1839峰

(コイカク沢~主稜線~1839峰往復)

○1995年6月10日~11日

○L三浦 藤川 岩本 前田 前野(男3名女2名)

○コースタイム

10日

04:55 札内ヒュッテ

07:15 上二股(Co640m)

09:38 Co1305m

11:05 夏尾根頭(Co1719m)

11:38 コイカク頂上(P1721m)

14:15 ヤオロマップ頂上(P1794m) C1

11日

05:00 C1

07:35 1839峰頂上(P1842m)

10:20 C1

13:30 Co1560m

14:16 夏尾根頭(Co1719m)

15:13 Co1305m

16:25 上二股(Co640m)

17:00 札内ヒュッテ

10日 晴れ後雨。

金曜の夜から事務所に泊まり、翌朝3時半、帯広を出発した。

もう空は明るく札内川林道へと向かう。道路からはこれから私達が目指す日高の山々が朝陽に照らされ、美しく輝いていた。

大規模なダム建設工事現場を過ぎてまもなく行くと山の中に突然真新しい橋が見え、その向こう側には荒く削られた石の塊が置かれていて、そのまた横にちょこんと申し訳なさそうに立っている札内ヒュッテの横に車を置き、沢取り付きへと向かった。

林道歩きはほんの十数分で終わり、林道工事の途中から沢へと降りて行ける。

砂防ダムを左に巻き、何度か渡渉すると函が出てくる。

ここも右岸に巻き道がついている。

地下足袋で行ったもののワラジを付けなくても大丈夫だった。ただ6月の冷えた空気の中、水に足を入れると痛いほど足がジンジンしびれた。

沢歩きを初めて2時間ほどで、上二股に着き登山靴に履き替え地下足袋をデポする。

夏道取り付きば背の高い笹に覆われ、道を探すのにちょっと戸惑うが、大きな図太い木の横を通って踏み跡を見つければ、後は小刻みにテープで目印がしてあるので迷うことはない。

笹が終わり尾根に出ると急な登りでおまけに6月とはいえ、太陽が出ているので超暑い。 玉のような汗をかきながら、どんどん高度を稼いでいくとCo1305mのなかなか広いテン場に出る。

そこで藤川さんが今夜のジンギスカンの野菜にギョウジャニンニクをたくさん採ってきてくれた。これがものすごくおいしかった。

これからが今回もっともきつい急登で、登っても登っても続く急斜面に気が遠くなるような思いがしたが、右側に見える稜線に早く着きたい一心で登り詰め、やっとCo1719mの国境稜線に着いた。

が、既に低気圧の影響でコイカクもカムエクも雲に隠れて見えなかった。コイカクを過ぎた辺りから、ぽつりぽつりと雨が降り出し、始めは降ったり止んだりしていたが、そのうち冷たいザーザー降りとなり、ここからヤオロまでは皆、無言でただただ黙々と進んだ。

コィカクからの稜線歩きは噂に聞いていたとおりハイマツが行く手を阻み「もう~イヤlッ!」って感じになる。

こうしてヤオロに着き、頂上直下にテントを張り、しばらくの間、おつまみを食べながらコンロで冷えた体を温めた。カッパを着ていたものの濡れたジャージは結構不快で足首の締まったところがなかなか乾かず、三浦さんの沢ズボンがうらやましかった。

11日 晴れ。

朝テントから顔を出すと朝陽をいっぱいに浴びた日高の山々が目に飛び込んだ。

冷え込みで凍った靴を履き思わず外に跳び出した。

人生で五本の指にはいるほどそれはそれは美しい光景であった。

昨夜のうちに作っておいた五目ちらしと野菜スープを食べいらない荷物をテントに置いて、予定より1時間遅れの出発になった。

ヤオロからもハイマツがひどいと聞いていたが、所々雪渓があり、時間を短縮できた。

早朝はまだ雪が堅く締まっていて、左右はスパッと切れ落ち、普通のトレッキングシューズでは非常に緊張する場面があった。

暫くアップダウンを繰り返し、90m下った後、3つのピークを越えて最後は岩状の急斜面を登り詰め、念願の1839峰へとたどり着いた。

眼下にはシビチャリカールが美しく、ヤオロのピークには私達のテントが小さく見える。

30分ほど感動に浸った後、またヤオロのテン場へと向かった。

朝、締まっていた雪もだいぶ柔らかくなっていたので気を許したとたんに、ちょっと滑落してしまてた。

テントを回収して、1時間ほどゆっくりした時間を過ごし、長い下山へと入ったのだった。

進むにしたがって1839峰には雲が上がってきていたが私達が夏尾根頭についた頃、別れを惜しむかのように再びその堂々たる山容を私達に見せてくれた。

後は尾根上に咲く花々を観察しながらひたすら沢を目指して急降下する。

(茶房多種No.204記録・前野)