2003/12/29
仕事納めはロータリーポンプの油にまみれ、ボロメーターの不調に悩みながら日が暮れた。ボロメータは内部のFETがへたってきているらしい。部品が間に合わなかったので仕事始めの日に開腹手術の予定。もう1年か・・・早すぎる・・・あーあ。
2003/12/5,8-12
UVSOR BL6Bマシンタイム。約5年ぶりにマーチンパプレット干渉計を使ってミリ波領域の分光実験をした。毎日朝8時から夜9時までの実験で疲れたが、まあまあのデータが取れた。途中、スピンクロスオーバー錯体に関する論文をやっと投稿。出張先から論文を投稿したのは初めて。結局4か月かかった。アクセプトされますように。
2003/11/27-11/29
スクッテルダイト化合物に関する研究会参加。(東京都立大)
2003/11/25-26
SPring-8マシンタイムで出張。(カーボンナノチューブの赤外顕微分光)
2003/11/19
超難産だったスピンクロスオーバー錯体の赤外分光に関する論文第1稿がやっと完成。夏休み中に3つどころか、最初のひとつにこんなに長くかかってしまった。自己嫌悪。
2003/11/10-12
SPring-8出張。パルスレーザー調整をかねてSrTiO3の紫外レーザー誘起赤外吸収実験。今回はうまく行った。山の上はすでにかなり寒かった。
2003/11/2
クラリネット奏者カール・ライスターのリサイタルに出かける。あのいかつい顔で、なぜあんなにきれいな音が出せるのだろう? しかし残念だったのは、ほと んど(全部?)の曲がB管の楽器での演奏だったこと。次の機会にはぜひA管クラリネットでの演奏を聴いてみたい。自分はライスターの録音したブラームスの クラリネット5重奏曲が好きで、なぜか毎年今の時期になると聴きたくなる。残念ながら、今回の来日ではブラームスは東京のみ。また関西でも演奏してほし い。
2003/10/25-27
SPring-8マシンタイム。科研費書類に追われて準備不足で結果はイマイチ。
2003/10/25
科研費書類やっと完成。ついに若手でなくなったので、基盤に出す。今までより作文の量がずっと多くて参った。
2003/10/8
ノーベル医学・生理学賞にMRI関係の仕事が選ばれた。受賞者の学位は化学と物理で、これは医学部1年生の授業ネタになる! と思って調べてみると、 NMR関連は何度も過去にノーベル賞を受けているが、MRIは初めてで、既に受賞した思っていたのは誤解だった。(物理のLeggettは、本来は3He の超流動を発見した3人と同時受賞すべきだったのを、3人という制限から後回しになったのだろうか。分数量子ホール効果の時とは対照的。)
2003/10/3-4
NSLSからLarry Carr来訪。神戸でのセミナーのあと、車でSPring-8へ。NSLSの赤外BLの状況を色々教えてもらう。顕微赤外で20 cm-1ぐらいまでちゃんと出ているし、ミリ波領域での時間分解分光も色々良い結果が出ているようだ。何とか中赤外の時間分解で結果を出すには、という問 には、やはりナローギャップ半導体だろうと言うことで意見が一致。
2003/9/29-10/2
赤外・ミリ波国際会議参加(大津)。後期の授業開始もあって、連日の日帰り参加。それにしても、赤外、ミリ波、マイクロ波なら何でもありという学会で、パ ラレルセッションも多く全くまとまりがない。唯一良かったのはGenzel memorial sessionで、遠赤外分光の歴史を振り返るような感じだった。Genzelの功績をしのぶセッションだったが、開催地が日本と言うこともあり、吉永先 生の話も多く出てきた。改めてすごい人だったんだな、と思った。
2003/9/20-23
物理学会秋季大会参加。(岡山大学)
2003/9/15
Bill Evansの命日。1968年のソロアルバム"Alone"を久しぶりに聴いた。こんなに自由に弾けたらどんな気分がするのだろう、と改めて思ってしま う。
有機物の論文を書き始めて以来、ベンゼン環と赤外データベースとにらめっこの毎日。うんざりもするが、分子の対称性に敏感に反応する赤外スペクトルの美し さに感動することも多い。
2003/9/10
昨日の夕方、ふと東の空を見上げると、大阪上空に巨大な積乱雲が成長中。すぐにデジカメを持って7Fへ上がった。写 真その1。手前の積乱雲で上下の明暗が分かれているのは、六甲山脈の陰。写 真その2。その1から数分後。雲のなかで何度も稲妻が走ったけど、オートフォーカスの反応は遅いので、全部逃してしまう。全体のピントもイマイ チ。素人写真の悲しさ。
2003/8/21
