2007/12/28
あっという間に仕事納めの日が来た。1年が人生に占める割合は歳を取ると共に小さくなって行くから、1年が過ぎ去る体感速度も毎年加速していくという話は 本当らしい。今年の出来事としては、注目論文やSPring-8プレスリリースに関連して、非専門読者向けの作文をたくさんやったのが、とても勉強になっ た。(おかげで論文は書けなかったが)あと、何と言ってもWIRMS 2007が一大イベントだった。海外から来た連中に喜んでもらえたのが良かった。(まだ報告書は残ってるが・・)組織委員の方々、お疲れ様でした。
物理以外では、まずBoston Red Soxが2004年に続いてWorld Series制覇。 Yankeesの猛追を受けたレギュラーシーズン終盤は何とか逃げ切ったけど、負傷を抱える選手も多くポストシーズンはダメかと思っていた。ところがレ ギュラーシーズンではイマイチだったOrtiz, Ramirezの3, 4番コンビがガンガン打ち出し、まずDivision SeriesでAngelsに3連勝。アリーグ優勝戦はIndians相手にまさかの3連敗を喫したが、その後3連勝で大逆転する過程はとても見応えが あった。そしてWorld Seriesはあっさり4連勝。(松坂、岡島両選手の加入でTV放映が増えたのも良かった)来シーズンがまた待ち遠しい。(監督が交代したYankees がどのような戦いを見せるのかも楽しみ)
もう一つ、小学校に入った息子を日々観察するのがとても面白い。習い事に熱心な3年保育の私立幼稚園から公立小学校というのは、かなり劇的な環境変化だったらしい。坊ちゃん風だったのがあっという間に悪ガキになってしまった。
2007/12/22
阪大三石研のOB忘年会。三石先生が定年退官されてもう20年近いのに、今でも年末に集まっている。今年は自分が幹事だったので大変だったが、年に一度梅 田に出るのはなかなか興味深い。山の上に引っ越してから外出は車が多く、三宮ですらほとんど行かないから、年末の土曜夜、梅田のBIG MANや東通りあたりの混雑は本当にすごく感じる。BIG MANの辺りも、学生だった頃に比べるとずいぶん変わったような気がする。
2007/12/18
年内の講義が全部終了。4限の医学部医学科の物理学B2は出席13名。履修登録者は約95名だから、出席率14%。(自分は出席を全く取らないので毎年出 席率は低いが、今年は特に低い)しかし出席している学生さんたちの中間試験は、入試で物理を取らなかった人も良くできていたので安心した。授業に出てこな い連中がどうなろうと知ったことではないが、毎回授業に出ている人の成績が悪いとすると、こっちにも責任があるからやはり気になる。中には独学で量子力学 を勉強しているんですけど、と質問してくる強者もいる。
2007/12/14
朝から休日出勤してWIRMS報告書第2弾、第3弾を片付ける。第4弾の途中で力尽きて沈没。
2007/12/22-14
集中講義で静岡大の海老原さん来学。
2007/12/9
息子の通う学童保育所のイベントで餅つき。餅をつくのは高校生の時以来だが、腕が疲れる前にまず握力が無くなってしまう。そのうち腕も疲れ果てて沈没。高校の時はひとうすつき切っても平気だったのに、今回は途中で交代してもらわないと全然ダメ。歳を取ったことを実感。
2007/12/5-7
SPring-8出張。赤外NSOMはやはり装置を独立させないと発展は望めそうにない。
2007/11/30
2日間採点マシーンと化して、熱統計物理の中間試験の 採点終了。今年はどういう訳か数学科と地球惑星学科から合わせて20人以上も履修していて答案が多く時間がかかった。出来はかなり悪い。一番ショックなの は、1番が全然解けていないことである。初めは単にピストンに入れた1気圧の空気を3気圧に圧縮するための仕事をジュールで計算させようかと思ったけど、 あまりにも公式に入れるだけという感じがしたので、自転車のタイヤに空気を入れて3気圧にする仕事を求める問題にした。物理量が文字のうちはいいが、数字 を入れさせるとめちゃくちゃな答えを平気で書く人が多い。計算ミスは誰でもあるが、出た値がタイヤの容積3 m3とか、仕事1 Jとか、常識的に明らかにおかしくても気づかない。困ったもんだ。こういう間違いに気づかないのも、理科教育の問題の一つかもしれない。もう一つ、実際に 手押しポンプでタイヤに空気を入れたことのない人が多いのかもしれない。あれをやっていればどの程度の労働かわかるはずなのだけど。
