ポンヤオロマップ岳

(ボンヤオロマップ川小函の沢~夏尾根)

○1996年9月21日~22日

○L大山 中澤

○コースタイム

22日 曇り

05:20 東尾根登山口

06:55 Co449皿二股

07:13 Co490m二股

08:10 Co590m二股

09:46~11:02 Co745m

13:11 Co1090m稜線

15:00 東尾根登山口

前夜歴舟林道の終点、ペテガリ東尾根登山口に幕営。

静かなところだが、何となく気味が悪く感じるのは気のせいか。団子を食いながら月も見えず真っ暗な夜を過ごす。

翌朝。沢へは登山口脇から踏み跡がある。

降りた沢幅は10m強、流れは緩やかで、すねを濡らす程度。

入渓してすぐに小さな函、中は埋まっていて膝程度で通過できる。

その名の通りこのあとCo449m二股まで断続的に小さな函(長さ10~20m程)が10個程現れる。

ほとんどが土砂で埋められ、ジャブジャブと歩いて通過できる。

脇をへっるものが1つ。胸ぐらいの淵となっているものが1つ(巻いた)。ここには奥につるつるの3m程の滝があり、泳いで登れるかどうか試してみたい欲望に駆られる。

来年のお楽しみ。

釜泳ぎの大家某H嬢ならばそのまま歓声とともに突入したかもしれない。

Co449mからも穏やかな河原が続く。それでも以前遡行したSから「楽しい」「アルパインだ」などの話を断片的に聞いていたので、先への期待と不安で単調なゴーロも苦にならない。

いつ来るか、あそこを曲がったら…などと紙芝居の次の絵を待つようにワクワクしながら進んでいく。沢は非常に平坦だが屈曲がものすごい。

細かく鋭角なカーブが続く。岩は黒く非常に滑りやすく沢自体も暗く感じる。

地図で「核心はここからですね」と言っていたとおりCo490mを過ぎた途端のカーブを曲がった所にF1。

「でたア」高さは12m程、両岸を岩に囲まれた関門の滝だ。巻くなら大高巻きだが滝の右に取り付く。岩が滑るので緊張するが、中間の3m程を大股によじ登ればあとは順調に滝上まで。

時間節約のためザイルは出さない。ここから滝を越える毎に次の滝が現れるような感じで10m前後の滝が5つ程続く。

いずれも直登若しくはすぐ脇を越せる。いよいよ核心だと気合いが入る。

Co590mの枝沢を分け小滝を一つ越えると先に見えるやつは大物。F1とこの大滝は滝らしく美しい。

この大滝、すぐ左脇の灌木のある壁は細いクラックが一直線に上がっていて登り切れそうにない。

右側の滝から10m程離れた急な浅いルンゼをルートにする。

泥と砕石と草がグジュグジュに混じり合った非常に心許ないルンゼで、取り付いた途

端上からのザイルがほしくなる。

20m程上から灌木混じりの岩場になっており、”なんとかあそこまで早く"と祈りながら登る。

樺の灌木に着き一息。これ以上進む気になれず大山さんにも上がってもらう。

ここからアンザイレンしたのはよいが肝心の支点がとれずに困りながら左へ。

上の灌木にて縄が懸かっており、あそこまで行けばと思ってもその5mが登れない。

しようがなく滝の方へ岩を回り込むと意外にも淵に向かって斜降できそうだ。

最後は入れ替わって確保しつつ落ち口に立つ。すぐ上の5mは流木を頼りにずり上がる。

先は少し滝が小ぶりになるが、脇が立ってきて直登しかなくなってくる。

それが結構緊張する。ザイルを出そうと決断もてず、といって登り始めると“ほしいなあと思うような滝ばかり。いやな感じ。

滝登りに時を忘れるうち、いよいよ事前にエスケープルートと定めた最後の枝沢に出会う(Co745m)。

先へ進めばもう逃げ道はない。“ここなら逃げ込めそうですね”と確認の上先へ進む。

相変わらず登りにくい小滝が続く。6mは滝の中を、その先10mは左のザレから滝の中段へ。

それでも調子よくすすんでいるなあと思いつつ右曲がって“あっ"と驚いた。まずは崩ればかりの大きなスノーブリッジ。

たぶん無くなる前に次の雪が来るのだろう。

まあそれはよいとしても、この先沢は大きく岩が広がり、見上げる限り一つの滝となっていている。

滝というよりも岩場の中央を川が流れ落ちている感じ。

スケール、傾斜・難易度は到底及びもっかないのだろうが一の倉沢の超超ミニ版というイメージだ。どれぐらい上までこれが続くのだろう。

190m、200mはありそう。それでも見事だか美しいとかではなく、むき出しの岩肌の荒々しさばかりが感じられる光景だ。

二人で相談。 「我々ではたっぷりした時間若しくはばりばり登れる技術のどちらかが必要だ」確かに慎重に時間をかければなんとか登り続けていけると見た。

ただ、今日中に降りられるか、となるとSパーティでぎりぎりだったことからみても、岩場の途中でッェルトをかぶるという状況も考えておかねば。

「覚悟を決めて泊まり装備で出直しましよう」と引き返しを決める。

Co745mまで戻って先ほどの枝沢へ。狭いルンゼに細かい登りの5mナメ滝がほとんど一つに繋がっていて真剣に登る。

終わると石積のガレになってホッとした。

沢型はすぐ上で崩れ出し弱い二股。右は20m程のはっきりしたバンドの走る滝。見た目の易しさに取り付いてしまうが、中段からぐっと傾斜が強まりヤバイ!。

左に逃げてまたザイルを出す。そのままツルベで苔苔のナメ滝・藪を越え結局左の沢筋へ移る。こちらの沢身も同様苔苔の急なナメが続いており、登れないので左の斜面に逃げ、そのまま灌木登りとなる。

笹藪はない。急登30分稜線着。本流の様子が見えないかと少し登ってみるが、樹林と灌木に阻まれてわからない。

2名とも疲労しておりすぐ諦める。

2度と来ないと思っていた東尾根の長いダラダラ道をふらふらと登山口へ。

今年は課題がこれで3つも残った。ピラトコミ、化雲下降、小函。“来年は全部必ず"と思いつつ長い林道を戻る。

(茶房多種No.220記録・中澤)