みなさんは軍歌をお聞きになられた事がありますか?
軍歌は主に部隊やその兵士の士気を高める為に行軍の際などに歌われました。
陸兵は、重い荷物を背負いながら長い距離を何日もひたすら歩き続け、時には負傷した戦友を背負い、行く先といえば明日の命さえもわからない前線です。
当然彼らの疲労は限界に達し、場合によっては補給線を断たれ食料不足に悩まされたり、場所によっては何よりも大切な水さえ無く、弱る身体にはマラリアやデング熱、赤痢などの病気という見えない敵とも闘わなくてはなりませんでした。
飢えと病気、その先に待ち構えるのは自分達を殺そうとする敵がいる前線。
体力的にも精神的にも想像を超える過酷な状況です。
そんな兵士達の慰めは、日本にいる家族や恋人たちからの手紙などの慰問品でした。
しかし、その慰問の品も補給線が断たれ、南方や大陸の兵士たちのもとへ届かない場合も多々ありました。
そんな兵士たちの苦労を歌う「戦時歌謡」の歌詞は悲しく聞く事さえ辛いものが多く、士気が下がるとの理由から軍隊では禁止される歌もたくさんありました。
現在でもカラオケで歌われる藤田まさと作詞、大村能章作曲の「麦と兵隊」を例にあげて見てみましょう。
曲こそは行進曲でありますが、その歌詞は
「友を背にして道無き道を、行けば戦野は夜の雨、『すまぬ、すまぬ』を背中に聞けば『馬鹿を言うな』とまた進む…」
とあり、負傷した戦友を背負いながらの行軍、そして背負われた戦友は申し訳なく思い「すまぬ」を連呼する…。
この歌詞から見えてくるのは、生死を共にし友情よりも深いものが彼らの中に芽生え、さらにその後の生死を賭けた戦いに向けさらに行軍する、という構図です。
このように軍歌を聞く(見る)事により、当時の苦労や状況が想像でき、涙無しでは聞けない物でもあります。
そのほか有名なところでは「暁に祈る」の歌詞も、兵士の命懸けの戦いと異国の地での壮絶な戦い、そして戦いの末に死を覚悟して遺書を書く、というような内容です。
戦時中によく街角でラジオ等から耳にする歌や一般に国民に歌われたものは、「愛国行進曲」や「日の丸行進曲」「大日本の歌」他、国民の戦争に対する士気高揚の為、日本を讃える歌が多く流れていたようです。
まるでテレビでよく見る北朝鮮のようですが、当時は軍国主義の戦時中でしたので当たり前の事でした。
また、家族や近所の方が出征する時などには、見送りの方々は「露営の歌」などを歌って、出征兵士を勇気付けたようです。
みなさんがご存知の「軍艦行進曲」は、現在でも海上自衛隊の観艦式や艦船が出航する際に演奏されます。
このように現代における軍歌とは、当時の日本人の想いや生活を知るうえでも非常に参考となる資料であると言えます。
YouTubeなどで曲名などを入力し検索すればたくさん聞く事が出来ますので、機会があれば一度聞いてみてはいかがでしょうか。