こんにちは、長野大学です!
今回は少し専門的ですが、とても大切な「避雷設備」のお話。電工さんが仕込む緑色の命綱について紹介します。
新棟は6階建て、高さ20m超の建物ということで、建築基準法に基づき「避雷設備」の設置が義務付けられています。これは、雷が直撃しても被害が出ないようにするための、いわば"雷ガード"!
避雷設備の設置って屋根の上だから、新棟の工事で登場はまだ早いんじゃないの?と思った方も多いのではないでしょうか。実は違うんです。
写真は新棟の模型で再現されている屋根上の避雷針。落雷を受け止めるのは建物の一番高い部分に取り付けられるこの避雷針ですが、その雷のエネルギーを安全に地中へ逃がすためには、建物の骨組みまわりに仕掛けが必要なのです。
そこで登場するのが、「避雷導線」という雷の通り道。避雷針~鉄骨躯体~地中の接地導体それぞれを避雷導線でしっかりと接続することで、上空から大地へつながる雷の通り道を作り、雷エネルギーをスムーズに地中に逃がすことができるという仕組みです。
ここで少し、雷現象のトリビアをご紹介します。
雷はただの光と音ではありません。電圧は200万~10億ボルト、電流は1千~20万、時に50万アンペアにも達する膨大な電気エネルギーが一瞬で地上に放たれる現象で、時には一帯に衝撃や地響きが生じ、火災や構造物の破壊を及ぼすことも。
しかも実は、雷は「上から落ちてくる」だけでなく、「大地から空に向かって伸びる」放電現象として現れる場合もあり、非常にダイナミックな自然現象なんです。
建物が雷を受け止める"受け皿"であると同時に、そのエネルギーを安全に"流し去る"仕組みが極めて重要なのです。
基礎工事前に接地導体を、また、基礎工事中に避雷導線を仕込むことで、新棟の安全性が見えないところで大きく高まりました。普段は地中に隠れているこの"雷の通り道"こそ、建物の命を守る大切な命綱。
基礎工事というと単なる「土台づくり」と思われがちですが、実は建物の安全・安心を様々な脅威から守る役割を担う、非常に重要な工程なのです!新棟は、地中から空の脅威にまで目を配りながら、着々とその姿をかたちにしていきます。
新棟建設日記では、これからも現場の"見えなくなる努力"を一つずつご紹介していきますので、どうぞお楽しみに!