2007/11/28
WIRMS 2007で助成金を受けた財団への報告書締め切りが2日後に迫ったので、必死で書類を作る。決算書を作るが、何度やっても計算が合わなかったり間違ってた り。できた!と思って財団へメールで送ってチェックしてもらうと、やっぱりあちこち間違ってる。会社の決算書となると、こんなもんの比では無いんだろう な。自分は一生かかっても会計士にはなれそうにない。一日書類の作成と領収書のコピーに追われて、昨日行った二つの中間試験の答案(熱統計物理が70枚と 物理学B2が95枚)は机に積み上げたまま。「何してんだよ早く採点してくれよ~」という答案達の声を背中に感じつつ、やっと報告書完成。(のはず。今度 は間違っていませんように)
2007/11/23-26
SPring-8マシンタイム。2日前にFT-IRが故障との連絡が入り、キャンセルかとやきもきしたが、出発前日になって復旧との知らせで出発。今回は YbSの高圧遠赤外反射率測定で、院生のがんばりでとても良いデータが取れた。へき開面がきれいに出る試料で径が200ミクロンもあると、さすがに遠赤外 でも楽勝である。(といっても3.5ミクロンマイラーなので150cm-1まで)どんな試料でもあんなきれいに測れるといいのだけど。
2007/11/9-12
SPring-8マシンタイム。今回は(今回も)イマイチ。室温での圧力変化が狙ったとおりに出た物質だったが、その温度変化はほとんど出ず、狙いははず れ。何でも狙ったとおりに出るはずが無いのは判っているが、やはりこういう時はどっと疲れる。(とは言ってもMy DACは冷やしても余り圧が上がらないことがわかったのは収穫。0.2 GPaで冷やすとほとんど変わらず、2.0 GPaで冷やして2.5 GPa, 5 GPaで7 GPa弱。8 GPaで10 GPaを超えた)使った液体Heの請求をみると、1Lあたり1985円になっていてびっくり。課金が始まった頃は1500円という話だったはずなのに、い つ値上がったんだろう。
2007/11/7
県西部の高校へ出前授業。出前授業の対象はどこの高校でも大抵2年生で、理系クラスでもまだ波や光のことはあまり習っていない。この事は判っていたつもり だったけど、今回は屈折、干渉などの初歩的説明をまずやってから他のことを説明しないとだめだな、と痛感した。(今使っているスライドではこれらを知って いると仮定している)
2007/11/1
科研費書類をやっと提出。やれやれ。今年は基盤Bの最終年度で、もう一つ出す萌芽も3年ねばって落ち続けたネタを諦めて新しいネタで書いたので、新しいネタ2つを同時に書くことになり、めちゃ時間がかかった。当たりますように。
それにしても、年々長くなっていく科研費の書式には本当にうんざりである。やれ分担者には必ず配分しろだの、エフォートだの、予算の適切さを説明しろだ の、要は不正使用が後から発覚した時に責任を問われたくないから書類を煩雑にしているとしか思えない。交付された研究費を投資信託に回すような某有名大学 のバカ教授が現れたからといって、まじめに汗を流している研究者がみんな不必要に長い書類に苦しめられるのは、どう考えても不合理である。痴漢をする男が いるからと言って善良な男達もみな車両から追い出して不便を強いる鉄道会社と同じではないか。
2007/10/29-30
SPring-8シンポジウム参加
2007/10/28
カール・ライスター(クラリネット)の演奏会へ。ライスターの生演奏で一度聴いてみたかったモーツァルトの5重奏曲をついに体験。本当にすごかった。感激 してそのまま電車に乗ってSPring-8へ。しかし姫路で乗り換える際、駅構内でチャージしたICOCAをそのまま取り忘れてしまった。相生で降りる時 に気づいて駅員に尋ねると、すでに姫路駅の忘れ物預かり所は閉まってるから明日以降行ってみてと言われた。「そんなん他の駅員が開けたら済むことやろ。 JRサービス悪すぎるで」とぼやきつつ現金で払って相生駅を出た。しかしSPring-8からの帰りに行ってみると、幸いちゃんと届けられていた。名前も 書いてないし番号を控えてなかったけど、チャージした時の領収書に印字されてる番号が決め手になって無事返却。
