流れを引き寄せる (スワさん)

Post date: 2014/09/15 6:44:24

日本の厚生労働省の発表によると、2013年の香港の男性平均寿命が80.87歳で世界一になったそうです。(ちなみに女性は86.61歳で日本が二年連続で世界一。香港の女性は86.57歳で第二位。)また、国連のデータでも2005年から2010年までの平均値(男女合計の総合)では、日本、スイスに次いで香港は世界第三位となっています。

狭い国土(香港の人口密度はシンガポールに次いで世界第二位)はいたるところ賑やかで、例えば道路はどこでも自動車優先だし、年中湿気が多くてちょっと油断するとカビだらけになるし、ピザのデリバリーは時間通りに来たためしがないし、、、日常的に香港の人々は結構なストレスを抱えているように見えるのでこの結果は意外な気がします。

記事やネットでは長生きの要因をさまざまな切り口で分析しています。比較的安価で充実した医療設備、生活習慣(ほどほどの飲酒、高くない喫煙率)、食生活(漢方薬をふんだんに使った料理、中国茶の効用)。そして居住環境(数世代での同居)、温暖な気候などなど。いずれも長寿との因果関係や医学的な根拠のほどは定かでありませんがこれらの要因が複合的に絡みあっての結果なのでしょう。

確かに香港で生活しているとこれらの要因を肌感覚で思い当たるところがいくつかあります。街に多く点在する漢方薬専門店や中国茶屋。子供や孫、アマさんらに手を引かれ散策する老人を日常的にたくさん目にします。またトレッキングコースでも多くのシニアの集団とすれ違います。オフィスでは数種類の中国茶をブレンドして毎日欠かさず飲んでいるスタッフが結構いるのには驚きました。公園で太極拳に興じているグループもよく見かけますがこれも長生きに影響しているのかしら?

長寿つながりで思い出したのですが、私の最初の香港赴任となった約20年前、J's男子に「爺」はほとんどいなかったと記憶しており、今回の再赴任で男子シニアの多さに圧倒されました。当時と比べて香港の在留邦人数はほとんど横ばいですので、少子高齢化という日本の人口ピラミッドの縮図がJs男子社会にも投影されているようです。(但し、在留邦人全体の年齢構成は手元にデータがないので実際に全体で高齢化が進んでいるかは不明ですが。)

ところでスポーツの世界にも当然のことながら選手寿命があって誰しも引退の時期が訪れます。特にバスケットボールは総合的な運動能力や身体能力が要求され、スタミナだけでなく瞬発力やジャンプ力がモノを言う競技ですから歳をとるごとにシニアに「こたえる」のは言うまでもありません。

例えば、野球はある程度の分業制なので指名打者とか外野の守備要員などはシニアの味方になるでしょう。サッカーではミッドフィルダーとバックスでは走行距離に差があるし、ゴールキーパーはシニアにとって「おいしい」ポジションかもしれません。

一方でバスケットボールはいずれのポジションでも5人全員がオフェンスもディフェンスもこなし、常に走り切らねばならないので役割分担が効きにくい競技と言えるでしょう。要すればバスケットボールはどのポジションを担うにせよシニアになればなるほど過酷なスポーツなのです。それにも関わらず、これだけシニアのメンバーが多いのはちょっと不思議です。バスケットボールには世代を超え惹きつけてやまない何かがあるのでしょう。

さて、こうした幅広い世代で構成されるJ'sも一時期、帰任者が集中したこともあって特に男子はメンバーが減ってきました。常に安定したメンバー構成で活動できるとは限らないのが海外で活動する同好会の宿命だと思います。

確かにチームスポーツは人数が多ければ多いほど練習は盛り上がるし、試合でも士気が高まるのは間違いありません。でも、人口が少なくとも「一人当たりの生産性」を高めることで安定的な経済成長を遂げている国がいくつもあるように、たとえ人数が少なくともひとりひとりのメンバーの貢献度合いによってメンバー不足は充分に補えるのではないか。少数精鋭にならざるを得ないからこそ特定のプレイヤーに依存するのではなく、チーム共通の約束ごとを徹底的に繰り返し練習すれば大所帯のチームを凌駕するチャンスは充分にあると思うのです。

一方で新しいメンバーも着々と加わってきているので、一日も早くチームに溶け込んで、J'sに再び良い流れを引き寄せてほしいものです。

諏訪