第Ⅶ防衛ライン

序章

 まだⅦ番目の"境界"が存在した時代。

オスクリダドは迫りくる不変量と交戦する。


 「夢を壊そうとしているの?」


 「そうじゃない、日常を守るためなのよ」


 オスクリダドは古の不変量を抜けた者。

オスクリダドは、幽月霊剣という"継承武器"で不変量の魔法を防ぐ。


 「私の幻想を壊す者よ」


 「あら、あなたはアリス」


 「全ての"不変量"の長」


 「ああ、私こそが最初の魔法使いだ」


 それは属性の爆轟を引き起こし、

とりとめのない、極大めく属性エネルギーは超冪され、

ヘキセーションされる属性エネルギーは、存在を否定する力。

全ての属性の爆轟が、複数の珠玉によって演算された。


 「失効<ディスペル>せよ」


 「再び壁が破壊される時」


 「守るよ!」


 全属性タプルされる極大めく属性の力はペンテーションされ、

第Ⅶ防衛ラインめがけて放たれる。

オスクリダドはこの力に懐かしさを覚えた。


 「どうしてこの空間で、その力を?」


 それは零元の力だった。

かつてレヴァリエ空間では幽字の代数に零元という強力な力が存在していた。

アリスは7つの零元のグレイブを使用し、

それぞれで属性エネルギーを放つ。


 「毋れ、毋れ、とりとめのない力よ」


 オスクリダドは、

極限のグレイブを使用し、

失効<ディスペル>を試みた。

第Ⅰ話

 夢現世界となってから、

永い時間が過ぎた。


 調香師のカオリは、

盾の魔法を習得した。

盾の魔法は超冪する属性エネルギーを防ぐことができる。


 強力な魔法には"濃度"が存在する。

濃度が高い魔法では、通常では無限のエネルギーにも思える力も米粒のように考えられることがある。

長い時間の中で、それよりも強力な魔法が開発されるためである。

その為、第Ⅷ防衛ラインでは、25𥝱個の盾の魔法が使用され、

それぞれに珠玉の効果を弱める作用が与えられた。


 しかし、珠玉によってそれを実現する事はできないため、

星音という開発者は、"量子"の力を用いた。

量子は非常に高度な"公理"が適用される。

しかし、人類はあまりにも永い時間で魔法を超える魔法を作り出してしまった。


 それでもアリスは第Ⅷ防衛ラインを破壊したのだ。

アリスの魔力は止まる事が無かった。

幽六花歴 30穣年 アリスによって噩噩が消滅する。

ドルミエンテは水鞠の町で茶を飲む。


 「記録して、これまでの3極年の歴史を」

第Ⅱ話

 非数時間での出来事。

"伝説"であるアリスと邂逅する。

群鶴が舞う。


 鴛鴦茶を飲むフオファは、

非数時間にアリスと邂逅した。

アリスは不可能色の属性の魔法を使用する。

疎な風が吹く空間に霏々と六花が降る。


 空和と空積を演算する魔術は、

"異種物質"を見やる。

異種物質は異なる公理の世界の因子からなる物質である。


 超高速移動する魔術師たちは、

不可能色で不可能図形を描く、非数時間に存在していた画家である。


 虚数時間に移動したアリスは、

異種物質からなる珠玉を手にする。

詩を詠うソーサラーは、

異種物質からなる継承物質を創造した。

第Ⅲ話

 すずりガラスの奥で琴をつま弾く、

織姫星でオスクリダドは旋律を奏でる。

覚めない夢、夢か現か忘却する夢現の世界。


 憑依の力は、

肉体に異なる魂が入り、

魂が肉体を操作する力である。


 また物質に憑依する事も可能だ。

魔王が引き起こした、極大の歪みの影響で、

今ではほとんどの者が継承武器を創造できる。

複合継承武器、あるいは鎖晶複合体は、


 違う形態に変化する継承武器だ。

獣化するソーサラーは変形する継承武器を装備し、

憑依された人形を解放した。

黄昏の時間、窓の外は橙色に染まる。