2002年9月のメッセージ

頑張れ日本ハム!

殺された牛には何の責任もない。社員の方々も悪くない。売られている牛肉に病気があるわけでもない。それなのにスーパーの肉売り場からその会社の牛肉がごっそり消えました。「ミクロの牛」のクリエーターとしては、黙っているわけにはいきません。焼き捨てられる牛が不憫です。

家族の誰かにトラブルがあれば、家族全員が社会から差別される日本社会の典型のような事件です。この国では、一斉に大衆(マスコミ)が立場の弱い人たちをいじめます。それも徹底的です。目立つ奴も許しません。辻元さんや加藤紘一さんも真紀子さんも宗男君も、社会によって抹殺されてしまいました。法的な罰よりも、自粛、辞職が求められます。これは、私的制裁(リンチ)です。

先月ここで述べた、携帯電話いじめもちょっと似ています。隣の人と直接話をしていいのに、遠くの人と携帯で話しては決していけない。法律的には問題ありません。日本独特の私的制裁です。先日乗ったノースウエスト機では、「ご搭乗後もドアを閉めるまでは機内のお席で携帯電話をお使いください」と、わざわざ放送がありましたし、メルボルンのヒルトンホテルのリラクセーションルームでは、「携帯電話はプールサイドでお使いください」と、書いてありました。世界では、人が会話をしてもいい場所では携帯電話はOKで、声を出してはいけない場所(たとえば図書館とは劇場内)では禁止です。でも、日本では携帯電話は至るところで禁止です。関西空港から伊丹空港へのがらがらのバスの中で家族に「今着くから迎えに来て」と小声で携帯電話をしたら、バスの運転手が聞き耳を立てて、携帯電話をしないよう車内放送をしました。その方がよっぽどうるさい。

この国は、弱みのある人やマイノリティーに対する攻撃が徹底しています。あまり目だだずにマジョリティーに合わしておく方が安全です。それでも私は、弱みを感じながらもマイノリティとして、交通機関の中で携帯電話を使わせて欲しいと訴えます。日ハムの社員も雪印も辻元さんも加藤さんも、負けずに頑張れ!SK

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