10/28の午後5時半頃、JR姫路駅構内のチャージ機に残っていたICOCAを届けて下さった方、ありがとうございました。心より感謝します。
2007/10/27
阪大応物で指導教授だった三石先生のお宅へ。引っ越しに伴って本を処分するから、使える本を持って行って欲しいとのことで、三石研出身で大学教員をしてい るOBが5人集まり、先生の蔵書を分けあった。自分もKleinの"Optics"など、15冊ぐらいいただいた。うち5冊ぐらいは既に持っている本だけ ど、研究室文庫に寄付する予定。
2007/10/26
高校へ出前授業。出前先は自分の母校で喜んで出かけたのだが、震災後に校舎はすべて新築されているので、自分が通っていた頃とは全く違う高校みたいて懐か しい感じはしなかった。自分のお題は色と光スペクトルで、同じ内容で50分を2コマ。デモをやるため部屋を暗くしたので、2コマ目(3時から)ではみんな 爆睡していた。自分の頃から体育の厳しい高校で周回走といって体育の授業の度にたくさん走らされる。自分もいつもくたくたで眠かったから、授業をしながら おかしくて笑ってしまった。
2007/10/10-12
研究会「圧力を物理パラメーターとした低温物性研究の今後の展望」参加(東大物性研)
高圧のプロ達が集まる研究会。自分がどれだけものを知らずにただ試料を押しているだけかと言うことがよくわかった。DACの場合フロリナートの静水圧性は 最悪と聞いたので、10 GPaぐらいまで静水圧性が良いという話で、かついつでも簡単に手に入るグリセリンを試してみることにして注文。安い。(特級500 mlで1400円。化粧水なんだから当たり前か。)フロリナートでいつも「圧分布がでかいなあ」とぼやきながら実験をしてたのに、ほかの媒体のことを考え なかったのは間抜けだった。
2007/10/5-8
SPring-8マシンタイム。Ce(Ni,Co)Snの顕微分光。やはり低温での試料の割れがすごく、実験はかなり難航。
2007/10/2
後期授業開始。
2007/9/29-30
科研費特定領域研究「スクッテルダイト」国際会議参加(神戸大学)
淡路から帰った翌日、スクッテルダイトの国際会議へ。CeRu4As12とCeOs4As12についてポスター発表を行う。海外のグループが CeRu4As12がNon-Fermi liuqid metalだという発表をしていたが、かなり怪しい。自分の測定では、どうみても100%半導体である。 こういう時はやはり赤外の方が強い。(29日にあった小学校の運動会へ行けなかったのが残念)
2007/9/25-9/28
加速器光源による赤外顕微鏡と分光の国際ワークショップ(WIRMS2007)参加・発表(淡路夢舞台国際会議場)
この1年間準備してきたWIRMSがついに本番を迎え、あっという間に終わった。他の国際会議に行くと主催者のアラばかり目に付くが、単に出席するのと組 織する側に回るのは大違いである。会議開催の経験が豊富なSPring-8スタッフの方々のおかげで大きなトラブルもなく終了。組織委員の仕事に加えて自 分の発表もあるから準備はかなり大変だった。会議場のスタッフもプロだし、設備は整っているしホテルも快適で、海外から来た参加者たちが「何もかも良かっ た」と言ってくれたのでほっとした。しかし残念ながらまだ終了ではなく、財政援助をもらった財団への報告書提出という大きな仕事が残っている。やれやれ。
2007/9/17
WIRMSを来週に控えて、台風12号発生。今度はどっちへ行くのだろう。てるてる坊主でも作って台風が来ないことを祈るか。
2007/9/15
のんびりしていたらあっという間に9月も半分過ぎて、ちょっとやばい。WIRMSがあるから出ないつもりだったスクッテルダイト国際会議も出ることにな り、9/24の週は火曜から金曜までWIRMSのあと土日がスクッテルダイト国際会議、翌日の月曜からもう授業開始。WIRMS運営の準備、WIRMSと スクッテルダイトの発表準備、Prceedings論文、そして講義の予習、さらに科研費の書類が来て、某誌からレフェリーの依頼。まあこれぐらい忙しい 方がぼーっとしなくて良いか。
2007/9/13
