11月のコラム

Post date: 2012/11/27 10:55:02

僕が10月の頭に東京へやってきて、早いものでもうすぐ2ヶ月がたとうとしています。ようやく東京での生活に慣れてきたとはいえ、思えば台風直撃のタイミングで羽田へ着いてから、新しい発見に満ちた2ヶ月でありました。

ここでは、非日本人である皆さんに、日本という場所での発見を、同じく外人の私の目線からお伝えしたいと思います。

服装について

よく言われる事ではあるが、日本人がオシャレであるという説は、正しい。僕のファッションに対する基本的姿勢は、夏はTシャツ/短パン/サンダル、冬はジーパン/長袖シャツ/ランニングシューズ、であった。自覚するところであるが、決してファッショナブルではない。ただ香港では、街を歩いていてジロジロ見られるほどおかしくもなかった。

東京へ来て街を歩くと、僕のような服装をしている人はほとんどいない。皆こざっぱりとした、いかにもアイロンがけが大変そうな服を着ている。よくレンクロとかで見かける、こんな服誰が買うんぢゃ、と思うような服を人々は颯爽と着ているし、そして見た感じ思ったより違和感を感じない。

きっと街がそう見せているのだろうと思う。

お金の手渡しについて

日本という非常に奥ゆかしい文化を持つ国では、お金を支払う時に手渡しする事は、御法度である。

コンビニなどでお金を支払う時、当然のように代金を手渡ししようとすると、店員さんは一瞬戸惑う。注意してみると、どんなキャッシャーにもお金を置くトレイが用意されている事に気づく。そこにそっと置くのだ。同時に小声で「すみません」とか囁けばもう完璧である。ここでは何に対して謝っているかは重要ではない。なるべく低い立場からお金という汚らわしい物を、なるべく相手に負担の少ない方法で受け取って頂くのだ。手渡しすれば早いのに、と思うのだが、なんなんでしょうね?

100円玉について

500円玉は、その大きさ、重量感、そして他の硬貨には見られない光沢と、十分申し分無い貫禄であるし、10円玉もその価値と風貌が丁度良くマッチしている(気がする)。1円玉の軽くて貧相な感じなんてもうバッチリである。それに対し100円玉はとても小さくて軽く、その価値を正確に体現していない(気がする)。そのせいで、100円玉を手軽に使いすぎ、無駄遣いが増える(気がする)ので、取り扱いには要注意である。

ご存知の通り、一番小さいお札は1000円札であるので、ざっくり1ドル10円で換算すると、香港的に言えば10ドル札、20ドル札、50ドル札が無い感覚だ。1000円までは小銭で払えるので、何も考えずに支払った後にふと気づくと95ドル分無駄遣いをしていたりする。

それから、100円玉と50円玉が極端に類似している為、支払い時にしょっちゅう間違える。コンビ二や駅で列の先頭での支払時にもたもたしている人は、もはや舌打ちされても仕方なし、という暗黙のルールがある為、これは外人の僕にとっては結構大変な問題である。なにしろ大きさ、色、重さまでそっくりな為、何か良い見分け方があれば教えてほしい。困った話ですね。

日本的サラダ論について

日本に置けるサラダという食べ物には、レタスはあまり含まれない。

当然ながら外人の皆さんにとってサラダと言えば、メインはレタスである。しかしここ日本ではその限りではない。代わりに入っているのは、キャベツである。

コンビニにおいて「サラダ」と明記されている商品にも、ほとんどレタスは入っていない。申し訳なさそうに、上の方に数枚のレタスが入っていて、食べ進むと出てくるのは、キャベツなのだ。

ちなみに、この点は決してこの国の国民に指摘してはならない。ムキになって反論されるからだ。やれキャベツは胃に良いだの、栄養価満点だのと、聞いてもいない事を延々と聞かされる事になる。そして聞かされれば聞かされるほど、キャベツという食べ物にうんざりする。

「I don’t care, I want lettuce!」である。

住居について

東京において、あなたの住むマンションの場所は、人々の関心事の上位にランクする。初対面であったとしても、どこに住んでいるかを必ず聞かれるし、そしてその質問をクリアした後には必ず何階に住んでいるかを聞かれる。これは本当に不思議であるが、十中八九正しい。僕は何度もこの質問をされ、何度も「は?」と聞き返した。そして返答した後は特に何か会話が膨らむわけでもなく、そうですか。。となる。

何か外人には分かり得ない理由があるのであろう。

余談ではあるが、あなたの住んでいる場所は、「マンション」である。合コンなどで決して「僕のアパートはね、」とか言ってはいけない。どうやら、マンション=高級、アパート=非高級というよくわからない判断基準が存在するようである。

ちなみに英語でマンションと言えば、5ヘクタールくらいの土地に建つ、10ベッドルームくらいの立派なお屋敷の事である。そう、プレイボーイ・マンションとかのあれですね。このせいで僕は、いまだに「マンション」という単語を発する際は、一抹の恥じらいを感じる。

マンション名について

東京都内のマンション名は、きっと一人のおっさんが鉛筆を舐めながら決めているに相違ない。なぜならば、どのマンション名にも共通する点が見られるからである。

ではその法則を早速皆さんに発表しよう:

東京都内のマンション名=外国語+ローカル地名(+外国語)

外国語(横文字)には、主に英語・フランス語などの単語、または複数の単語が入り、最後のカッコ内はオプションでつける。例として、パーク、ヒルズ、コート、ガーデン、レジデンス、テラス、ハイツ、タワーなどがある。そしてローカル地名には、なるべくローカルな地名を入れるのがお洒落とされている。麻布、ではなく、狸穴町(まみあなちょう)である。渋谷、ではなく桜ヶ丘である。

マンションが乱立する特に東京でも人気とされる地域では、既に渋谷などの広域地名が使われているマンションが数多くあるため、徐々にローカライズが進んだと思われる。今僕が勝手に作ったマンション名、「ガーデンテラス桜ヶ丘ハイツ」は、渋谷のどこかにひっそりと存在しているはずだ。

と、言う訳で僕はなんとか東京でやっています。いまだにたまに(チャイナカップとかが開催されちゃう週末とかに)ホームシックになりますが、まぁこれは仕方ないですね。皆さんも、東京へお越しの際は、以上の事に十分ご注意され、快適な東京ライフをお過ごし下さい。香港では大変お世話になりました。遊びにきてね!

たか