2002年6月のメッセージ

ワールドカップ

サッカーになぜ興味を持てないかと考えていたら、いい説明が見つかりました。元々サッカーはイギリスのゲームでクリケットと同じように何日もかけてやるゲームだったそうです。ゲームは先に1点をとった方が勝ちで、どちらかが1点をとれば試合が終わったのだそうです。そのために、点が取れないような工夫をいろいろとしているのだそうです。オフサイドはゲームの面白さを激減させます。何で相手が戻るまで待たないといけないのだろう。そんな相手に優しい闘いはあるまい、と思っていました。本当の闘いとは、もっと厳しいものであるはずです。アメリカンフットボールでは相手の頭上を越えてボールをパスして、大量点を取ります。この方が、はるかに面白い。現代人は、イギリスのサッカーを本当に楽しんでいるのでしょううか?大英帝国時代に、植民地が本国に勝つためにサッカーに興じたのはわかるが、日本人に、高貴なイギリス人の楽しみがわかるのだろうか、と考え込みます。

でも、本当はサッカーだけではありません。野球だって、私はもう何年も見たことがないのです。相撲は、誰が横綱なのかすらわかりません。これは、私だけではないと思います。これまで熱中してきた事柄が、最近どうでもよくなってきています。世の流行に、すっかり飽きてしまったのです。安保反対もベトナム戦争反対も、風化してしまいました。20世紀は終わってしまった、とつくづく思います。

新しい世紀の「遊び」と「仕事」と「社会システム」と「サイエンス」を見つけて、もう一度盛り上がりたいものです。新世紀に向けた構造改革。私も、理研の主任と阪大の情報科学研究科の教授に加えて、応用物理の教授の併任という、無茶で新しい経験を始めています。物理でも化学でも生物でも電気でも機械でもないナノフォトニクスという分野を創る試みを具体化しています。阪大フロンティアといういままでの大学にないシステムも21世紀への挑戦です。サッカーを見て退屈している暇はありません。SK

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