地学の担当の先生より小麦粉断層実験装置の製作を依頼された。元々O先生製作の小麦粉断層実験装置のセットは職場に置いてあったが、改修工事中にどなたかの先生に貸し出した後返却されなかった(詳細不明)為、本装置考案者O先生の旧職場であるにも関わらず、なぜか小麦粉断層実験装置は無い状態が続いていた。
依頼に当たって、担当の先生のスタンスは"The bigger,the better"であるため、装置には多少なりとも反映されたと思う。
しかし大きい実験装置は保管場所を考えるのが大変だというのは、実験助手側の話である。
アクリルカッターでカットを始めるも、あまりにも時間がかかりそうな事に気づいてダイヤモンドバンドのついたタイル用のプロクソン卓上バンドソーの存在を思い出す
およそ5万円程。およそダイヤモンドより柔らかいものはだいたい切れるので便利。頑張れば曲線加工も大丈夫。
少し厚めにカットして、ガタガタになった端面を大型電動研磨機ですりおろす。
大変楽であるし、綺麗に整う。削りすぎには要注意
Fusion360にて小麦粉とバンホーテンのココアの層を押すための棒を保持する為のガイド兼装置の壁を作成する。端材の大きさに合わせて端面を設計する。
後で気づいたが、3Dプリンターパーツを内側にして、アクリル壁を外側に接着するように設計すべきだった。
あらかじめ端材の大きさに合わせて設計した3Dプリンターパーツをアクリル板にとりつけていく。PLA樹脂もアクリル板もジクロロメタンで溶けるので、アクリル接着剤として売られているものでまとめて両者を接合する
土台は特に大きいアクリル板でがっしりとしたものにした。これで倒れる事はあるまい。
ジクロロメタンに暴露すると左手の指が浮腫んでくる為、あらかじめ手袋をして作業をしている。ここで設計の不備に気付いた。どうしても装置を持ち運ぶときに、外から掴んで持つが、このチカラの向きだと外壁が内側に押される。すると左側のアクリル壁はつっかえ棒のように耐えてくれるが、右側の3Dプリンターパーツ部は剥がれる向きに力が働く。
きちんと押し棒と適切な大きさに成形したアクリル板を接着し、完成。
しかし、なんとなく押し棒の長さが足りないような気がする。せめて装置の半分ぐらいまでは問題なく押せるように長尺版の棒を印刷開始する。
一つうまくいけば、後は簡単なものだ。
といいたいところだが、押し棒の先に取り付ける成形したアクリル板がうまく噛み合う個体とそうでない個体が発生する。調整調整
3Dプリンターで一度に印刷出来るのが容積的に7本だったので初期ロットとしてとりあえず。
多少のバリや角が立っている為、電動研磨機で角を落とす。
次の日が実験なことと、私の退勤時間が迫っている。
超過勤務は厳に忌むべきなので時間内に終わらせたい。
原典ではプリペイドカードのような薄いカードで小麦粉やバンホーテンのココアパウダーを水平に、壁面のみ成型していくことで良い実験になるが、装置が多少大きいことと、時間が無い事、とりあえずそこに沢山アクリル板があったことから、いい感じの厚みのアクリル板をセットしていく。9班分完成(予備なし)
数が足りなかったので蛍光アクリル板も入れた。結構強い光を発色しているように見えて個人的には好きな色だ
良い感じに残っていた衣装ケースの中に丁度9班分収まった
元祖の地にきちんとしたものを収める事が出来て満足した。
ただし時間が無かったので予備実験は行っていない。果たしてきちんとこの実験装置が動作するのか?翌日の先生に投げっぱなしでバトンタッチ。退勤。
翌日の先生にお聞きすると、どの実験装置もうまく動作したとのことだった。利用した小麦粉やココアはそのあとホットプレートで食べ物に加工されたらしい。
準備は時間無さ過ぎて禿げ散らかしそうだったのでうまくいって良かった。