プロローグ

序章

 "公理異常"、

それは非数の世界に巣食う者。

通常の魔物よりも強力な存在だ。

 非数の世界では絶えず世界の法則である公理が崩れ、

空間に矛盾が出現する。

 また、"終焉転調"や"標数改変"という現象が生じる。

また非数の世界は境界の外側にある世界。

この地で、"リン"という魔術師は不可能図形を描いた。

不可能図形は魔法のプログラムであり、

効果が履行されると、公理異常は消滅した。

境界の内部、境界の外側。

 何時の日か、現実と虚構の境界が"壊れた"。

何度か人類は再び境界を作り出した。

そしてⅩⅢ番目の境界が作られたが、


 再び"彼ら"の手によって破壊された。

境界の外側の世界では、

現実とは異なる公理の影響を防ぐために鎧を纏う必要がある。

リンは鎧を脱いで、

現実の世界に戻った。


 「カオリ」


 リンはカオリという調香師に、

時筆に関する情報を伝えた。

時筆、それは時間に干渉する物質。

その物質を使えば、過去に戻って"彼ら"によって境界が破壊された、

その事実自体をなかったことにできるのかもしれないと。


 「でも、時を超える事は"時間矛盾〈タイムパラドックス〉"の危険をある」

第Ⅰ話

 「雪の花よ、この乱世の時代に」


 「再び光を」


 現代の幽六花姫は、

境界を作るために高度な魔術を構成する。

時筆の管理者、

彼の目的はわからない。


 たゆたう光、

再びあの勇者が帰ってくるならば。

世界の境界を壊した者 魔王。

魔王を倒した勇者は今、この世界にいない。


 花火を見た。

刹那の花は美しく。

機械仕掛けの部屋。

そこで時筆の管理者は機械を操作していた。

第Ⅱ話

 窓から外を見る。

虹色の剣は今なお輝く。

魔王を倒した、真の力を解放した星筆。

 それが虹色の剣。

正式には"ムーンボーブレイド"という。

月虹を宿すその剣には混沌を消し去る力があると言われる。


 虹色の剣は7つの剣に分離する事ができる。

赤、橙、黄、緑、青、藍、紫だ。

虹色の剣は幽六花姫によって管理されている。

幽六花姫の操作によって、分離と融合ができる。


 普段は守護者という人物が一つのムーンボーブレイドを扱う。

この夢現の世界。

その深淵には何が存在するのか。


 新幽六花国、

それは境界の外側の世界だ。

新幽六花国では祝祭が開かれる。

第13045回幽六花祭、

その記念するべき日に、公理異常は現れた。


 「敵襲!」


 守護者はムーンボーブレイドを手にする。

第Ⅲ話

 水鞠の町、

それはかつて霏々という幻想に存在した場所。


 水鞠の町の滝のふもとで、

ドルミエンテは水鞠の町の呪術師と会話していた。


 レヴァリエ空間、

それは夢と現実が混ざり合う前の幻想側の世界の事だ。


 かつてのレヴァリエ空間、霏々は境界の破壊者 不変量の起点だ。

不変量の長たるアリスはかつてこの地に訪れていた。

ドルミエンテは圕の魔術を操る者、

圕は記録する過去を今を、

ゆえに時間の流れを超えて保存する事ができる。


 もしも弱肉強食の世界で、

淘汰に敗れたとしても、

創造と破壊を繰り返す時間の中で失われても、

圕が記録を残していれば、それは再生の手掛かりとなる。


 ドルミエンテの圕。

そこには今に至るまでの"過去"が保存されている。

ドルミエンテは全ての属性の魔法を操る事ができる。

春、夏、秋、冬、それは永遠に続くべき"不変量"である。


 「不変なる圕よ」


 「これからも、これまでの記録を...」


 「永遠に」