発刊にあたって

1971(昭和46)年7月、「登山の多様な発展、遭難事故の防止、自然を守る、海外登山の普及」を趣意書に謳い帯広勤労者山岳会が結成されてから25年が経ちました。

この問、288名もの仲間が「山へのあこがれ」を共通項としてこの会に集い、四季を通して道内の山はもちろん全国の山へ、そして海外の隆々へと、あふれんばかりの情熱を山に傾けてきました。

そうした仲間たちの数々の足跡を、とりわけ当会のフィールドである日高・東大雪の山城において、「私たちの記録まとめよう。そして、より多様なルートを求め創造的な山行をとりくもう」と記録集制作の構想を総会で確認し、とりくみを始めてから3年がたちました。

作業は私たちの会報「茶房多種」(さぼうたあじゅ 既に226号発行)に掲載された古い記録の選定からすすめました。

同時に当会で依然未知の山・ルートが数多く残されていることから、多くの仲間が意欲的に山行を展開し、この3年間で新たに7つの頂と26のルートを踏破しました。

ここにまとめた記録は、夏尾根ルートは市販のガイドブックに譲って、あまり知られていない沢や冬山ルートに焦点をあて、計88ルートをピックアップしました。

しかし、私たちが体力・技術ともに未熟なうえに休暇などの制約から、帯広から見える山々の尾根、谷、積雪期などアイディアに富んだ山行すべてをアタックするにはまだ多くの時間を必要とします。

この会に集う人たちのほとんどは入会してから初めて本格的な登山を知り、そしてその素晴らしさと可能性に出会った人たちです。

これからも情熱をたぎらせ新しい仲間を迎えつつ・さらに新たなルートを延ばしていきたいと思います。

なお、ここに紹介した記録は、季節、天候、パーティーの力量やメンバーの体調によって大きく変わるため参考資料としてご活用下さい。

最後にこの記録集作成に携わったスタッフを紹介し(五十音順)・関係者の労に感謝を申し上げます。

表紙・中表紙をはじめ幾つかのデッサンは大谷さん。

かわいいイラストは小原さん。

面倒で単調な原稿のワープロ入力を担ってくれたのは岩本さん、笠松さん、鷲見さん。山のデッサンは11人の方に分担していただき、それぞれの味を出してもらいました。

会田さん、岩本さん、太田さん、大山さん、西本さん、広瀬さん、万中さん、三浦明さん、三浦央さん、水野さん、道辻さん。

きれいな概念図の作成は、有山さんと中澤さん。

また、元会員で現在札幌登攀クラブの辻野趣さんには、剣山二の森岩のルート図を提供していただきました。

山と山を愛する仲間が好きなみなさんの楽しく安全な山行を願って。

1997年5月

帯広勤労者山岳会運営委員会