという事態が生じると、若い相撲取りが彗星のごとく現れて、瞬く間に関脇、大関と出世します。そして、名横綱との勝負で勝って、一気に横綱となり大相撲の危機を乗り越えます。ちょっと怪しいなと思うけれど、それでもいいんです。観客が喜んでいるんですから。
人と人が争うゲームに、八百長が全くなかったかどうかを証明することは困難でしょう。手心を加わえたかどうかは、本人以外は知り得ないのです。ばれないのもテクニックの一つかもしれません。ただ、これまでは口約束だけであったのが、携帯電話の普及によって、八百長の証拠が残ってしまうようになったのです。お相撲さんは呉々も携帯電話に気をつけてください。
大阪場所を取りやめようとしている最大の理由は、大阪の相撲ファンが春場所に来ないだろうからでは無いと思います。けじめを付けなければマスコミに虐められることと、非営利公益財団法人の認可が取り消されるからです。
一連の騒ぎで明らかになったことは、相撲協会とは金儲けをしてはいけないという仕組みであったことです。会社として経営しておれば、なんとしてでも春場所を開催しようとしたことでしょう。しかしながら、相撲協会は会社ではなくて財団法人でした。財団法人は、細かな規則でもって役人にコントロールされる法人です。今話題の、天下りの横行する組織です。国の関与のない民間組織(すなわち株式会社)にすることが、相撲協会の進むべき道だと思います。「民でできることは民で」です。最近の歌舞伎がとても面白いのも、松竹という民間企業が興行しているからだと思います。古典芸能の興業も国技の相撲に通じるところがあります。
オバマさんの胡錦涛さんとの会談は、まさに八百長でした。中国が少数民族や民主化運動をしてきた人たちを弾圧し続けているのに、オバマさんはこれまでの主張を引っ込めて胡錦涛さんと握手を交わしてたことに、世界の人たちはがっかりしました。世界の人たちや弾圧を受ける人達にはこれは八百長会談でしたが、貿易赤字のアメリカには許されてよい八百長と言うことなのでしょう。エジプトやイスラエルのこれまでの政権への支持も同様の発想だと思います。誰にとって八百長かは、難しい問題です。
今回の騒ぎは、実は警察とマスコミの八百長だと思います。オザワさんのケースもマスコミと検察の八百長でした。新聞が売れてテレビの視聴率が上がるので、警察からの情報のリークは、八百長だと断定をしても構わないでしょう。組織的な八百長です。
と言うわけで、二年続けて砂かぶりで見せていただいた大阪場所を、今年は楽しめそうにありません。庶民の楽しみと日本の文化を破壊している本当の真犯人は誰なのでしょう。
追記:このメッセージを掲載した翌日に、春場所どころか地方巡業もその後の大相撲も中止すると発表がありました。相撲に通うファンの意見を一切聞かずに、マスコミや評論家の声ばかり聞いて、役所の認可取り消しに恐れをなして、巡業取り消しを決めてしまったようです。ファンの声を聞かないのなら、本当に大相撲は無くなってしまうかもしれませんね。
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