2010/12/28
仕事納め。夜10時過ぎても仕事は片付かずタイムアップ。今年はたくさん学会発表をして宣伝は大いにできたと思うが、regular paperは結局書けなかった。時間がない訳ではないのだが、まとまった時間を取って論文をまとめようとするうちに、結局まとまった時間が取れずにそのま ま、というパターンにはまっている。(自分は「毎日少しずつ論文を書く」のが苦手である。要領が悪いのだろうか)今年良かったのはBrookhavenに 滞在して色々勉強できたことだった。
2010/12/27
附属中学校の生徒約10人を相手に体験授業。物理教室の共通経費で購入した「室温の氷を作る装置」を使って、水に1万気圧の圧力を加えて氷VI相を作るデモを行った。 透明な水に圧を加えていき、VI相多結晶が出来ると突如画面が真っ黒になり、その後圧を加減して一つの結晶にしていく過程は視覚効果が高い。しかし圧を加減するハンドル の操作はそれなりにコツがいるので、生徒さんが直ぐにできるという訳にはいかなかった。あと、サファイヤアンビルに水を入れるところで気泡が入りやすく、 これも苦労した。次からは注射器を使おう。(安全のため先を丸めて)
2010/12/22
神戸市内の県立高校で出前授業。進学校と言う事もあり、受講生達はかなり前向きだった。
2010/12/8-12/13
SPring-8マシンタイム。高圧低温の測定を中赤外と遠赤外の両方でやった。先月やった通り、今回もこの切り替えは問題なかった。同じ試料・仕込みで 測るからスペクトルのつながりも良い。また今回はスペクトルの再現性が非常に良かったので、とても良いデータが取れた。4月、5月に苦労したのは何だった んだという感じ。試料の大きさも条件もほぼ同じだったけど、どうやら違いは、ビデオに映る試料の映像がちゃんと鮮明に調整できたため、試料に対するビーム 位置の再現性が良かった事らしい。こんな基本に今頃気づくのも情けない話だが、とにかく数%程度の温度変化が高圧でもちゃんと測れるようになった。
2010/11/24-29
SPring-8マシンタイム。PrRu4P12の高圧低温遠赤外の再測定。この物質の時はトラブルが起きるというパターンにまたはまったが、何とか前のデータの再現性は確認できた。
2010/11/10-14
SPring-8出張。ユーザー支援で高圧低温遠赤外実験。一度のマシンタイムで中赤外と遠赤外の両方を測定するスケジュールだったけどスムーズに終了。
2010/11/4-5
日本赤外線学会研究発表会(立命館大学びわこキャンパス)参加・発表
2010/10/25-29
The 6th International Workshop on Nano-scale Spectroscopy and Nanotechnology開催、参加(神戸大学百年記念館・六甲ホール)
運営は全部JASRIがやってくれて会場関係の仕事だけだったが、それでも期間中に講義や会議もあるし、大変だった。参加者は150人で盛況。六甲ホール はこの規模の学会にはちょうど良い。眺めも良くて、参加者には楽しんでもらえたようだ。自分としてはKeilmannと詳しい議論ができて、論文に載って いないようなことまで色々教えてもらえたのが収穫。次回は2年後でSwiss Light Sourceが主催。
2010/10/20-22
第51回高圧討論会(仙台市戦災復興記念館)参加・発表
2010/10/7-8
SPring-8出張。近接場分光実験で。
2010/9/23, 25
日本物理学会秋季大会(大阪府立大学)参加・発表。
2010/9/17-9/20
科研費新学術国際会議"Heavy Electrons 2010"(首都大)参加・発表。
2010/9/6-9/10
IRMMW-THz 2010"(赤外・ミリ波・テラヘルツ波の国際会議(イタリア・ローマ)出席・発表。
2度目のローマ。前回は真夏で猛暑の中だったが、今回は気候も良くて快適。月曜に日本を出て金曜に向こうを出る慌ただしいスケジュールだったが、学会はな かなか良かった。ヨーロッパの放射光、光物性関係の人も結構来ていたので情報交換もできた。観光はできなかったがローマは街自身が遺跡のようなものなの で、何カ所か寄り道はした。パンテオンでは大規模な補修工事をしていた。紀元前の建物がまだ現役で建っていて使われているというのは本当にすごい。ドーム 天井には天窓(穴)が空いているが、雨が降ったらどうするのだろう?
