2022年度の1学期に色指数の測定実験を行いたいと連絡があった為、色指数を測定出来るようなものを用意した。主に花崗岩・はんれい岩の石板と、それに貼り付けて測定するためのOHPシートである。教科書にある手法だとトレーシングペーパーを敷いて、有色鉱物の輪郭をなぞってから罫線を書き、カウントするといったものだが、色指数が大きい岩石だと終わらないと考えた為、OHPシートを使うことにした。また、罫線で区切って囲碁のように交点の色指数をカウントしていくものは、交点の裏側は見えないのでより確実に測定する為に領域の内部が見えるようなもののほうが良いのではないかと思ったこともあり、〇を100か所に印刷したものを利用してもらった。100か所に印刷した理由としては、カウントした個数がそのまま色指数となる為である。
カウント方法としては〇の中にあるのが有色鉱物か無色鉱物かを判断し、チェックしていくというもの。両方が入ってしまっている場合はどちらか多いほうとしてカウントしてもらう。結局恣意性は入ってしまうので、もしかしたらよくある罫線でカウントする手法とそんなに差は無いかもしれない。
フィードバックとしては花崗岩には赤い〇を使い、はんれい岩には黄色い〇を使ったフィルムが見やすいということと、はんれい岩は色指数がだいぶばらつくということ。
また、判明した結果は発表した。GeoScienceEducation2022英語ポスターセッション
用意したのはポスターにある通り
①石材のシェニートモンチーク
②幌満で採取した閃緑岩
③石材の花崗岩(G665)
④北海道黄金道路で採取したかんらん石ノーライト
⑤安濃川で採取した閃緑岩
⑥石材のインパラブラック
である。大学生に協力してもらった予備実験では①から⑥の全てを使用したが、高校生の実験では④を除いている。大学生の結果から適さないと判断した為である。
また、②④⑤については
GeoScienceEducation2022日本語ポスターセッション
こちらに記載した手法によって転石から研磨標本を作製した。
①③⑥については元々鏡面加工された石材であった為、岩石切断機でカットして、机が傷つかない程度に角を丸めているのみである。
担当の先生の授業で高校生が色指数を測定した。
当日は他の実験の準備もあり、どういった内容の授業だったかは伝聞でお聞きした。
未知の試料ABCDの色指数を求めて、岩石の分類をする授業形式となっていたようだ。分類の中でBの中に⑤安濃川で採取した閃緑岩と⑥石材のインパラブラックが同じ岩石として扱われていた為、授業で提供する岩石としてはもうちょっとメリハリの効いた数種類にすべきだったというのが結論である。
現実的な事を考えれば、色指数1~5,20~30,60~70程度の3種類に絞って提供するのが使いやすい岩石の構成だろう。
たまたま附属学校に来てくれていたインターンの学生数名に来たタイミングで協力してもらった。その結果から〇のほうがやりやすいという声があった為、そちらで作成した。
そうしてデータを取っていく中で、特に③の花崗岩のG665については非常に低い色指数が得られ、試料として恐らく優秀である事は判明したが、それに対して⑤の閃緑岩や⑥のはんれい岩については数値は大きいもののかなりばらつきのある結果となった。
これは有色鉱物の多く含まれている岩石ほど顕著な問題で、石板の深さ方向に対して上に無色鉱物があって下に有色鉱物がある場合、本来カウントしてはいけないそれまでカウントしてしまうという問題で、これがどれぐらいの厚さまで有効な問題かは観測者の視点によって異なるということである。
また、安濃川の試料については鉱物の自形があまりはっきりしない部分もあり、境界の判然としない部分については大変難しい。
これは表に問題があり、凡例がきちんとしていない。
🔷がAのG665(花崗岩)、■はBの安濃川の閃緑岩+インパラブラック(はんれい岩)、▲はCのシェニートモンチーク(霞石閃長岩)、×はDの幌満の閃緑岩である。
花崗岩のAは色指数7ぐらいにピークをもつ正規分布をしており非常に良いデータが出ているように読み取れる。同じく花崗岩のCもおおむねAと同じような値の範囲に収まっている。
問題は閃緑岩やはんれい岩で、色指数は確かに高めに出ているのだが、観測者の視点によってだいぶ厚み方向の測定に誤差があるようでばらけてしまう。もちろんBに関しては2つの試料が混ざってカウントされてしまっているので、数値がまとまらないのはやむを得ないのだが......。
〇ではなくドミノピザのようなパターンにすればよいのではないかと思いついたが良くなかった。
罫線ではなく、罫線部を透明部にして、その他を有色にしたパターンを敷けば、罫線部の裏側を確実にカウント出来るのではないかと考えて作成したのが左側のパターン。
結果的には大失敗で、これは特に明度の低いパターンほど目の錯覚が発生し、透明罫線の交点に色がついて見える。つまり色指数が実際より大きくなってしまう。最初は交点に色がにじんで見えて目がおかしくなったのかと首をひねっていた。