強さの秘訣 (スワさん)

Post date: 2014/10/10 8:30:00

湾仔に引っ越してきて半年が過ぎようとしています。日常的に自炊をしているので近所に街市(地元の市場)があるのはとてもありがたいことです。行きつけの魚屋さんともすっかり顔馴染みになりました。また、オフィスのある中環にも近いし、銅鑼湾に繰り出すにもとても便利なロケーションです。以前住んでいたエリアも気に入っていましたが、この街にもすっかり溶け込んできました。

湾仔はある意味で香港の縮図のようなところだと思います。それはひと言で表わすと、「無秩序に見えるけど機能的」というのが私の勝手な見立てです。

香港はどこでもそうだと思いますが、湾仔はひときわ人々で溢れかえっていて、ただよく観察してみると実にさまざまなタイプの人がこの街を行き交っているように見えます。地元の住人はもちろんのこと、ビジネスパーソン、学生、買い物客(なぜか街市には高級車で乗り付ける客が多いこと!)、観光客、アマさん、ジョギングしている人、馬券を求める人、あてもなく彷徨っている(?)人、怪しげな物売りなどなど。世代や国籍も実にバラエティに富んでいます。

湾仔には何があるかと言うと、政府官庁(警察、イミグレ、税務署など)、シアターホール、コンベンションセンター、高級ホテル、学校、街市、電脳街、教会、銀行の本店、ガソリンスタンド、高級車ショールーム、総合病院、体育施設、屋外コート、屋外プール、フェリー乗場、長距離バスターミナル、大型スーパー、五つ星の高級レストランから庶民的なローカル店、由緒ある寺院、大規模な墓地、そしてトラムステーションなどなど、ありとあらゆる施設、建物、機能がこの狭いエリアに集約されているのです。

もし湾仔MTR駅前の交差点で無作為の10人に「いまからどこに行きますか?」と街頭インタビューしたら、恐らく10通りの異なる返答がくるのでは、と想像しています。それくらいこの街には多様性があるのだと思います。

一般的に言われているような都市の景観や美観からすると無秩序に映るかもしれませんが、実際はとても便利で機能的なところが湾仔の魅力なのだと思います。その一方で、日が暮れると、特に街市の周辺は昼間の活気が嘘のように静まり返るのには驚きます。そして大量に水の入ったタンク車が横付けされ、作業員が手際良く放水しながら清掃しているさまを時々目にするのですが、さながら昼間の喧騒を洗い流す荘厳な儀式のようです。

ところで、香港のローカルチームと試合をしていてよく感じるのが、シュートフォームやプレイスタイルが(日本人の感覚からすると)ぎこちなく見えるのに、意外と高い確率でシュートが入る、ということです。また、チームとしてのフォーメーションがあるようでなくて、個々が無秩序にバラバラに動いているように見えるのですがこれで結構強かったりするのです。

型にこだわらないで、たとえ泥臭くとも自己流を貫き通す。まずは個人技で勝負してみて、ダメだったら次にチームメイトと連携する。その結果がチームの勝利につながる。これが典型的な香港の強いチームに共通したスタイルなのかも知れません。

武道の影響が強いからでしょうか、日本人は何においても「型」から入る傾向があるように思います。これはこれでひとつのスタイルだと思いますが、もう少し個人が「枠」からはみ出ても良いのでは。

バスケットボールはチームスポーツですが味方は5人しかいないので特にオフェンスに関しては個人の力量に依存する割合が大きいと思います。極論するとバスケットボールは個人競技に極めて近いチームスポーツと言えるのではないか。そうだとすると、オフェンスの優先順位は個人技→チームプレイ、が合理的な戦略だと思うのです。

ともすればチームプレイを重視しすぎるあまり、個人技を犠牲にしてしまう場面をよく目にします。例えば、自分のプレイを(必要以上に)味方の動きに合わせにいったり、一対一を仕掛けるよりも先についついパスを出してしまったり、自分の前にスペースがあるのに味方をスクリーンに呼び込んだり、シュートに持っていくまでのフォーメーションのカタチにこだわりすぎたり。

チームメイト全員がこのような意識を持ってしまうと気がついたらチーム全体が受け身の姿勢になってしまいはしないか。また、このような状態はディフェンスから見た場合、とても楽に守れるのではないでしょうか。

オフェンスの目的はひとつ。それはシュートを打つことであり、決められたフォーメーションや約束ごとで攻める、というのはあくまでもそのための手段であるということ。綿密に練られたフォーメーションからのシュートも粘り強くねじ込んだシュートも同じ二点なのですから。

なにはともあれ、まずは「隙あらば自分が攻め込む」という姿勢が大切なのだと思います。

香港ローカルチームと対戦できることを奇貨として、彼らの良いところを貪欲に取り入れていけば、J'sはもっともっと強くなれるかも知れません。

諏訪