「論文を出さない人にはマシンタイムをあげないよ」という某放射光施設の方針転換に伴い、慌てて書き出した論文が一つと、ずっと前に書き始めて、多忙で中 断している論文が2つ。合計3つの論文(すべてregular article)を後期授業開始までに仕上げることができるか? 間に物理学会と赤外の国際会議、委員会その1,その2,その3,院試・・・があって、も ちろん実験もたまっている。1日が短かすぎると感じる毎日。
(おまけ:先日ローマで、この某放射光施設に滞在して実験したことがあるというイタリア人に会った。「実験施設はすばらしいが、あのカフェテリアはとにか くひどいぜ」と言っていた。まあ、その通りなんだけど、世界的に悪名を広めているとは恐るべし、某放射光施設の食堂。競争が無いから改善されないのは、神 戸大○協の食堂も同じである。別の食堂ができないかな。)
2003/7/21-8/3
イタリア・フラスカッティ国立研究所の放射光施設DAFNE-light滞在、磁性国際会議(ICM)出席。
講義に忙殺されてほとんど準備らしいこともできずに出発したが、現地の気象状況を押さえるという基本さえできていなかった。記録的熱波に覆われているヨー ロッパで、南にあるイタリアはとにかく暑かった。これまでに訪れたパリ、ベルリンなど「夏でも涼しいヨーロッパ」と同じつもりで、冷房のない安宿をとった のも痛かった。夜も寝苦しい。暑い-->冷たいものをたくさん飲み食いする、というパターンで体調を崩し、学会後半はフラフラ。しかし、ICMは巨 大な学会の割には情報交換は色々できたし、素粒子実験と同居しているDAFNEを観察できたのも有益だった。ローマはとにかく古い巨大な建造物が多く残っ ているのが印象に残った。(大地震が来たらどうなるのだろう?)
写真2:ポスター発表(撮影してくれた院生M君に感謝します)
2003/7/15
電磁気の成績をやっと張り出した。やれやれ。
2003/7/3
今週、理論引っ越しのためにゼミ室を空け、実験準備室に食器棚などを移動。しかし、実験室の流しには雑用水が来ていることを知らずに、浄水器を取り付けて しまい、2日間それでお茶やコーヒーを飲んでいた・・・。今のところ身体に異常は無いようだ。施設部によると、雑用水は六甲山を流れてきた「ただの雨水」 を、簡易ろ過装置を通したものだと教えられた。
2003/5/30
電磁気学の中間試験返却。自分としてはかなり基礎的な問題を出したつもりなのだが、平均点は思っていたほど良くなかった。後半はさらにペースを落とすか。 (今でもゆっくりやっているつもりなのだけど)
2003/5/15
MRIを初体験した(人間ドックの一部)。無冷媒型超電導磁石による磁場1Tの機種だった。人間の頭部に1Tの均一磁場を作るのだから、大がかりで高価な はずである。ベッドに固定されてボアの中に送り込まれていよいよ測定が始まると、ガガガガガーとすごい騒音。あれは何だろう? 取れた画像データを医師が PC上で説明してくれた。断層も血管造影も鮮明で美しい。造影図は回転させて3D図のように見ることができる。ノーベル賞が出るのも納得できる素晴らしい 技術だと思った。(結果は異常ナシ)
2003/5/6
Bose-Einstein condensationの研究でノーベル賞を取ったMITのKetterleによるNobel Lectureを読んだ(Rev. Mod. Phys.に掲載)。実験技術、装置を徐々に改良してついにBEC、Atom laserの実現に至る過程が、論文には載らない様々なエピソードを交えて描かれていて本当におもしろい。時間がたつのも忘れて読み通してしまった。
2003/4/28
ヴォルフガング・シュルツ(フルート)、吉野直子(ハープ)デュオリサイタルに出かけた(大阪、いずみホール)。 プロの演奏会は2000年暮れの第9演 奏会以来だった。久々に聞く本物のフルートの音に心が洗われた。普段ピアノ伴奏で聞き慣れた曲がハープ伴奏で演奏されるのも楽しかった。いずみホールは音 響、雰囲気共に、このようなコンサートにはぴったり。とにかく良かった。
2003/4/21
額はしょぼいが科研費が一応当たったので、光学測定チャンバー第2号の設計を本格的に開始。最近は真空部品、光学部品メーカーのHPも充実していて、類似 部品で国内外のどのメーカーが安いか、すぐに判る。予算に余裕が無いので、とにかく1万でも2万でも安いものを探し回る。自分は作図が遅いので、なかなか 設計は進まないが、それでもあれこれ考えながら装置設計をするのは楽しい。
2003/4/11-13
