プロローグ

序章

 機械が並ぶ星。

そこで少年と女は戦っていた。

女は桜色の髪で、紫色の目だ。


 「君はなぜここに?」


 女が放った矢を、少年は回避する。


 「知らない」


 少年は"杼"で"魔法"を織る。


 「ここは僕たちの星だ」


 女は魔法で回避する。


 「これがあたしの仕事なの」


 2人は魔法で星を離れ、

"宇宙"で戦っていた。

女は魔法の文字(幽字)を並べ、魔法を"定義"する。

定義された魔法は大量の矢を放った。


 「...関数魔法 "歪冪なる矢"」


 少年は魔法を"糸"に変え、"魔術の布"が展開される。


 「杼よ!魔力を織れ!」


 魔力は"糸"となり、宇宙に"魔術の布"が配置される。


 「...劣勢か」


 女は"関数魔法"で別の"星"に行った。

彼女の名はサファイア、目的は不明だ。


 「まてよ!」


 少年が住む星は"織姫星"。

少年は"織姫星"のリーダー、"ベガ"へ報告に向かった。


 「という事があってだよ...」


 "ベガ(織姫)"は椅子から立ち、


 「じゃあ、その事は"ベガの杼"に伝えておくよ」


 「って言うか」


 「私じゃなくて"彼"に伝えるべきなんじゃない?」

第Ⅰ話

 そして少年は"ベガの杼"の拠点に向かった。


 「...スオーノ、あのは"ベガ"から聞いている」


 彼は"ベガの杼"のリーダーだ。

彼は壊れた機械を修復していた。


 「しかし」


 「似たことが隣の"彦星"でも報告されているようだ」


 「お前も確認に行った方がいいんじゃないか?」


 スオーノは大きな声で、


 「了解です!」


 と言った。


 それから少年は"可変城門"がある広場に向かった。


 「"可変城門"って変な名前だよな」


 少年は"可変城門"から、"彦星"に向かった。


"可変城門"は変わった物で、何故か"ベガ"は1年に一度、

それも"7月"の"7日"にしか渡ることができない。

 しかし、"ベガの杼"はいつ通っても良いことになっている。

"織姫星"では"電気"を使った、"機械"が発展しているが、

隣の"彦星"では"蒸気"を使った、"機械"が発展している。

 そして、その"彦星"では、

明らかに"織姫星"より、被害が大きかった。

第Ⅱ話

 "ベガ"は"織姫星"で"布"を作っていた、

"布"は"糸"によって織られる。

 "ベガ"が使う"織り機"は特別な物で、

"ベガ"が"筬"を打つ度、高い音を奏で、

"ベガ"が"踏み木"を踏むと低い音を奏でる。

"ベガ"が織っている物は"布"であり、"旋律"だ。


 そのため"ベガ"は"旋律の織姫"と呼ばれる。

"ベガ"は星空を眺めながら、1年に一度しか会う事ができない、

ある"牛飼いの少年"を思い出していた。

 一方、

"ベガの杼"のリーダーは"計算機"という物を使っていた、

どうやら彼は"データ型"による"例外"に困っているようだ。

"データ"は0と1によって記述される、

"離散"化された物だが、

 そんな0と1の組み合わせにも"分類"が必要だ。

例えば、0と1だけでは"文字"を表すことが不可能だ、

そこで"データ型"で、そのデータを"文字"と認識させた上で、

その0と1の""にそれぞれの"文字"を"対応"させる。

 別の例を挙げよう、

実は"数値"も本来表現することができない。

なぜならその"情報"は、

0と1以外の"情報"を持たないからだ。

 しかし厳密には"0と1"だけでも"数値"として扱う事ができる、

細かい部分は省くが、"0"は"数字"であり、"1"もまた"数字"だ。

後は先ほどのように、

 "データ型"つまり"型"によって、いくつで"桁があがる"か、

どの"種類"の"数値"を使うかを決める。

つまり"型"は"情報"の"種類"を"計算機"に教えるためにある。

第Ⅲ話

 "彦星"の"車輪の再発明"という"迷宮"に僕は向かった。

この"車輪の再発明"にあの女は"侵入"した可能性があった。

"車輪の再発明"では"機械"でよく使われている物を文字通り"再発明"する。

