トムラウシ山

トムラウシ山(温泉からの旧道往復)

○1991年5月3日~4日

○L大沼 館山 吉岡 鷲見(男4名)

○コースタイム

3日

07:20 トムラウシ温泉

09:10 新道分岐

10:20 カムイ天上

11:50 コマドリ沢出会

13:30 前トム平

13:50 Co1820m(C1)

4日

07:00 C1

07:30 コマドリ沢出会

09:30 カムイ天上

10:40 登山口

3日 新道が除雪されておらず旧道よりスキーを担ぎ登る。

Co850mぐらいから雪がある。スキーで登った方が早い。

赤テープがいろんな所についておりCo1000mまではわかりずらいが、新道との分岐からは尾根がはっきりしてくるので迷うことはない。

カムイ天上よりカムイサンケナイ川へ下らず、尾根上に行きトラバースきみにコマドリ沢出合へ下る。

前トム平への登りは風が強く、アイスバーンで完全にアイゼンの世界である。

また前トム平に出ると風はますます強く、地吹雪のホワイトアウトで前進できずCo1820mの岩カゲをテン場とする。

4日 天候は晴れているが、風がものすごく強く(風速20m以上)、前進できず撤退することに決定!

帰りはスキーを楽しんできました。

(茶房多種No.157記録・館山)

トムラウシ山

(ワセダ沢~クワウンナイ源頭~夏尾根)

○1995年8月13日~15日

○L中澤 前田 奥村 水野(男3名女1名)

○コースタイム

13日 雨

10:30トムラウシ温泉

11:15カムイサンケ林道終点

15:30地獄谷(C1)

14日 曇り後晴れ

04:30 Cl

O4:40 ヒサゴ沢分岐

07:00 ワセダ沢分岐

08:00 水枯れる

11:00~12:00 北沼

12:30 コル

14:00 クワンナイ源流(C2)

15日風 雨後晴れ

08:00 C2

09:30 稜線

10:30 北沼

10:45~11:10 南沼

13:30 カムイ天上

15=00 トムラウシ林道

16:30 トムラウシ温泉

13日 お盆山行は沢から沢へと巡り歩く計画でトムラウシ川、ワセダ沢、クワンナイ川を結ぶことにした。

幸い物好きな同行者も得られ、あとは天候だけなのだが。11日までひたすら雨が降り続きかんばしくない。

当日もドヨオ~ヅとした空から時折雨がボヅポツと落ちるような空模様。

温泉着後、車をヌプントムラウシに回送したり、M1氏のキャンピングテントを設営したり(御家族がキャンプしながら帰りを待つのだそうです)して、出発は10時を回っていた。

雨は徐々に強まってほとんど本降りの様相。川の様子が心配だ。水に濁りさえ入っていなければと思うのだが。

「オッたいしたことないです。この前より少ないぐらいだ」というM1の声にホッとする。手早く沢支度をしてスタートする。

川幅は10m程度で膝から腿までぐらいの水が川幅一杯に流れている状況だ。

少ない河原や薮の踏み跡を拾いつつ上流へ向かう。

途中7~8回の渡渉を行う。だいたい股から腰までの渡渉であり、1人で渡るには不安があるのでほとんど4人で組んで渡っていく。

ゴーロが主体なので渡渉点をどこでも選べるのがありがたい。

枝沢を分ける度に水量は確実に減り。後半は1人でも十分渡れる程度だった。

坦々とした歩きを続け、最後に平ナメを過ぎると地獄谷に到着する。

先行パーティが1組幕営していた。

風呂が川沿いに1つ、1人用という感じで作られている。天場は良いところがあまりなく、川よりも2段上の温泉湧出点の脇に張らざるを得ない。

「硫化水素で登山者4人………」なんて新聞記事が頭の隅に浮かぶが、「草のはえてるところなら大丈夫でしょう」という楽天的な意見に同調する。

早く焚き火をして焼き肉と釣った魚と我が身をあぶらねばならない。

焚き火がつかない。この天気でこんなグショグショの木じゃつくわけないか、とどこかで冷めた自分が眺めている。焼き肉はコンロ、我が身は寒さに耐えることにするが、岩魚だけは…と執念を燃やす(でも、燃えるのは執念だけである)。苦節2時間、ようやく僅かにあがる炎と大量の渋い煙の中に岩魚の薫製もどきができあがる。

