コロナ禍のダメージは小田急と箱根観光を強烈に追い詰めていた。
そのダメージは甚大で、直後のリベンジ消費、オーバーツーリズムによってその損失を取り返そうにも、コロナ禍の減収のビハインドが大きく、その上でフラッグシップのVSEの想定外の早期退役が発生。小田急の箱根観光戦略は重大な危機に瀕した。
これでは望むべき完全新規設計のVSE後継車の設計建造は費用的にも手順的にも間に合わない。しかし押し寄せるオーバーツーリズムを受け止め、首都圏観光の客の奪い合いを座視することは出来ない。なおかつ小田急の記念すべき創立100年の2027年も迫る。まさに窮地であった。
そこに浮かんだのがこのGSE改案である。
GSEの足回りは特急車としての安定性・静粛性・加減速性能など十分な性能であるが内装・接客設備は通勤需要対応も考えたために豪華さが足りず、新世代の観光特急、とくにフラッグシップとしては不満があった。
そこでGSEの足回りと基礎設計を準用しJR東日本「サフィール踊り子」や近鉄「ひのとり」東武「スペーシアX」などで使われているバックシェル式3列シートに座席を全て変更し、なおかつ中間車1両を新規設計の喫茶施設とセミコンパートメントを備えるダブルデッカーにすげ替えることによってVSE不在の箱根観光のフラッグシップの代役とする案である。
車型名はGSEα(じーえすいーあるふぁ)とされ、形式名はGSEの70000形から71000形を名乗り、カラーリングはVSEの白基調を受け継いだ。
そして観光フラッグシップとしてエコノミー通勤需要を捨ててでも観光需要に全振りし、箱根観光を堅持しさらなる発展するというメッセージを込めることとして建造が日本車輌に発注された。
いわば急場しのぎの車両となったが足回りなど装備の多くはGSEと共用できるため整備性もよく、またVSE引退を残念に思うファンの心をつかんだせいか思いのほかの好評で、人々に愛されるロマンスカーとなり、年始のニューイヤー号運転ではGSEと紅白並びを披露するなどの演出もあって、想定外の長寿車両となった。そして完全新規設計のXSE車が小田急120周年記念で登場するまでの長きに亘り活躍した。
……というのは全部ウソです。勝手に考えてしまいました。ロマンスカーの新車早く出ないかなあ……。
弊社導入の3Dプリンタで内装の殆どを作っています。