後10日と迫ったWIRMS開催に向けて、夢舞台国際会議場の方と朝から最終打ち合わせ。昼からは太田研へ出かけてダイヤモンドカッターを使わせてもら い、試料切断。このダイヤモンドカッター、自分が修士の学生の時に使っていたものと全く同じ機種で、使うと妙になつかしくなる。切断した試料は SPring-8で来月測定予定。冷やして価数が変わるとひび割れだらけになる恐ろしい物質で、上手く測れると良いのだけど。
2007/9/8
カラーレーザープリンター(A4両面)を購入。2年前にモノクロを更新したばかりなのだけど、なぜか研究室のカラープリンターをネットワーク認識できなく なったので、思い切って購入。カラー両面と言っても安くて(5.5万円)、プリンターの性能進化と値段の下がる速さは本当にすごい。当分はモノクロと併 用。
2007/8/31
物理学会誌に投稿した解説記事に対する2度目のレフェリーコメント。1度目と違いマイナー修正のみで、すぐに再提出。これで載りそうでよかった。またある財団の助成金申請書も提出。当たるかどうかわからないが、秋の科研費書類作成のよい予行演習になった。
2007/8/23
大学は夏休みで放射光施設もシャットダウン。講義もなければマシンタイムも無い。たまったデータを一気に論文にまとめる絶好の機会なのだけど、授業や出張 が無いと返って進まない。忙しければそこそこのレベルで妥協する書類や論文も、ついゆっくり考えてしまう。論文に加えて9月の国際会議の準備、季節外れの 研究費申請書類、それに論文レフェリー。もう8月も終わりそうなのに全く進まない。困った。
2007/8/2-5
息子が通う学童保育所のキャンプで兵庫県北部の山へ。黒川ダムと いうダムのすぐ下で、携帯も入らない(自分の機種が古いせいらしい)。この4日間はかなり本格的に物理のことは忘れられた。近くの温泉の食堂メニューには 「ミニボタン鍋定食」「シシ肉うどん」「鹿カツ定食」など、神戸ではお目にかかれないものが並んでいた。この食堂には入らなかったが、キャンプの夜は地元 の方の好意で鹿肉のたたき(と言ってもほとんど生。鹿は狩猟禁止期間だがワナにかかったものなどが入手できるらしい)とローストしたシシ肉をいただいた。 臭みは全く無く、とてもおいしかった。(六甲界隈のイノシシではダメだろうな)
2007/7/31
これまで全く野球に興味を示さなかった息子が、急に阪神の試合が見たいと言い出したので30+α年ぶりに甲子園球場へ。よく甲子園に行った小学生の頃(江 夏、田淵が活躍していた)に比べると、球場はずいぶん明るくきれいになった気がする。試合(ヤクルト戦)も勝ったし、名物のカレーも食べ、風船も飛ばし、 六甲おろしの大合唱も聞いて、息子は満足したようだ。
2007/7/24
小学校が夏休みになり、昨日から6時に起きて息子と一緒にラジオ体操に行き始めた。ちょうど30年ぶりのラジオ体操で、第2の方は良く覚えてない所が結構 あった。しかし「あた~らし~いあ~さがきた・・・」の歌詞はほとんど覚えていた。大した記憶力である。しかしラジオ体操ぐらいで筋肉痛になる体は問題で ある。坂を上り下りする毎日の通勤は大して運動になってないらしい。早起きのために夕方になると猛烈に眠くなる。
2007/7/19-20
朝一番で人間ドックを受診した後SPring-8へ。近接場の打ち合わせ。議論の結果新しいビーム縮小光学系のめどが付いたのが良かった。
2007/7/8-9
研究会「コンパクトERLが拓く世界」参加。(高エネルギー研究機構)
初めてつくばエクスプレスに乗り、初めてKEKに行った。X線イメージング+X線時間分解+テラヘルツという、変な組み合わせの研究会。ERLというマシ ンの出現で、これまでX線しか興味の無かった人の中にも、テラヘルツ・赤外に興味を持つ人が増えてくると良いのだが。2日目は少し早く抜けて、八王子にあ る某計測器メーカーを訪問。中赤外近接場分光装置のデモを見せてもらった。(こっちが主目的だったという話もある)とても勉強になった。
2007/6/29-7/2
SPring-8マシンタイム。常圧での顕微測定。DACに仕込んで測った結晶試料の赤外反射率が、真空に対する反射率とダイヤに対する反射率のどちらに なるのか、いろんな条件で系統的に調べた。結果はそのどちらでもないという結論(波長にも依るが)。ちゃんと平坦に研磨した試料をダイヤに強く押しつけて 本当にピッタリ密着させれば、ダイヤに対する反射率に等しくなった(当たり前)。しかし間にグリースが入る高圧実験の条件では、どちらとも異なる。今後の 対策は未解決だけど、これまでモヤモヤしていた点がすっきりしたのはよかった。しかし2日連続で朝4時まで実験して帰ってきたら、2日連続の頭痛で体調は 最悪。単に歳の問題か、それともどこか体が悪いのだろうか。
