Avogadroを使ってPM6計算を実行 (Intel Mac)

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Intel Macでは,化学研究室定番の3D分子を編集・計算するソフトであるChem3D(注)が走らない.そのため,OS9時代のバージョンにこだわっていると計算環境がごちゃごちゃして精神衛生上よくない.

注)現在はChemBio3D Ultra の名称,Windows 版のみ入手可能.

BootcampでWindows XPに切り替えて実行していたが面倒くさくなった.単一OSでどうにかならないか試行錯誤しているうちに,ChemDrawで描いた平面図ファイルをcdxmlフォーマットで保存し,そのファイルをAvogadroという3D分子モデル編集・分子計算フロントエンドソフト(フリーウエア)にドロップすると取り敢えず読み込んでくれることが判った.

ChemDrawを用いて二次元の描画

起動画面

データを読み込む前に,次図のような警告がでるが,無視して「はい」を押すと

ベンゼンの平面性は崩れているが分子の結合情報は保たれている.

水素もオレフィン,メチン等も自動的に付加されている.

そのままエクステンションメニューのジオメトリ最適化を実行すると経験的力場 (MM) 計算が実行され次図で示す構造が得られた.

MM2よりレベルの高いMM法が複数用意されているので適当に選択することができる.

この後,半経験的分子軌道計算を実行するので,立体化学に誤りがないかチェックする.

よく見るとオレフィン由来の隣接する置換基(メチン水素が2個ともエンド側)がsyn配置である(赤丸印).オレフィンはトランス配置であるから水素同士がanti配置になるように,水素をつまんで反対側に移動させる.

もともと在るべきではない場所へ原子を移動させるので,隣接原子との結合角などメチャクチャだが,かまわず力場で最適化すると目的とする配置の構造が得られた.

次図はMMによる最適化構造である(分子の向きが上とは異なる).

エクステンションメニューからMOPAC計算を選択する.

MOPACインプット画面が表示されるので表示内容を確認してComputeをクリックする.

計算結果を書き出すフォルダを選択する.

MOPAC2009は別のフォルダに入れているが,実行時にさがし出すようである.

実行中の画面である.

Mac mini (CPU Core2 Duo 2GHz) の場合,1分3秒で計算終了.

ちなみにCore i7 2600K (3.4 GHz) を搭載したWIndows 7 (64bit)マシンでは21.7秒であった.

PM6計算構造は以下のとおりである.

大学の研究室では,高額の並列処理サーバとソフトを購入して計算を実行していたが,同じことが家庭用パソコンとフリーウエアだけで高速に実行できることを実感した.(2011/12/16)

もうひとつの例

電子吸引性シクロペンタジエノン (2,5-bis(methoxycarbonyl)-3,4-diphenylcyclopentadienone)とN-(ethoxycarbony1)azepineの4+2環化付加体の光反応による2+2付加体をMO計算で予測した例

X線構造を見ながら描いたChemDraw図を用いて構造最適化を行い実測値に近い構造を得た.

2個のベンゼン環を繋ぐ単結合の距離は1.63Åであり,実測値の1.67Åに近い値を再現した.

かご型化合物を適当に描く

Avogadroを起動して読み込ませる

MMで構造最適化 MOの初期座標を生成させる

MOPAC2009のPM6で構造最適化(演算時間 Core2 Duoで36秒)