19内田樹「科学性の社会的・公共的性格」
【補充問題】解答
補問一 命題に対して反証の機会が確保されていない点。(22字)
補問二 イ
補問三 言論の行き交う場の判定力を信頼するようになり、自説の正しさの賛同者をひとりでも増やそうと情理を尽くして語るようになる。(59字)
(聴き手の知性への信頼や判断力に対する敬意が生まれ、自説の正しさをわかってもらおうと、傍証や修辞や喩え話を用いて語るようになる。(63字))
補問四 アB イA ウA エB オB
【補充問題】解説
補問一
次の5段落で、「……ということを言っているのではない」「……というようなことを言っているわけではない」と続け、最後に「たいせつなのは『反証の機会が確保されている』ということである」と述べていることから、反証が確保されているか否かということが問題になるということがわかるだろう。「反証の機会が確保されている」のが望ましいのだから、その逆の「反証の機会が確保されていない」点が問題だ、ということになる。
補問二
20~22行目のポパーの引用の部分には、次の二つの内容が含まれていることを押さえよう。
・科学的客観性は社会的もしくは公共的性格の産物である。
・科学者個人の不党派性は科学の客観性の結果である。
つまり、〝原因→結果〟の順に並べると、「公共的性格」→「科学的客観性」→「科学者個人の不党派性」ということになるわけだ。この因果関係を踏まえて、選択肢の正誤を判断しよう。
ア 科学者個人の不党派性は科学の客観性にとって×自明の前提である。
「科学者個人の不党派性」は「科学の客観性」の結果なので×。
イ 社会的あるいは公共的性格によって科学的客観性は生まれてくる。
「社会的あるいは公共的性格」は「科学的客観性」に先立つものなので正解。
ウ 科学的客観性は×科学そのものに存する社会性や公共性に基づいている。
「社会性や公共性」が「科学そのものに存する」わけではないので×。
エ 科学的方法が×社会的公共的制度によって認められることが重要である。
科学的方法が「社会的公共的制度によって認められること」の必要性は書かれていないので×。
オ 科学の客観性は科学者が×政治的に中立であることを余儀なくさせる。
「科学の客観性」のために科学者が「政治的に中立であること」が求められるとは述べられていないので×。
補問三
人々の「語り方」がどのように「変わる」のかについては、あとの20段落に注目。段落の前半で、「自説の正しさを確信している人間」、つまり〝「理非判定の公共的な場」を望まない人間〟について書かれているあとに「一方……」とあることから、「一方」以降に、〝「理非判定の公共的な場」が立ち上がったことで語り方が変わった人々〟について書かれていることがわかるだろう。この部分の内容をまとめればOKだ。設問に、「話し手の意識の変化も踏まえて」とあるので、「言論の行き交う場の判定力を信頼している」(または、「聴き手の知性を信頼」し、「判断力に敬意を抱いている」)という内容を落とさないようにしよう。また、「自説の正しさの賛同者をひとりでも増やそうとする」という表現の意味を誤解して、「自説の正しさを主張するために」とすると誤りになってしまうので、この点にも注意が必要だ。
補問四
まず、「できるだけ多くの人間が自主的に知的パフォーマンスの向上をめざすように設計されたシステム」とは、「理非正否を判定する公共的な場」により「言論の自由」が確保されている状態を示す、ということを理解しておくことが必要だ。それをもとに、選択肢の正誤判断をしよう。
ア 場が認定した暫定真理に基づいて×すぐに次の暫定真理の獲得を争うシステム。
49~51行目の「暫定真理」について述べられた部分には「すぐに……獲得を争う」という内容はない。→B
イ 多くの意見の妥当性を議論し合うコミュニケーションの場を尊重するシステム。
「命題たち」を「すり合わせる『コミュニケーションの場』の存否」が配慮されるという本文の内容と合致。→A
ウ 優秀な人間に真理の判断を委ねるよりも自力による判断が求められるシステム。
「誰かに真理をまとめて仮託する」のではなく、全員が「判定にかかわらないといけな」いという本文の内容と合致。→
A
エ 他者の存在を軽視する態度が矯正されることでおのずと×客観性が確保されるシステム。
「客観性」は、20~22行目にあるように、「科学的方法の社会的もしくは公共的性格の産物」なので本文の内容と合致しない。→B
オ ×絶対的な真理の存在を否定することで政治的独裁者の出現を防ぐシステム。
「政治的独裁者の出現を防ぐ」のは、「言論の理非正否を判定する公共的な場」の存在によるものなので本文の内容と合致しない。→B
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20山崎正和「多様化と矮小化の時代」
【補充問題】解答
補問一 ジャンルが多様化して、それぞれが閉鎖的になっていく傾向。(28字)
補問二 社交サロン~に変わった(38字)
補問三 オ
【補充問題】解答
補問一
「趨勢」とは〝物事の動いていく勢いやなりゆき〟のこと。傍線部は、1・2段落全体の内容をさしているので、この二つの段落に注目。ある程度のまとまりの内容を捉えるには、まず、段落の中心となる部分を探すことが大切だ。1段落では「ジャンルが多様化する」、2段落では「ジャンルは……閉鎖的な小宇宙を囲い込むことになった」の部分が中心文と捉えられるので、この二つの内容をまとめればよいわけだ。その際、「閉鎖的な小宇宙を囲い込む」という比喩表現は、「閉鎖的になっていく」などの一般的な表現に直すことも忘れないこと。
補問二
4・5段落に、「十九世紀」「小説」という言葉が使われているので、この二つの段落のいずれかに答えとなる部分があると見当がつくだろう。本文を細かく見ていくと、4段落の最後から二文目に「小説は……に変わったのである」とあるので、この部分から抜き出せばよいと判断できる。「三十字以上四十字以内」という字数指定に合うのは、「社交サロンで……に変わった」の部分だ。
補問三
直後に「いいかえれば近代の作家は、筋とともに物語そのものを創作しているのであり、自分のつくった物語に署名を記しているのである」とある。ここから、近代文芸では、作品が神話や伝承を下敷きにしていたとしても、作品における物語は、作家が創作したものとして認識されるということが読み取れるだろう。
ア物語を「筋に従属する関係」としているが、本文ではどちらがどちらに従属するという関係性で捉えられていないので誤り。イ「多様性」という「背景」によって物語が同一であるかどうかが決まるのではない。ウ「読者が……独自の物語を発見する」ということは本文では述べられていない。エ「物語性が失われたと認識される」とあるのが誤り。オは、〝物語が創作と見なされる〟という文意なので正解。
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