色指数教材全般 に目を通していただいた諸兄には周知の事であろうかと思われるが、色指数の測定には様々な問題がある。そもそも色指数の測定は教材として必要なのだろうか?
特に問題なのは閃緑岩やはんれい岩の数値がばらつくことであまり数値が信用ならない。かといって花崗岩一つでは面白みに欠ける。
こういった問題を解決すべく大変な労力を払ってでも巨大岩石厚片を作成することに意味があると考えている。
巨大岩石厚片とは私が勝手に作った造語で、10x10cm程度の岩石の"厚い"薄片で(0.03mm程度まで磨り上げた通常の薄片では有色鉱物の色がカウントしづらいことや、製作の難易度が大幅に上がってしまうため)0.15~0.20mm厚程度に研磨を留めた試料のことである。
なお製作に関しては研究資金難の為、色々ながらくたや端材から製作している関係上大き目のガラスを用意出来なかった為、5mm厚程度のアクリル板を10x10cm程度にカットしたものに岩石を貼り付けて巨大岩石厚片としている。
2020年6月北海道巡検 に幌満川の河原で採取した橄欖石はんれい岩
これをカットし、適切な大きさに揃える。 はんれい岩はSiO2濃度が低く、大変切断加工がしやすい。
橄欖石はんれい岩と、その他いくつかの岩石も岩石薄片用のチップとするため小さめにカット
GeoScienceEducation2022年国際大会日本語ポスターセッション
に記載したような手法でとりあえず片面を研磨標本レベルまで磨き上げた。
ポリッシャーのみでは曲面になる恐れがあるので、最初の粗研磨のみ電動研磨機を用いた。
コーナンで販売されていた主剤と硬化剤が一緒に押し出せるゴリラエポキシ接着剤を試用してみる。なお、この時接着するには大きいサイズなので、出来るだけ接着剤の粘性を下げて気泡を抜きやすくする必要がある。
あらかじめ橄欖石はんれい岩を電子レンジで加熱し、その後熱々になった岩石の上にエポキシ接着剤(ゴリラ)を適切な量ひねり出し、混ぜ合わせた。
その後にはんれい岩の上にアクリル板を貼り合わせるなどした。
これも試しに、後で観察する時に曇りアクリルのほうが光源からの光がより均等になって観察しやすくなることを期待して一方は曇りアクリルで製作する。
その後安物ののマイクロゲージで適当な厚みになるまで研磨を行った。
アクリル板がおよそ5mm、接着剤+石が0.7mm前後になるまでは#120~#240で電動研磨を行った。
少し削りすぎたかもしれない。5.49mm
大理石の床等を磨くためのポリッシャー用の研磨ディスク(樹脂にダイヤモンド粒子が練りこんである)は、どうやらダイヤモンド粒子の粒径分布がかなり良いようで、その番号に対して顕著に巨大なダイヤモンド粒が淘汰されているように思う。傷が残りにくいので、水道の水をかけながら適切に研磨を進める。
恐らく0.2mm前後くらいにはなったかと思う。
双眼実体顕微鏡の透過光源が丁度良くはまる上に、学校では数が揃えやすいので利用する。はんれい岩の鉱物の一つ一つの立体感が目視では無くなり、観察しやすくなった。
石板の状態で見た時より色指数が落ちている。というか落ちすぎているように思う。
これは果たして適切なものなのだろうか。
岩石薄片としての厚みではないことが確認される。
見かけには何となく色指数が落ちているような気がする
ケースと蓋を3Dプリンターで印刷し、製作する。出来るだけ素材を節約したかったので肉抜きを行う。ちょっとおしゃれな感じにしたかった。
100%転石だと2回磨かないといけないが、石材から作成すれば二次研磨の一回だけ磨けば良いので楽だし、既に面は平滑になっている事に気づいたので、石材とアクリル板を接着する。
二枚ともそこそこうまく進んだ。
この後二枚とも少し失敗して一部破れた。
現在の進捗
幌満はんれい岩 2枚
インパラブラック 2枚(2枚とも一部破れ)