62 「三井報恩会特定振興村」の碑   大巻字梅ノ木 彦部公民館敷地内


三井報恩会では、東北地方で相次ぐ冷害による農村窮乏を救うべく、経済更生モデル農村として、青森県西平内村と岩手県彦部村の2か村を指定した。岩手県庁内にも彦部村振興会が設置され、各方面からの援助のもと農村振興のさまざまな事業が実施された。その際、彦部村の中心部、大巻地区の喜久屋商店(現在「大巻農産」)前、国道456号線道路脇に南面に「三井報恩会特定振興村」、西面に「岩手縣指定經濟更生村」、北面に「中央教化團體聯合會指定教化村」の木標が建っていた。腐朽し失われたが、残っている写真をもとに文字を石碑に復元、全体的に大きな形状として、紫波町彦部公民館の奥庭に、平成26(2014)年611日建立、除幕式、祝賀会を行った。

因みに、三井報恩会からの援助資金総額は、35,800円。当時の彦部村の年間予算は21,700円であったからいかに巨額な援助であったかが分かる。

指定期間は昭和10年(1935)より5年間。当時の村の予算を上回る多額の資金援助のもとに乳牛、緬羊、アンゴラ兎の飼育などの畜産振興、台所改善や農繁託児所の設置など生活改善事業、基幹の稲作、村内3か所に設置された共同作業所では蓆などのわら工品の製作やホームスパンの生産、バターの生産、コンクリート製の堆肥場の設置、ガラス窓による明るい台所作り等きめ細かな改善がなされたのであった。

等々多岐にわたる施策が三井報恩会と岩手県当局の指導により、他地域に先駆けて実行された。これによって地域経済が立ち直り、岩手県農村の模範とされた。

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