2007/6/18-21
SPring-8マシンタイム。前回と同じ実験の繰り返し。問題なく再現していい感じ。
Red Soxは6月に入って負けが続いたが後半は持ち直して、こちらもいい感じ。松坂選手もここ4試合で防御率1点台と調子を上げてきた。この調子をキープできるか、これからが真価を問われるところ。
2007/6/7-11
SPring-8マシンタイム。YbAl2で中赤外吸収ピークの圧力シフトがきれいに出た。狙ったとおりでいい感じ。結晶試料の高圧赤外分光は初めてだっ たけど試料を薄くできれば後は蒸着試料よりも楽である。また今回は0.8 mmキュレットのアンビルを初めて使ってみたところ、最大圧力の10 GPaまでガスケットは全く拡がらないことも判明。0.6 mmのアンビルだと、最大圧(20 GPa)の半分からガスケットは拡がるのだけど。このあたりは何が要因で決まるのか、よくわからない。
2007/6/4
月曜日だが、はしかで休学になった大学内はひっそりとしていて、とても快適。(学生数15000人の大学で、3人はしかになっただけで全学休学というのは、ずいぶん思い切った対応である。そこまでしなくても、という気がする)
2007/5/30-6/1
SPring-8マシンタイム。赤外近接場。結構それらしいデータが出たが、実用にはまだ遠い。「千里の道も一歩から」か。(距離より研究費を取るのが先だけど)
2007/5/10-23
アメリカ出張(アクロン --> ヒューストン --> ニュー・オーリンズ)
まずアクロン大学にSasa Dordevic氏を訪問。彼は重い電子系の光学伝導度に関する有名な論文の著者で、自分もそれをよく読んでいたので、今回自分の論文を宣伝のために送っ たのがきっかけで立ち寄ることになった。重い電子系などの光学実験について、色々と情報交換できたし、他の人たちの実験室も色々見せてもらった。特にポリ マーのAFMをやっている人はかなり良い装置を持っていて参考になった。重い電子系の光学的研究に関するセミナーもやった。英語で長い発表をするのはD論 の口頭審査以来で、慣れないせいか時間オーバーして受けもイマイチ。重い電子系に関係のある人はDordevic氏だけだったので、放射光ネタにすべき だった。
次にヒューストンへ移動し、強相関電子系の国際会議SCES参加。自分の 講演は話題を絞ったおかげで時間オーバーせず早めに終わって質問も3つ出て、かなり受けは良かった気がする。他の講演は難しい話が多いのに比べて自分の話 は単純で判りやすかっただけか? 前にミシガンでSCESがあったとき、近藤絶縁体の光電子に関する発表で、混成ギャップに基づく解釈についてP. W. Andersonが文句を言っていたので、今回自分の発表にも文句を言われそうな気がして、Anderson対策をしていた。しかし彼は(前の方で発表を 聞いていたが)何も言わなかった。Jason Hancock、今回初めて話したKen Burch(彼はUC San Diego時代にCe115の赤外をやっていた)と3人で晩飯を食いながら、重い電子系の光学伝導度について議論した。(なぜ混成ギャップはあんなに広 がって見えるのか?) また時間分解レーザー分光の共同研究者で、メールでずっとやりとりしていたRohit Prasankumarと初めて直接会った。さらに自分が大学院生だった頃に量子ホール効果の測り方を手ほどきしてくれたRui Duと12年ぶりに再会。当時ポスドクだった彼は、その後マイクロ波照射下の新しい量子ホール状態の発見で世界的に注目を集め、今では名門Rice大学の Full Professorになっている。というわけでヒューストンでの成果は、いろんな人と会って話ができたことだった。
