人生相談 - スワコラム

Post date: 2016/04/01 0:56:48

先日、たいへん興味深い人生相談を受けました。いままで多くの方々から琴線に触れるようなお悩みをたくさん伺ってきて、もちろん守秘義務がありますので通常はその内容を公にすることはできないのですが、今回の件は皆さんのお役に立ちそうな気がしましたので、相談者の応諾を得て、ここに公開したいと思います。

[相談]

はじめまして。シンガポールに住んでいる、壮年期をむかえたバスケプレイヤーです。半年前に膝の怪我をしてしまい、それ以降リハビリの生活が続いています。いまは膝に負担がかからない程度に自転車や水泳、ジョギング、そしてときにはバスケもそろりとやっています。処方してもらった薬(グルコサミン、コラーゲン)も規則正しく投与し、その甲斐あってか徐々に回復に向かっています。

実は10月にバスケの大きな大会が予定されており、また、以前所属していたチームでユフォームを新調してもらうことになり、やる気満々なのですが、やはり膝はまだ完治していません。大会までまだ時間はあるのですが、いまは治療に専念すべきでしょうか。それとも、無理をしてでもバスケの練習に励むべきなのでしょうか?(49歳 匿名希望)

[回答]

実に面倒くさいご相談ありがとうございます。私も長らくカウンセリングの仕事をしてきましたが、これほどまでにツッコミどころ満載な相談も珍しいです。

まず、あなたはご自分を「壮年期」とのたまわっていますが、冗談を言ってもらっては困ります。50歳を目前にしたあなたはもはや立派な老人です。どんなに控えめに見積もっても初老のポジションです。勘違いしないでください、もはやオヤジでもありません。ついでに私も49歳です。(明治時代であれば我々は後期高齢者です。)

私は臨床心理倫理哲学物理教育カウンセリングが専門なのでバスケのことは全くの門外漢ですが、私の知り合いで、我々より一歳も年上なのに(ということは、1965年に建国されたシンガポールと同期、というとです。)ポストプレイから華麗なステップでワンハンドシュートを放つ、香港に住んでいる日本人女子を約一名知っています。彼女の優雅なプレイとは対照的にあなたの場合、シュートはいつもエアボール、ドリブルは手につかない、地を這うようなジャンプ力でリバウンドも空を切り、、、これらの残念な様が目に浮かびます。

結論を急ぎましょう。あなたは即刻、バスケを引退すべきです。

49歳ともなれば、深い人生経験から湧き出てくる思慮分別と、冷静な判断力、そして高い社会性など、若者には到底及ばない大人オーラを醸し出しているはずですが、相談内容を拝見した限りにおいてあなたはまだまだ底の浅い未熟者と言わざるをえません。

なんでも10月に試合があるようで、どれだけ大きな大会なのか知ったことではありませんが、あなたがプレイしないことが、どれだけチームへの貢献になるか想像したことはありますか。あなたはチームのポイントゲッターにはなれませんが、こじらせ役としてあなたの右に出るものはいないでしょう。どうか、世の中のためにもバスケからは足を洗われることをお勧めします。

それよりも、同じ10月に計画が進行している、日本国内のJ's卒業生による二泊三日の温泉旅行に参加して、膝の傷を癒やしてはいかがでしょう。ついでに、いままでの人生も洗い流して、自分を見つめ直すいい機会になるかも知れません。(もっとも、あなたにこの企画への参加資格があるのかどうか関知しませんが。)

あっ、最後に大事なことを言い忘れていました。

バスケだけが人生ではありません。でも、バスケを通じて知りあった仲間や友人はあなたの一生の財産です。今日のあなたがあるのは彼らのおかげです。それを忘れずにこれからの余生、どうか健やかにお過ごしください。

たかがバスケ、されどバスケ、です。

諏訪

(注:4月1日に投稿しました)