2010/7/26-8/23
National Synchrotron Light Source(アメリカ、Brookhaven National Lab)出張。
ほぼ1ヶ月滞在して、NSLSの高圧専用ビームラインU2Aで、 高圧低温遠赤外の実験をした。やはり1 Aの大電流で光はとても強い。そして高圧専用に設計されているから、いろいろ便利にできている。自分のDACは一切使わず、むこうのDACを使わせても らった。関連技術(ガスケット穴開け、仮押し、封入など)も含めて色々勉強させてもらい、有意義な1か月だった。滞在中はLarry Carr, Zhenxian Liuの両氏にすっかりお世話になった。(セミナーもしてSPring-8での研究を紹介した)
ビームラインU2A。ラマンも測れるようになっており、そのレーザー光源のためBLが小屋(密閉空間)に入っている。ドアはインターロック。この辺の規制は日本よりずっと厳しそうだった。書類クリアだけで1ヶ月かかったとLiuさんがぼやいていた。
U2Aで実験中。 写真に写っているDAC用クライオスタットは厚さ6 cmととてもコンパクトなので、倍率15xのカセグレンが使える。また窓の左側に見えているねじがOリング封止になっており、真空を破らず低温でも加圧、 減圧が可能。温度もよく冷えてガス圧駆動にも対応している。窓はダイヤ。(直径22 mm, 厚さ0.3 mm, ウエッジ0.5°)
U2A標準のDAC(外側)。直径47 mm, 高さ33 mmでねじ駆動。結構でかいが上の写真のクライオにちゃんと収まる。
同上(内側)。タップ穴は半分ずつ右ねじと左ねじになっており、締める時は必ず左右ペアにして両手で内側へ締める(squeezeする)。
放電加工機。これでガスケットに穴あけをする。
使用中の放電加工機。ガスケットに穴開けの最中。
U2A担当者、カーネギー研究所のLiu氏と。(U2A前の廊下で)
マシンのステータス。 NSLSにはX線とVUVの2つのリングがあり、両方が表示されている。再入射はビームを落とさずそのまま行い、リング室から退室する必要もない。(リン グ室は飲食自由で、飲み食いしながらスキャンできるのは本当に助かる) ただしVUVリングは1 Aで大強度と言っても減衰が早く、4時間後にはもう再入射で実験が中断する(入射直後は不安定)。普段当たり前と思っているSPring-8のトップアッ プ運転のありがたみを痛感した。
建設中のNSLS-II。現在のNSLSの直ぐ向かいに建設が進行中。
番外編:研究所内の道路を横断するカモ(?)たち。(画面が白いのは車のダッシュボードの照り返し)研究所内には他にも多数の鹿やら色んな動物がうろうろしている。
マシンタイムでない週末は車でLong Islandを走り回った。(バーンスタインのお墓参りをして、ヤンキー・スタジアムで野球も見た。)研究所を一歩出たら(一般道なのに)制限時速65マイル(104キロ)。ハイウェーに入るとどの車もぶっ飛ばしている。日本と違い舗装が悪いので 怖かった。初めての右側走行だったが、これはあまり違和感なかった。問題は車の中で、左ハンドルは問題ないがウィンカーがハンドルの左側、ワイパーが右側 なのが慣れずに困った。しばらくは交差点で曲がる度にワイパーを動作させていた。(ブレーキとアクセルが逆でなくて本当に良かった) あと今回驚いたの は、ごく普通のスーパーマーケットにすしを売っていた事。(下の写真)
鉄火巻き風だがキュウリでなくアボガドになってる。15年前のアメリカにはこんなのはなかった(ニューヨークだから?)。ちゃんとわさび、醤油、ガリまで ついているが、なぜか巻き寿司のご飯とノリの順序が反対。中身を包むためにノリで巻くはずなのに、なぜノリの外側にご飯を付けるんだろう?? 味は日本のコンビニで売ってるのと比べても遜色なかった。
2010/7/15-17
SPring-8マシンタイム。今回は顕微ステーションの空間分解能評価。ピンホールを使わず、実際に高圧反射測定をする条件下で(DACで)マッピング をやり、空間分解能を測ってみた。結果はやはり回折限界にはほど遠い。もう少し倍率の高いカセグレンが使いたいところだが、動作距離の問題もあるし要検 討。
2010/7/5-10
「Low Energy Electrodynamics in Solids(固体の低エネルギー励起)」国際会議(スイス、レ・ディアブルレ)出席・発表。
ハイジとペーターが走り回っていそうな山の中。とても良かった。自分の発表はYbSとSr122について。ヨーロッパでも高圧実験が進んでいて、おちおちしてられない。
学会会場のMaison des Congres。ホテルの直ぐ近く。
会場から。学会の自由時間に、右手後方の山に登った。(標高約2000 m)
ホテルの前から。正面の山の標高が約3000 m。
2つめの写真の山頂で。日本に帰ってきたら両腕がえらい日焼けしていた。学会期間中に日光の下にいたのはこの自由時間の数時間だけだから、標高2000 mの紫外線はかなり強烈だったらしい。
同じ山頂から。山の牧場と牛が見える。ハイジの物語と違って見かけるのは牛ばかりでヤギはいないようだった。
2010/6/17-21
