私は「マリンテクノ東京」という教習所で小型船舶免許を取得しました。
ここを選んだのは、「国家試験免除」という言葉に惹かれてのこと。学科試験は無理なくいけるとして、実技試験が難しそうというイメージがあったからです。
小型船舶免許には1級と2級がありますが、違いは陸からの距離に制約があるかないかです。最短で2級は3日、1級は5日でとれますが、たった2日の違いであり、講習料金も3万円は違わないということなので、どうせならと1級にすることにしました。マリンテクノ東京のホームページをみると、たまたま仕事を無理なく休める日がキャンペーン対象コースとなっており、講習料は13万円程度になるのでこれに申込みました。
さて、まずは身体検査です。
教習所から送られてきた用紙には、視力、弁色力、聴力測定の結果、疾病および身体機能の障害について、医師の診断結果を書いてもらうように、となっています。
こんなもの、どこで書いてもらえば良いのか見当もつかず、ひとまず近所の内科医に行って聞いてみると、「うちで大丈夫ですよ」とのこと。先生も、「これ、そういえば過去に1回書いたことあるなぁ」という程度のマイナーなものとのことでした。
料金は2千円。結構良心的な値段でした。
次に学科教習です。
学科教本にはⅠとⅡがあります。2級はⅠのみ、1級はⅠとⅡ両方を学ぶことになり、それぞれ2日間の教習を受けます。
Ⅰの内容は以下のとおり。
1.小型船舶の船長の心得および順守事項
2.交通の方法
2-1.一般海域での交通ルール(海上衝突予防法)
2-2.港内での交通ルール(港則法)
2-3.特定海域での交通ルール(海上交通安全法)
2-4.湖川・特定水域での交通ルール
3.運航(一般)
3-1.船体、設備、装備品
3-2.機関の取扱い
3-3.操縦
3-4.航海の基礎
3-5.気象・海象
3-6.事故対策
前半は自動車運転免許の船版、という感じでしょうか。交通ルールが中心なのですが、船の場合、動かなくなったらその場で止まってJAFを待つということができない(*)、天候の影響をもろに受けるものであるなどのことから、3.運航(一般)の部分が充実しています。基本は中学の技術家庭や理科で習ったことばかりとはいえ、すっかり忘れているので新鮮なものでした。
2日目の夕方からは教室で試験です。「国家試験免除」というのは「国家試験を別途受けに行かなくてもよい」という意味だったらしく、4択式50問、65点以上合格という国家試験と同じものを受けました。結果は合格でしたけど、見慣れない言葉だらけの本を1日半で読んで試験、というのは、普通に国家試験を受けるよりキツイかもしれません。
(*)海の上にもJAFに相当する救難機関もありますが、船は潮に流されたり浸水で早急な対処が必要になったりと、陸上よりも危険な状況が多いものです。
さて、立て続けにその翌日から学科教本Ⅱの教習です。
内容は以下のようなもの。
1.上級運航Ⅰ
1-1.航海計画
1-2.救命設備、通信設備
1-3.気象・海象
1-4.荒天航法、海難事例
2.上級航行Ⅱ
2-1.機関の保守整備
2-2.機関故障時の対処
テキストはⅠで習った内容の深堀ですが、最大の違いは海図を書くこと。
三角定規とコンパスを使い、「35°ー35.6′N 140°ー27.8′Eから磁針路XXに向けXノットでX分進み、磁針路XXに変針しXX分進んだ地点を示せ。ただし潮流はXXにXノットあるものとする」なんていう問題を海図上に表現していくというものです。
これも要は中学数学のベクトルの問題。さほどに難しくはないのですが、とにかく肩がこり疲れます。
Ⅰと同様、2日目の後半から試験。問題数は14問と少ないのですが、一つの間違いが響くというちょっと緊張感あるものです。
私は暗記力よりも応用力の方がある年齢になっているせいか、この試験はトップ終了で100点でした。後から提出している人で「う~ん。ちょっと見直してもう一度持ってきて。」なんて言われている人もいました。「国家試験免除」の効能ってこういうところにあるのか、と感じる一こまでした。
さて、次はいよいよ実技講習です。