勢多山

(ナカセップ林道からの尾根往復)

○1996年3月9日

○L三浦央 三浦明(男1名女1名)

○コースタイム

09:55 上士幌

10:20 車止め

11:03 Co630m

11:42 Co780m

13:02 勢多山頂上(P997m)

13:20 〃 発

14:20 Co780m

15:00~15:27 Co630m

15:52 車止め

十勝には山スキーに適したルートは多いがそのほとんどは日高山脈の北部に集中しており、もし朝に何かしら仕事が入って早朝から行けない場合には上士幌に住む我々としては参加不可能な距離にある。

そこで思い立って始めたのがこの「開拓」である。

報告はしていないが「第1弾」はアプローチといい斜面の広大さといい文句なしとおもっていた「ナイタイ高原牧場」であった。

しかし2月12日に行ってみるとそこはあまりに傾斜がゆるく(よく考えれば急な斜面で牛さん達を飼うわけにはいかんわなぁ)

ターンをすると止まってしまう程で、ひたすら直滑降をして終わった。

さらにゲートがしまっていて車を使えず、上まで1時間半も歩くというおまけ付きだった。判定は「不可」。

一方で勢多山は平べったい三角形状の白い斜面が開けているのが私の職場からもよく見えて魅力的に思えた。

はたしてこの山は「穴場」というのにふさわしいだろうか?

当日、アメリカ人の2人が風邪を引き参加できなくなったので我々2人は10時前に家を出る。

私の読みでは登りに3時間下り2時間だったので、およそ普通の山行では考えられないゆっくりとした出発になった。

詳しく書こう。

国道273号線を萩が岡まで行ったらその交差点を左(西)に曲がってひたすら道なりに進む。 すると鉱山を営む「十勝ゼオライト」という会社のゲートがあるのでその前の道端に駐車した。

ゲートを入って少し行くと左手にブル道があるのでそこでスキーを履いて登り始める。

勢多川直登ルートも検討したが鉱山の私有地を通らねばならないし、登ってみてわかったことだが尾根への取り付きが急かつ造林のため苦労しそうだ。

さて、そのブル道は300mほどで終わり、あきらめて右手の林に入る。木の密度が薄いのでさほど不快ではない。

すぐ小尾根に出て木を避けつつもできるだけ尾根をはずさないようにしてCo630mのピークに出た。ここもまだ人造林だ。

尾根沿いに進むがアップダウンがけっこうあって、帰りはシールをまた付けねばならないと思うと憂欝になる。

また、地図には出ないがスキーで歩くには不可能な小ピークがいくつかあり、変に巻いたりするとやっかいだ。今回は運良くうまく巻くことができた。

そして最後の小ピークであるCo780mを越えると(これは登らずに左肩、すなわち南側を巻いたほうがよい)、突然木のない広大な斜面が現われて感動させられる。

日勝北斜面よりも広いかも知れない。が、尾根状を歩いていると尾根の上には厚く締まった雪が残っているのに、少し谷に下がったところがらはっきりわかる形で積雪が薄くなり笹がまばらに顔を出している。

南向きの斜面であるだけに雪崩が起きたのだろうか?下の方にはデブリは見えなかったが。

アイスバーンの表面2cmぼどが溶けてペタ雪になった尾根を登り(ラッセルはないがシールに雪が付く)、傾斜が緩くなったところをさらに100m行くと頂上である。

まわりに木があって予想したほどの眺望はなかった。

さて、そんなに時間に余裕がないので後は下りるのみだ。

下りた尾根の両側にも尾根が一本ずつあってそこも滑ると面白そうだ。

雪質は春のスキー場みたいで快適であり妻も健闘している。

Co780mピークは登らないで南側を巻くようにしていくと、登り返しがなくもう200mぼど滑りを楽しむことができる。が、お楽しみはそこまで。

あとはシールを付けてさぼど不快ではない林の中のアップダウンを3回繰り返す。

Co630mピークに出たらまたシールをはずして木の中を慎重に滑った。

天気は最後まで快晴だった。

最後に気付いたことを上げておこう。

地形は複雑で天候によっては迷いやすいが、ひたすら尾根を下って人造林に出たらあとは谷沿いに下ればどこかの道路には出られるので遭難の可能性は低いはずだ。

注意すべきは頂上付近の雪崩であろう。

斜面は「穴場」と考えれば十分満足すべきレベルだが、斜面に出るまで1時間半は林の中を歩かなければならないし、帰りも登り返しがあるところが欠点といえるだろう。

しかし日勝峠北斜面は上士幌から1時間半近く、特に峠付近は心臓に悪い運転を行き帰りすることを考えれば、返りに亀の子温泉もある勢多山の方を好む人もいるのではなかろうか?

一度行ってみることをお勧めしたい。

(茶房多種No.213記録・三浦央)