最後にニュー・オーリンズへ。自分の大学院生時代、やはり大学院生で同じフロアにいた旧友G君はニュー・オーリンズ出身。今回は彼や彼の親戚の家に泊めてもらいながら、市内のTulane大学で セミナーをやった。(G君はMITでドクターを取った後、Tulaneで物理の講師をやっていた)ニュー・オーリンズのあるルイジアナ州にはCAMDとい う放射光施設があり、CAMDの所長はTulaneの教授でもあるので、こちらは赤外放射光ネタにした。所長も聴きに来た。アクロンでの教訓から今回は短 めにしたが、やはり強相関系の話が出てくると専門外の人にはなかなか上手く説明できない。G君はよかったよと言ってくれたが、講演をすることに関しては、 まだまだ修行が足りない。
2007/5/5
連休中だが大学にやってきてアメリカでのセミナーの準備。SCESの前後に寄り道するから講演が全部で3件で準備はかなり大変。(気軽に引き受けたのを少し後悔) しかしせっかくの機会だから、ちゃんと宣伝しないと。
滑り出しは快調だった松坂選手だが、ここ3試合はボロボロ。昨年1試合平均1個ぐらいしか四球を与えなかった投手とは思えないぐらい、四球を連発して崩れ ている。(むしろリリーフの岡島選手が大活躍でアリーグ4月のRookie of the monthになった) さすがの怪物も人の子、調整法に手間取っているようだ。しかしRed Soxはその3試合ガンガン打って勝ち、アリーグ東地区を首位で快走中。このまま行って欲しい。
2007/4/26-27
SPring-8出張。AFMの手ほどきを受けに。使いこなすのは大変そうだ。
2007/4/16-18
SPring-8出張。赤外近接場光学の試みは、なかなか大変だ。
2007/4/7
朝目覚めると6時。どうなったかなと思ってTVをつけるとRed Sox対Royalsの試合は9回裏2アウトで、すぐ終了。Dice-KのMLB初登板は7回6安打1失点1四球10三振。大 舞台でも普段通りの能力を示せるのがすごい。Ortiz, Ramirez, Schillingなど見慣れたRed Soxの看板選手たちに混じって松坂選手が祝福されているのが、まだ慣れないせいか不思議な気がした。最後にダッグアウトに降りるときグラウンドに向かっ て帽子を取って一礼。アメリカ人には異様に映るだろうが、その姿勢でずっとがんばって欲しい。
2007/4/6
SCESのプログラムが出た。自分の発表は意外にもパラレルでないセッションだった。それはいい。しかし午後にエクスカージョン、夜にバンケットがあった 翌日、学会4日目の朝一番のセッションとなれば、みんな疲れてホテルで寝ているに違いない。会場はガラガラだろうな。(聴衆が少ない方が緊張しなくていい か?)
2007/4/4
YbInCu4の論文に関してSPring-8のプレスリリースが昨日出たら、今日にはもう意外なところに載った。プレスリリース原稿は書き方によるもんだな。(「内側の電子」「外側で動いている電子」は自分ではなく記者の発明である。正確ではないが、妙にしっくり来る表現だと思った)
2007/4/2
工学部にセブン・イレブンがオープン。(セブン・イレブンのくせに9時に閉まるそうだ)いろんな料金の支払いなど、これでずいぶん便利になりそう。コンビ ニ弁当やサンドイッチが買えるようになると、悪名高い○協食堂は今後どうなるだろうか。可能性その1:コンビニに客を取られて売り上げが減少--> 経営悪化でさらに味とサービスが悪くなる。可能性その2:ライバル出現で売り上げ減少-->危機感を抱き、味とサービスが向上する。後者であると良 いのだが。
2007/3/28
SPring-8プレスリリースの原稿と格闘。「局在・非局在転移」を一般の読者に判るような言葉に出来ないか、と悩んでいて気づいたこと:「金属・絶縁体転移」の「転移」は、日本語として間違っていないか??
自分の国語辞典には「転移:場所が移ること、場所を移すこと」とある。一般の人が「転移」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「ガンが全身に転移する」の用 法だろう。英和辞典でtransitionを引くと「移り変わり、移行、変遷、変化、転換、過渡期、変わり目」などとあり、場所が移るという意味はない。 phase transitionを最初に「相転移」と訳したのは誰だろう? そもそもtransition metalは「遷移金属」なのに、なんでphase transitionは「相遷移」じゃないのか? (電子が別の状態へtransitionを経るのは「遷移」なのに、相の場合は何で「転移」なの?)