SPring-8マシンタイム。Ce115系の中赤外。CeRhIn5に圧力を加えると常圧のCeCoIn5と同じになるかと(超伝導のTcとドハースの 結果から)漠然と思っていたが、光学伝導度はどうもかなり異なるらしい。一方CeCoIn5は加圧するとどんどん温度変化が大きくなり、超伝導が消失する 圧力まで押してやると、昔測ったCeRhSbやCeNiSnみたいに低温で反射率のへこみが2つ出てくる。面白くなってきた。
2010/6/2-7
SPring-8マシンタイム。PrRu4P12の高圧低温・中赤外。この物質のマシンタイムはどういう訳か失敗とトラブルが多い。10 GPaと14 GPaの温度変化を取っただけで終わり。最後の夜中にヒーターが謎の故障で温調が効かなくなったのがとどめであった。(昔使っていた古い温度コントロー ラーを強引に使って何とか最後まで持ちこたえたが。)
2010/5/13-17
SPring-8マシンタイム。Ce115の高圧低温中赤外。前回より再現性はずっと良くなったが、やったことと言えば、少し大きめの試料で、なるべく干 渉縞が出ないように仕込んだだけ。特別なことはやっていないので、前回再現性が悪かった原因はイマイチよく判らない。今回の試料の中赤外の温度変化はとて も小さく、MI転移のように「どかっと」スペクトルが変わらないから測定は大変。
2010/5/1
神戸に来てちょうど15年。この5年はすごく早かった。自分は何も変わってない気がするのに、時間だけがさっさと過ぎていく。歳を取るというのは不思議な感覚で、もうすぐ45というのが信じられない。(顔が歳に追いついていないせいもあるが)
2010/4/22-26
SPring-8マシンタイム。高圧低温中赤外だったが、なぜか今回は上手くいかず。データの再現性が良くないのだが、理由がよくわからない。うーん。
2010/4/7
新年度から会計システムが更新された。旅費は業者委託になって立て替える必要がなくなったのは良いが、システムの使い方がさっぱりわからない。夏の航空券は早く予約しないとチケットが取れなくなるからだいぶ焦ったが、何とか取れた。今年の海外はジュネーブで開催のLEES参加とブルックヘブンでの高圧実験。Santa Feで開催のSCESもぜひ行きたかったが、今年から前期は統計物理学I+演習の担当になったので、LEESと2週続けての海外出張は難しく断念。
2010/4/4
科研費の新規ははずれ。予測していたのであまりショックは受けなかったが、今年の秋はどうしようかな。
2010/3/25
卒業式。違う世界へ出て行く学生達が少し眩しく見えた。
2010/3/24
学会も終わったので、例によって未開封のまま高く積み上がっていた郵便を一つずつやっつける。高圧学会誌をめくると、高圧の光物性をされていた小林融弘先生が逝去されたとの記事があった。え、ついこの前定年されたばかりなのに、と思ったが、退職1か月後に余命3か月の末期ガンと診断された後5年4か月闘病 して亡くなられたとのこと。小林先生と言えば、あのソフトで暖かいお人柄を直ぐ思い出す。どこにそんな強い意志を秘めておられたのだろう。ご冥福をお祈り します。
2010/3/20-23
日本物理学会年会参加(岡山大)。発表申込期限を1日勘違いして申し込み損ねたので、そのままホテルも予約し忘れていたら、岡山、倉敷では全く取れなくて 相生に泊まる羽目になった。(最後の夜だけは岡山で取れたが)SPring-8へ出かける度に相生駅前のホテルを見てこんな所で採算取れるんかと思ってい たが、まさか自分が泊まる羽目になるとは。
2010/3/4
伊藤正先生の最終講義を聴きに阪大へ。あちこちの大学の色んな先生が聴きに来ていた。(他の教員による前置きが30分もあったのに閉口した)終了後極限セ ンターへ行ってYbの高圧物性に関して議論。その後阪大坂を久しぶりに歩いて下りてびっくり。最近は阪大へ行く時は蛍池・モノレール・正門コースで出入り することがほとんどになったので阪大坂が大きく変貌していることを知らなかった。医療短大が昔あったところを大きく削って、阪大坂の下の方は坂と言うより 広場になって、車両も通行止めになっていた。
2010/2/26-3/1
公務で缶詰め。
2010/2/22-23
物性研短期研究会「顕微分光とナノサイエンスの発展」参加。今年秋に神戸でやることになったNSS-6の準備的研究会。柏の葉キャンパス駅周辺を初めとして、つくばエクスプレス沿線ではものすごい勢いでマンション、住宅が建設されている。東京まで1時間以内の通勤圏だから当然かも知れないけど、いくら家が建っても学校が少ないから子育て世代にはきつい、とのことだった。
2010/1/28-2/1
SPring-8マシンタイム。高圧低温遠赤外の実験。
2010/1/20
4年生のオムニバス科目「現代物理学」の順番がきた。いつも通り金銀銅の色や液晶モニターの話を交えながら光物性の基礎の話をした。レポート課題として「なぜ電子の運動量が大きく変わる間接遷移は弱いのか」を出してびっくり。ほとんどの答案はウィキペディアそのまま! ウィキペディアでは「光子の運動量は小さいので」とあって、これをそのまま写したのもひどいが、もう少し考えた答案で「P=mvだが光子の質量はゼロなので運動量もゼロ」と答えた答案も多数。やれやれ。(物理学科のカリキュラムには欠陥があるのか?)
(教訓)「間接遷移」の言葉を使ったのが失敗だった。今後はウィキペディアに載っている項目を口にせずにレポート課題とすること。
2010/1/18
SPring-8マシンタイム。(講義と重なったため日帰り)
2010/1/9
日本放射光学会年会参加、発表(姫路)。