鎖晶船

序章

 空に大きな”竜”が現れる。


 「行くよスオーノ」


 ここはクランの”隠し扉”の先。

隠し扉の先には乗り物があった。


 「これは?」


 「鎖晶船」


 「鎖晶?変な名前だねぇ」


 「鎖晶船システム、起動します」


 「菖蒲システムと連携します」


 「アカウント認証、アヤメ、スオーノ」


 「発進フェーズに移行します」


 「私は船体の向きと座標を操縦する」


 「スオーノは武器を操縦して」


 「初心者だけどいけるかね」


 目前に存在するのはただただ巨大な竜。


 「報告、”無風”を検知」


 「対凪マスクを装備」


 「鎖晶銃、エネルギーチャージ中」


 「攻撃形式の選択」


 「超能力で」


 竜が滑空しこちらに向かってきた!

私は船を回転させ、攻撃を避ける。


 「敵対存在の耐性の分析」


 「弱点属性に切り替え」


 「鎖晶エレクトロキネシス砲、発射!」


 「UIアクティブ、”風鈴”起動」


 風鈴は”無風”の深刻度を知ることができる。


 「風鈴、入力レベル0」


 「船体と旋律の花をリンク」


 「了解、”旋律の宝石”を取り出します」


 「”霊体化”を実行」


 私は肉体を捨てて、霊力のみで戦う。


 「警告、旋律の宝石が存在しません」


 「旋律の宝石は旋律の花のスーパーオブジェクトです」


 「構わない」


 「”層”の切り替えを実行」


 「意識モードを切り替えます」


 私は旋律領域で戦うことにした。

第Ⅰ話

 旋律領域内にて、


 「あれは?」


 竜の旋律の花だ。

魔力の”無風”で旋律の花を枯らせる。


 「コアの再設定を!」


 「了解、旋律の宝石をセットします」


 竜は”無風状態”となっている。


 「スオーノ!行け!」


 鎖晶船の超能力により竜は消滅した。


クラン拠点内にて


 「アヤメってハンバーグ好きなの?」


 「まあ?そうね…」


 「スオーノは?」


 「俺は牡蠣かな」


 「ここは風が吹かず穏やかな場所ですね」


 「誰!?」


 「驚かないでください”クラン狩り”でも”歪冪”でもないので」


 「それよりクランリーダー」


 「別の勢力がこの”不変の都”にいます」


 「別の勢力?」


 「ええ、クランの”時筆歪隊”です」


 「時筆歪隊…」


 「私も戦います!」


 不変の都にて


 「大規模な時空の歪みが発生しています」


 「私別の時空の存在なんですよね」


 時筆歪隊は攻撃してきた。

謎の人物はカスタネットで烈火の律動を刻む。

スオーノはクラリネットの音色で空虚の旋律を奏でる。

私は歪冪筆、終わりの杼で攻撃する。


 「時筆の管理者、なぜ裏切るのですか?」


 「世界の本質とは混沌」


 「これは我が諦観」


 時計の魔法陣が展開される。

謎の人物は踊る。


 「“モンタニャ舞踏 -線形の舞-”」

第Ⅱ話

 「ほう継承武器の守護者とは」


 「”歪冪の使者”よ」


 「”歪冪なる風”よ」


 “歪冪風”が吹き荒れる。


 「退くぞ!」


 “門”が開いた。

海?


 「図書館?」


 「目覚めたか」


 「ここは世界樹の水中図書館」


 「ここには文字の場に存在している液体が空間を満たしている」


 「未定義だ、気をつけろ」


 未定義が襲ってくる。

歪冪筆と終わりの杼で未定義を斬る。

未定義は消滅する。


 「ここにも混沌の力が…」


 「混沌の風が吹く」


 「この”篩”を付けるといい」


 「篩?」


 「篩は毒から存在を守る」


 水の中にふわふわと泡が浮かぶ…


 「まずは混沌に侵された”液体”を元に戻そう」


 「この幽字を斬れば問題ない」


 水の色が変わった。


 「篩を外しても良いぞ」


 「今のは?」


 「”液体”の”次元”を書き換えた」


 「まずは”元居た世界”に戻ろう」


 「この世界樹には各世界につながる門が存在する」


 謎の人物はエレベーターに乗った。


 「”門”の間じゃ」


 「ここだな」


 「来なさい」


 「やっと元の世界に帰れた!」


 「あれは?」


 「鎖晶」


 「あれは混沌の意志に染まっている」


 「破壊するぞ」


 “鎖晶”は破壊された。

第Ⅲ話

 “鎖晶”を全て破壊した。


 「混沌が空間を侵食している…」


 「いや私を狙っているのか」


 “門”は開かれた。


 「誰だ!」


 「痛た…」


 「侵入者め!」


 「”真偽”の国か」


 「”論理”の否定」


 「逃げるぞ」


 「これは…」


 ???


 「ここは?」


 「コラージュ空間」


 「コラージュ空間?」


 「別の時空と混じった世界だ」


 「あれは!?」


 そこにはもう一人のアヤメがいた。


 「やはりな」


 「あれを破壊するぞ」


 「ええ!」


 複製アヤメは魔力の槍を形成する。

アヤメは超能力で破壊する。

複製アヤメは六花を展開し、

アヤメは終わりの杼と歪冪筆で六花を破る。

複製アヤメは薙刀を召喚する。

スオーノの律動により攻撃を防がれる。

謎の人物のカスタネットの律動が複製アヤメを消滅させる。


 「不変の都に帰りましょう」


 「ええ」

第Ⅳ話

 「”鎖晶空間”か」


 そこは白く波が壁を這う空間だった。


 !?


 「これは!?」


 鎖が腕を縛る。

謎の人物は鎖を斬った。


 「ありがとう」


 「名前、まだ聞いていなかったよね」


 「名もなき女神じゃ」


 コラージュ空間に移動する。

私は螺旋階段を降りる。


 「ここは”分岐”じゃ」


 「分岐?」


 「ええ、お前には2つの可能性がある」


 「本当の自分に会うか」


 「それとも旅を続けるか」


 「私は旅を続けたい」


 「そうか」


 「なら今後は別行動じゃ」


 「どうして?」


 「ふふふ」


 謎の人物は去っていった。

海だ。

泥のように黒く底の見えない海。


 「無風の領域…」


 「スオーノ大丈夫?」


 「あそこに道がある」


 「うん」


 「これは何?」


 道は砂浜で途切れている…

近くには服が置いてある。


 「お前、似合うんじゃないか?」


 私はその服を着る。


 「ついにお前も無風の衣を纏うのか…」


 「誰?」