ところが習慣というのは怖い。「相遷移」、「相転換」、「相変換」(これはphase transformationになりそう)など、どれもしっくり来ない。「金属絶縁体転換」はさらに気持ち悪い。しかし「転移」の意味が「場所を移すこ と」である限り、一般の読者に「局在・非局在転移」は通じない。困った。(SCESの原稿締め切りも迫ってるな・・・)
2007/3/26
パスポートを更新。これで3回目の更新だが同時テロ以後は初めて。ICカード内蔵で、以前のものに比べると堅い。写真はオリジナルに比べて陰影を異様に強調してあって、自分はヒゲが濃い方でないのに無精ヒゲを生やしているみたい。あれでは誰でもテロリストに見えるかも。
2007/3/18-21
日本物理学会(鹿児島)。前に鹿児島で物理学会があったのはM2の秋で、気候も良かったし自分の発表以外はあちこち歩き回った。しかし今回はえらく寒いし 雨は降るし、桜島へ渡っただけ。山の上の展望台へ行きたかったけど、バスもないしレンタサイクルや徒歩で行ける距離・標高じゃないし、一人でレンタカーは 割高だし、どうしようと思っていると「レンタル原付で行けば?」と案内所の女性に言われた。まさか学会で原付に乗るとは思わなかったが、おかげであっとい う間に展覧台へ。絶景でとても良かった。火山の迫力に接すると、量子力学だの何だのはちっぽけな世界に思えてしまう。港を歩いていたとき、たまたま噴火し たのでケータイで写真を撮った。(カメラを持ってなかったのが残念)
標高は同じぐらいなのに、activeな噴火口が無い北側(左側)山頂により多く雪が積もっているのは、地表の温度が違うのだろうか?
2007/3/13
SPring-8日帰り出張。打ち合わせのためだが、滞在6時間のために往復移動時間が5時間。
2007/3/6
期末試験の答案を取りに来た医学部の学生さんと話し込む。「卒業したらこういう事がやりたいんです」と目的意識を持っている学生さんと話をするのは、とても楽しい。もし自分も今から学生に戻れたら、何をやるかな、と考えてしまう。うらやましいな。
2007/2/26
科学新聞で自分の研究が紹介された。どんな風に載るか楽しみにしていたのだけど、載ってみたら一面トップで驚いた。こんな超地味なネタがなぜそうなったのかは不明。いずれにせよ、共同研究者の方々に心より感謝します。
2007/2/25
某公務で日曜出勤。終日の勤務で腰が痛い。今年の某公務はセンター、前期、後期と皆勤なので大変だ。
2007/2/23
このところずっと体調が悪い。自分は偏頭痛持ちだが、以前は多くて月2回だったのが、最近は5-6日間隔でやってくる。ストレスも原因らしい。今日もここには書けないような用件で学生を呼びだして面談。気が重い。
2007/2/17
やっと期末試験の採点を全部終えて成績を出し、教務システムに入力完了。疲れた。
2007/2/7-8
固体分光研究会出席(SPring-8)。先生方の話を聞いていて思ったこと:「10億円使っていいから何でも好きなことをやれ」と言われたら、どんな夢を語れるか。今の自分には語れそうにない。まだまだ青いな。
2007/2/2
SCESからアブストがアクセプトされたとの知らせが早々と届いた。オーラルかポスターかは4/15までに知らされるらしい。えらくのんびりした話である。(会議は5/13から)
2007/1/16
熱力学の講義を終えて居室に戻ると「貴論文がJPSJの注目論文に選ばれました」とのメール。この論文に費やした時間とエネルギーは大変なものだったか ら、よかったよかった。「賞」と名の付くものをもらうのは高校の吹奏楽コンクールの「銀賞」以来か。(ただしこれは銀賞=予選落ちだったので、何の自慢に もならないのだが)
2007/1/10
SCESのアブスト提出。ネタをどれにするか迷ったが、結局universal scalingの仕事にした。アメリカでの開催と言うことで会議の内容はf電子系、d電子系だけでなく有機、量子ホール系、ナノチューブ関係、など何でも 有りである。「でかくて希薄な会議」となりそうだが、ヒューストンは一度行きたかったので申し込んだ。まじめに宣伝してこよう。