【イベント】留学生向けイベント「日本語で話そう!」って何?
【イベント】留学生向けイベント「日本語で話そう!」って何?
日本語支援スタッフ 言語情報科学博士課程 森谷祥子(2022年11月3日)
日本語支援担当の森谷祥子(もりやしょうこ)と申します。今回は、日本語支援で毎月開催する留学生向けイベント「日本語で話そう!」の紹介をします。「「日本語で話そう!」ってどんなイベントなの?」、「ちょっと興味あるけど、ハードルが高いかも?」、「そんなイベントのこと全然知らなかった!」というような方に、読んでもらい、本イベントに関心を持っていただけたら嬉しいです。
どんなイベント?
「日本語で話そう!」のイベントは、東京大学オンキャンパスジョブ日本語支援事業の一環として、2021年度に始まりました。私も昨年度の開始からスタッフとしてイベントに携わっています。そして2022年度も、少し形式を変更しながらですが、引き続き開催していくことになりました。
本イベントの主な目的は、「東大の留学生がカジュアルな日本語を練習する機会を作ること」です。ですので、東大に所属する留学生なら、学部生、大学院生、研究生を問わず、誰でも参加していただけます。また、オンラインイベントなので、駒場キャンパスに来られなくても、海外、他キャンパス、自宅などから気軽に参加することができます 。
イベント当日の流れ
イベント当日は、下のような流れで進行します。
開始前
· 事前に案内されたZoom URLにアクセスしてイベントに参加(複数名のイベントスタッフも参加)
1.自己紹介・注意事項(10分)
· スタッフと参加者の簡単な自己紹介
· 司会からイベント参加にあたっての注意事項などの説明
2.小グループでの会話(40分)
· イベントスタッフと参加者が、だいたい3〜5人ずつ(スタッフ含む)の小グループ(ブレイクアウトルーム)に分かれて会話
3.まとめ・連絡事項(10分)
· 再び参加者とスタッフ全員がメインルームに集合
· 小グループで話した内容や感想をシェア
· 「まだ話足りない」「詳しく知りたいことがある」という方は、イベント終了後に「放課後」スペース(ブレイクアウトルーム、20分程度)に移動
以上がイベントの大まかな流れです。なんとなくイメージはできましたか?
なお、小グループのメンバーはその場で振り分けられます。どんな人と話すことになるかはその日にならないとわかりません。また、小グループには、だいたい1〜2人のスタッフが入ります。会話は、スタッフがファシリテートする形で進みますが、特に決まったトピックはなく、その場で自由に決めていきます。もし参加者の中で、「今日はこの話がしたい!」というトピックがあれば、ご提案ください。希望されたトピックで話をすることができます。
ここで、昨年度のイベントで取り上げられたトピックの例を挙げます。「コロナ禍の過ごし方」、「留学生の部屋探しに役立つ情報」、「タメ口の練習」、「趣味(スポーツ、旅行、音楽、映画など)」、「食事(好きな食べ物、オススメのカフェなど)」などなどです。このように、学部生や院生・研究生たちが、休憩時間に話すような日常的な話題が多いです。先月行われた2022年10月のイベントでも、参加者の研究の話も多少しつつも、食べ物やアニメの話などの雑談を楽しみました。
イベントの雰囲気
「日本語で話そう!」は、カジュアルな会話を楽しむための会なので、とてもリラックスした雰囲気で日本語を話すことができます。日本語で話すことに緊張してしまうという留学生の方も、時間が経つにつれ、また、複数回参加するにつれて、緊張感もほぐれてくると思います。
普段の授業や研究会で、学術的なことを話したり、研究発表をするときは、やはり緊張しますよね(もちろん、緊張感も大切ですが)。でも、「日本語で話そう!」では、気楽に話せるトピックについて積極的に話します。日本語の間違いをあまり気にする必要もないです。ここがこのイベントの大きなポイントです。
また、日本語上級者の方の中には、「アカデミックな日本語はわかるんだけれど、カジュアルな日本語の方が理解が難しい」という方がいらっしゃいます。その意味で、「日本語で話そう!」は、日本語上級者にとっても、良い日本語学習体験の機会になっていると感じます。
イベントを通じてのつながりと精神的サポート
最後に、「日本語で話そう!」というイベントの大切なねらいについてお話します。私達は、このイベントが留学生のみなさんにとって日本語練習の場となるだけではなく、ネットワークを広げるきっかけになってほしいと考えています。参加者同士のつながりが、「イベントが終わったらもう関係ない!」ではなく、その後も継続していける出会いの場になってほしいと思っています。オンラインのイベントだと、イベント終了後に個別で話す機会を作ることができません。「放課後スペース」は、少しでもオンラインイベントのデメリットを解消するための工夫です。
本イベントの参加者は単に日本語を練習するのではありません。日本語でのコミュニケーションを通して、互いに共感し合ったり、励まし合ったりしています。同じような境遇にいる留学生同士または大学生・大学院生同士が、イベントを通して、共通する悩みや考えを共有し合うことは、精神的サポートにもなるのではないでしょうか。
例えば、昨年度はコロナ禍で日本に来日できない留学生の方がイベントに参加していました。実際に日本にいないので、授業外で他の学生と話をする機会はないですし、授業の内容がわかりにくくても誰かに相談することもなかなかできません。そんな方が、昨年度は数名参加してくださり、イベントの中で、その時感じている不安や悩みのようなものを“なんとなーく”話していました。他の参加者も悩みを聞いて、「大変だよねー」と共感したり、分かる範囲でアドバイスをしたりしていました。このようなちょっとしたコミュニケーションってやっぱり大切ですよね。
実は、「日本語で話そう!」のイベントは、スタッフにとっても留学生や他の東大生の方とつながる良い機会となっています。イベントスタッフも、特に昨年度は、コロナ禍で他の人とコミュニケーションを取る機会が減っていましたし、そもそも専攻や授業を超えて他の東大生と出会う機会はあまりありません。「日本語で話そう!」は、そんなイベントスタッフにとっても、普段心にしまわれている気持ちを他の人に打ち明けるような機会になっていたと思います。
イベントでは、全くたわいのない話に終止するときもありますし、少し心の内を開いて話すときもあり、その時々で雰囲気は微妙に違います。ですが、常に、本イベントは「安心して日本語と通して他の人とコミュニケーションが楽しめる場所」となっているのではないかと思っています。そして、これからも「日本語で話そう!」がそんな場所であり続けてほしいと願います。
今後のイベントについて
今年度は対面授業も増え、大学キャンパス内で人と出会う機会も増えましたよね。それでも、まだキャンパスに通いづらい留学生や、対面でも日本語で話す機会が少ないという留学生の方は多くいらっしゃると思います。本イベントは、今年度もオンラインで開催することで、そのような留学生の方にも是非アクセスしていただきたいと願っています。
このコラムを読んで、少しでも「日本語で話そう!」イベントに関心を持ったという方は、是非、オンキャンパスジョブのウェブサイト(https://sites.google.com/view/asc-utokyo/)内の“留学生向けイベント「日本語で話そう」”のページを御覧ください。今後のイベント開催予定についての情報を得ることができます。
今後も、より多くの方に本イベントに参加していただき、日本語でのコミュニケーションを通して、ネットワークを広げる機会となりますように。