ここで"再発明"された"機械"はより優れた物になっている事が多い。

 対して"織姫星"では"機械"の"再利用性"が重要視され、

いくつかの"機械"は""にある。

突然僕は"魔物"に襲われた。


 「どうして"魔物"が!」


 "魔物"は僕に攻撃を試行する

試行はスキル、通常攻撃、奥義を使用する時、

その発生の条件に確率を伴う場合、

一定確率で対象の操作が可能だ。


 「"律動魔法 -四分-"!」

 "律動"を持った"魔法"が設置される。

"魔法"は一定の間隔で"空間"を流れる。

律動は一定時間毎に発生する魔法を予約できる。


 「"律動魔法 -八分三連-"!」


 より"細かい"律動により、

そこに"魔物"はいなかった。

 しかし、"魔物"はさらに数を増やす。


 「"情報魔術 -幽字型演算-"」


 "ベガの杼"のリーダーが現れる。


 「大丈夫か?」

第Ⅳ話

 "情報"を得意とする"ベガの杼"のリーダーと、

"音"を得意とする僕は"魔物"を倒しながら、"車輪の再発明"の奥を目指した。

そこには"文字"で作られた"文字次元世界"があった。


 「待て、スオーノ」


 "ベガの杼"のリーダーは"文字次元世界"に"アクセス"した。

僕の視覚は0と1、いや"バイナリー"に覆われる。

そこは大量の"数式"が記述されていた。


 「"式"次元世界か...」


 "式"によって、"魔物"が"定義"される。


 「スオーノ、"魔物"を倒してくれ」


 「俺はこの"式"を書き換える」


 僕は"律動"の"魔法"を使って、

"文字次元世界"は"律動"にあふれる。

しかし、"魔物"の数は圧倒的だ。

 僕は"杼"を"鍵盤"に変えた。

"鍵盤"への"入力"は"旋律"となる。

さらに僕は"音"を重ね、"和音"を作った。

和音は進行を持つ。


 「"空蝉の調べ" 演奏開始」


 "楽曲"は"音"の集まりで、

その調べは"魔術"を織った。


 「"ベガの杼 リポジトリ"から"プログラム"の"ダウンロード"完了」


 "ベガの杼"のリーダーはそう言った。


 「終わったか!」


 「いや、まだだ」


 まだ"魔物"は多い。


 「"インストール"を開始する」


 そして僕は、


 「よし行くぞ!」


 「"律動魔法 -百二十八分 七連-"」


 しかし、非常に騒がしいと思い僕は、


 「"音"は無しっと」


 その隙間の無い"魔法"により、"魔物"は消滅する。

そして、


 「"インストール"終了」


 "プログラム"は実行され、"文字次元世界"も消滅した。

第Ⅴ話

 「"あつく重い魔術っと"」


 桜色に紫色の目の女が現れる。


 「私たちは"形容詞の使い"」


 その言葉に"ベガの杼"のリーダーは驚く。


 「まさか..."離散の使い"!」


 女は笑う。


 「ふふふ..."形容詞"はいいですね」


 僕は質問する。


 「"形容詞"って何?」


 すると女は、


 「あたしたちは君たちの敵ではない」


 「何故なら"過去に会った事がある"」


 「"彼(ルベライト)"の目的は"破壊"ではなく"創造"」


 「ただ素直じゃないだけなんだ」


 "ベガの杼"のリーダーは質問する。


 「お前は滅びたはずの"魔王"の使者なのか?」


 「もし"魔王"がまだ存在しているならば」


 「戦いではなく話し合いを...」


 しかしそこには大量の"魔術"が設置されていた。


 「たしかに"彼"は"幽六花の国"で"複素"の力を失った」


 「...でも」


 「"あれは私の知っている魔王ではない"」


 「戦いと言う名の"対話"ですよ...ふふふ!」


 "ベガの杼"のリーダーは、


 「会話にならないな」


 僕はこう言った、


 「でも"魔王"は終わることの無い戦闘が目的なんだろう」


 「ここで対立したら...」


 「魔王の思い通りだ」


 しかし、僕は魔術に覆われた。


 「これはあなたのためなんですよ "スオーノ"」