香りがついてうまいとの評判だったが、作りたくても2度と作れないかもしれない。濡れたジャージ、靴下等脱ぎ捨ててシュラフに潜り込む。

地熱が非常に高いせいか、天幕内は非常に暑い。寝苦しい一夜を送る。

14日 天候霧。

朝風呂の入浴者を確認してスタートとなる。ワセダ沢は5~6mの川幅一杯を膝下程度の流れが洗っている。

河原はほとんどなく、周りの薮を漕ぐか水中を進むしかないので非常に行程がはかどらない。

滝と呼べるほどのものはなく沢を右へ左へ渡っては石を乗り越え薮を漕ぐといった動作を坦々と続けていく。2時間ほどで赤布のついた小さな枝沢が入ってくる。

赤布がなければノータイムで通過するところだ。既に枝沢を2本やり過ごしてきたつもりだったので、ワセダ沢のわけがないとしばし協議。

それでも結局、赤布を無視できずにそちらへ入る。流量は1:5、地図上からは総もできなも、格差である.半信半疑で進んで行くが確認もできない。

ウーンやはりアバウトな対応である。非常に水が冷たいので上部に雪渓があることだけは間違いないようだ。となれば、稜線近くから流れている沢に違いない。

やはりワセダ沢なのだろうか。とにかく足がしびれるほどに冷たくてたまらない。

20分ほどすると突然開けたところに出て、その向こうには4~5段30mの連瀑が懸かっている。

遠くから見たときはゲッと思ったが、意外と傾斜は緩く恐れるほどのものではないようだ。

巻気味に慎重に登っていく。

ここから幾つかの小滝が続くがザイルを出すようなところもなく、いつしかU字谷のツメとなる。ここからが長かった。

稜線に出たときには時間的、体力的、精神的に今日中のクワンナイは遠く彼方に去っていた。

クワンナイ往復を明日に回すことにして、のんびりと源頭へ向かう。北沼の次のコルから左へ入り、沢とも草原ともつかないところを緩やかに辿っていく。

一歩毎に植物を踏みつけることになり、良心の呵責に耐えられないような道のりであった。後悔。

最後は階段状の沢を下って、源頭の幕場に着く。

源頭は岩の斜面とお花畑と細い流れだけがある天国であった。

このころから日が射すようになる。ついに待ちかねた太陽との対面である。

Fは古草鞋の山とキジ場が見えないように視神経を調節してのんびりとした昼寝の午後を大岩の上で過ごしている。

M1は明日の天気予報を気にしながら有り余る体力の消化に周辺を点々としている。

0はひたすら食べてひたすら眠るという人間の3大煩悩のうちの2つに没頭している。

余りにも人間らしい。

M2は睡眠不足に悩みっつ結局眠れないでマットの上をのたうっている。4者4様ののんびりとした午後を過ごす。

夕焼けに明日の好天を期待して早めにシュラフに入る。

夜間の怪談話は時期、場所等シチュエーションが生々しすぎると否決された。

15日 2時半に起床して愕然とする。夜半過ぎから風雨が激しくなったようだ。

ただし知っているのはM2のみ。突然の台風が来襲したのかと思うほどだ。

クワンナイは遠くへ去ったことを実感する。さあもう一度寝ることにしよう。

出発は8時。濃霧と風雨の中を稜線に登り、トムラウシ温泉めがけて長い尾根道を

辿る。

雨は下るほどに強くなり、土砂降りの様相となる。

車を林道まで上げる役目を買って出てくれたM1が先行し、残りの3人で黙々と下る。

途中から道はスネまで埋まる泥田道と化し(尋常なものではない)、悲鳴と絶叫の度にジャージが重くなっていく。腰から下を泥で塗り固め、顔をまだらに染めて林道着。

パンツー丁にならないと到底車に乗り込む勇気が出ない。着替えをヌプン温泉の車に置いたままのFはその後、延々とこの格好で過ごすこととなる。

みっともないことこのうえなく、その上寒い。

天候は下へ着くと同時に晴れ始め、青い空がまぶしい。

イッタイナンナンダ 温泉に浸かって帯広に戻る。ひたすら濡れ続けた3日間であった。

(茶房多種No.206記録・中澤)