芽室岳

芽室岳(芽室川本流沢~夏尾根)

○1995年7月9日

○L岩本 小原 太田(女3名)

○コースタイム曇のち晴のち曇

07:10 芽室小屋

12:30 国境稜線(Co1630m)

12:50 芽室西崎頂上(P1746m)

14:05 芽室岳頂上(P1754m)

15:00 〃 発

17:25 芽室小屋

早朝の登山ロは白い霧が立ちこめていた。

気温が上がるといいのにねえと言いながら出発の準備をする。

ヘルメットをかぶり、岩本さん、千代ちゃんは地下足袋にフェルトわらじ、私はウェディングシューズで足元を固める。

前日に同じルートを歩いた道辻さん達の情報では予想以上にハードで予定よりもかなり時間がかかったそうな。

で、我々は難所に備えそれぞれがハーネスを持参し、岩本さんがザイルを背負った。

登山口の丸木橋を横目に芽室川を歩き始める。

思ったほど水は冷たくなく、パシャパシャと進んでいく。

ところどころ石がぬるつと滑り、はっと目が覚める。

いつのまにか霧が晴れ陽が射してきた。さすがに夏の太陽のパワーは偉大だ。小休止のときには日焼け止めを塗り込む。

気休めかもしれないけど。薄曇りのほうが紫外線は強いんだっけ。

千代ちゃんが大枚?千円をはたいて買った○○堂UVカットSPF45はおすすめ。

いよいよお待ちかねの滝が登場。

直登するには恐い高さだ。先頭の岩本さんは左側から難なく登り、あっというまに滝の上に立っていた。

残る二人がしばし立ち往生。

足元がズルッと滑ったり、手をかけた岩がポロッと崩れたりする。

あるものは何でも使え、とばかりに横一面に生えているイワイチョウを掴むと、あっけなくずぼっと抜けてくる。「頼りない草だね」と文句をいいながら滝を回避しつつよじ登る。

イワイチョウにはかわいそうなことをした。

上に立って滝を見おろすと高度感が増し迫力がある。

下は小さな滝壷だが、落ちると痛いだろうなあ。そのうちに雪渓が現れる。

どれくらいの大きさかわからないが、見える範囲はずっと白いので、私は登山靴にはきかえる。

岩本さんはピッケルを取り出した。

もう雪もずいぶん薄黒く汚れていて、かき氷の食欲はわかなかった。

ときどき足の下に水の流れる音を感じた。

再び沢道となり、靴を沢シューズにはきかえる。これが結構面倒である。

濡れたインナーシューズをはくのに手間取る。

私はものぐさなほうなので、次の雪渓が出てきたときはもう靴をはきかえるのはやめた。

道が二股、三股に分かれているところでも的確な方向を選択でき、今回の地図の読み方は完壁だったと岩本さんはご満悦。

おかげでたいした薮漕ぎもなく、出発から約5時間で無事、稜線に立つことができた。

よく見るとあたり一面のお花畑であった。ウラジロナナカマド、ウコンウツギが満開で、アオノツガザクラ、エゾノツガザクラの花も始まりつつあった。あとは西崎に向かってハイマツ漕ぎだった。

松ヤニの香りは好きだけど、行く手を阻む枝や根っこ、それとブヨや薮蚊など小さな虫の大群にはうんざりした。

ようやく西峰頂上に着く。一晩凍らせた缶ビールが飲み頃に溶けている。

最初の一ロの刹那的な快楽・夏はやっぱりビール。

伏美岳、ビパイロ岳が青く見える。15分ほどくつろいでから本降へ向かう。

ハイマツの悪意を感じつつ再び薮漕ぎ、お花畑を過ぎ、西峰分岐を通り芽室岳頂上へ。

眺めもよくいろいろな山が見えたような気がするが、私は山の名を覚えるのが苦手なのでほとんど同定できなかった。

ここでラーメンを作った。マルちゃんラーメン(ほうれん草、ゆで卵入り)と怪しげなネパール製ラーメン(増えるわかめちゃん入り)。

マルちゃんは間違いなく美味だったのだけど、ネパールはいまいち受けが悪かった。

少々古かろうが、油焼けしてようが、山で食べると何でもおいしいはず

「食」に関しては人それぞれのこだわりがあるのかしらん。う一む。

下りはだらだらと単調な夏道を飽き飽きしながら歩いた。途中、笹原のそばで休憩するとやっぱりマダニを発見した。

千代ちゃんはしっかり咬まれたらしい。

下山後の総仕上げとして、温泉でのグルーミングをお忘れなく。

(茶房多種No.205記録・小原)

芽室岳(夏尾根往復)

○1996年3月9日~10日

○L前田 大山 水野(男2名女1名)

○コースタイム

9日

08:20 円山牧場・車止め

10:50 芽室小屋

14:00 Co1100m(C1)

10日

06:00 C1

08:00 Co1690m分岐

09:00~10:00 芽室西峰(P1746m)

10:45 芽室岳頂上(P1754m)

12:50 C1(Co1100m)

14:20 芽室小屋

15:50 円山牧場・車止め

冬の芽室岳は自分にとって3度目の挑戦。

9日天気も良く、つらい林道歩きを覚悟し出発する。私と0氏は、Mさんに申し訳ないが、ザックをボブスレーに縛りつけ歩き始める。

そりのバランスにちょっと気を使うが、体の負担が少なくスタミナ温存に大変よいと思う。それでも林道歩きは嫌なもので、「ア~嫌だ~」と思うと山行部長の顔が頭をよぎった。

そのうち森にとけこむように建つ芽室小屋に到着。

ラーメンを食べながら、今日はここで泊まろうかと、小屋の快適さに誘惑されながらも出発。

1月にN氏ら3人が作ったイグルーをめざし、尾根に取りつく。

期待したトレースはなく、10cm程の雪をラッセル。

けっこう雪質は良く、下りのスキーが楽しみだ。

1000m付近に作ったというイグルーは見当たらない。Co1100mに幕営するが、ここで大アクシデント。

ボールが1本ない。

それでもテントを張り風が吹かないことを祈る。

時間があるので私と0氏はそこら辺でスキーを楽しむ。夜は心配した風もなく快適。Mさん特製ニンニクいっぱいチゲ鍋を食べシュラフに潜る。

10日今日も天気は最高、無風快晴。

日射しが熱い。西崎を先にめざす。Co1500mでスキーをデボ。主稜線までの急斜面をアイゼンを履き、バテパテになり登る。

分岐に着くと、雲一つない空に日高の白い山が目に飛びこんできた。3人で山の名前をあてながら感動。

西峰への登りもつらかった。クラストの上を足が埋まらないところを選んで登る。

ラッセルしない分、楽なはずが息切れ。タバコを止めればもっと楽なのだろうなと思いつつ西峰着。

またタバコに火を付ける、やっぱり無駄な考えであった。

ビールを持ってきたら良かったと後悔し芽室岳へ。

雪が少なく夏道を辿って芽室頂上へ。

雪の照り返しが眩しい。冬の日高1日2峰の贅沢をありがたく思い下山。

テン場に着くと、ないはずのポールがテントの前に刺さっている。スキーで滑った跡もある。

誰かが持ってきてくれたようだ。誰が?いろいろ推理するが、わからないままテントをしまい、まあまあの雪質にスキーを楽しみ、無事下山。

しかし、今もポールのミステリーは解明されていない。

(茶房多種No.213記録・前田)