SPring-8マシンタイム。SrTiO3の紫外レーザー励起赤外分光。
山の上は桜が満開。ツバメが巣作りに励んでいた。場所はリング棟の荷物搬入用の巨大な扉の蝶つがいの上。(雨風がしのげて地面から高く、ツバメには最高の 場所である) 去年もここに巣が出来て、親が子に餌をやるほほえましい光景が見られたのだけど、開けると巣が落ちるから扉が使えない。と言うわけで、今年 はSP8の誰かがCD-ROMやら発泡スチロールやらを蝶つがいに貼り付けて「巣作り妨害工作」をしていた。しかしツバメも生活がかかっている。妨害をも のともせず、窮屈な空間に巣を少しずつ成長させていた。その後どうなったか、とても気になる。ライブ放送をこの巣に切り替え てくれないかな。(自分はもちろんツバメの味方である。ヒナが巣立つまでは他の扉を使えばいいのに。)
2003/4/7-9
SPring-8マシンタイム。TTF-CAの中性・イオン性転移の顕微赤外分光。温度変化はきれいに出たが、光照射では試料に穴を開けてしまい、融けた 試料はクライオスタットの窓にきれいな蒸着膜を形成した。ううん。
2003/4/5
学舎改修予定の遅れのあおりで、学生実験の引っ越しを1回余分にするはめに。何とか立ち上がった。(研究室内なので、こっちとしては便利)
待望の試料がついに到着。さあ測るぞ! と言いたいところだが・・・まあ、新学期が落ち着くまでは無理か。
2003/4/1
「後期試験が終わったらしばらくは研究に集中できる」と思ったのは、やはり甘かった。学会準備以外の時間は全くなく、もう新年度で教務モードに突入。とり あえず学科HPの更新(シラバス、卒業生データ)に半日を費やす。講義の準備も始めないと。
2003/3-28-31
日本物理学会年次大会(東北大学)参加。招待講演は時間配分は完璧だったけど、発表後の議論が何も出来なかったのが残念。業界の人たちの意見をいろいろと 聞きたかったのだけど。
2003/3/9-11
SPring-8マシンタイム。スピンクロスオーバー錯体の顕微赤外分光。 今回は光照射でサンプルが割れてしまったり、いまいちだった。
2003/3/7-8
UVSORワークショップ「ビームライン高度化」参加。
2003/2/27
LLB/Saclay(フランス)からJean-Michel Mignot氏来訪。YbB12のエネルギーギャップ形成に関して いろいろ議論を行い、セミナーを行ってもらった。中性子散乱というのは、光学測定とは全く違うものを見そうな気がするのだが、彼の中性子実験で見えている 低エネルギー励起スペクトルには、光学伝導度の振る舞いと定性的に類似する点が非常に多い。なぜだろう。色々と考えさせられた。
2003/2/16-19
SPring-8マシンタイム。SrTiO3の紫外励起赤外吸収・反射測定。Tsunamiを励起するMilleniaが絶不調 だったが、何とかしのいでデータはちゃんと取れた。
2003/2/14
講義の成績を張り出した。明後日からマシンタイムで、春学会に向けてやっと研究モードに入る。
この半年間、講義にかけた時間とエネルギーは、まさに莫大である。最終的に試験の答案を見ると、ちゃんと講義を理解してくれたと思える答案は1/4ぐらい しかない。必死でやったからと言って、わかってもらえるとは限らない。うーん。
2003/2/11
個室への引っ越しがほぼ完了。思ったより広い。がらんとした感じなので、ソファーでも追加するか。
2003/2/3
初めてのスペースシャトルがふわりと着陸、無事帰還したのは高校1年の時だった。えらい時代になった、と感動したのを良く覚えている。あのときの Columbiaがまだ現役で飛んでいたとは知らなかった。大気圏突入に伴う熱と力のすごさを世界が本当に目撃したのは初めてではないだろうか。原因を ちゃんと究明して、早く再開して欲しい。
2003/1/25
物理学科HPの英語化作業、来年度シラバス作成、期末試験の作成、実験レポート採点、など教務事項に追われる日々。物理学会のアブスト締切が近づいてくる が、なかなか進まない。せっかく招待講演に採択されたのだが、価数揺動物質の混成ギャップは、簡単なようで実はよく判っていない。考えれば考えるほど深み にはまっていく今日この頃。
2003/1/6
寝正月から仕事に来て、残務のあまりの多さに一気に現実に引き戻された。
今年はきれいな手製年賀ハガキがたくさん来た。低価格プリンターの性能が向上しているらしい。以前は「きれいだな」と思うのは少なく、「いかにも手製」と いう仕上がりの悪いのが多かった(うちも後者)。そろそろプリンタの買い替え時期か。