こんにちは、長野大学です!
前回の記事でご紹介した鉄骨建て方・本締め作業に続き、今回はいよいよ鉄骨同士を“ひとつの建物”として結びつける重要工程──溶接工事の様子をお届けします。
床スラブのコンクリート打設が終わった階から順に溶接が始まり、建物の骨組みがより確かな形へと仕上がっていく、緊張感と迫力に満ちた時間です。
現場の空気と技術者の集中が伝わる写真とともに、舞台裏をご紹介します。
遮蔽シートの奥で、青白い光が鋭く瞬いています。
今回の写真には、溶接材(ワイヤや溶接棒)を高温で溶かし、鉄骨同士の接合部に流し込んで一体化させる作業が鮮やかに写し出されていました。
飛び散るオレンジ色の火花。
作業者の周囲を包み込む青白い光──アーク光。
このアーク光は、溶接機の電極と母材の間に生じるアーク放電によるもので、強烈な可視光だけでなく紫外線・赤外線を含むため、
作業者は専用の面体や防護具を使い、周囲も遮蔽シートでしっかり保護しています。
床スラブを打設し、作業床が安定した階から順に溶接に着手することで、現場では安全性と効率性の両面が確保されています。
鉄骨の「つなぎ目」が仕上がり、建物が一体化していく過程は、まさに職人の技と集中力の結晶です。
取り外された建て方エース
エレクションピース
今回いただいた写真には、取り外された建て方エースと、鉄骨に取り付けられていたエレクションピースも並べられていました。
建て方エースは、柱を所定の位置に正確に立ち上げるための仮固定用治具です。
鉄骨建て方の初期段階で柱をしっかりと安定させ、建物の基準をつくる“縁の下の力持ち”の存在です。
一方、エレクションピースは建て方エースを取り付け、柱を仮に支える補助部材で、ボルト本締めや溶接作業が進み、柱が構造的に自立できる状態になった段階で取り外されます。
積み重ねられたエレクションピースには、削り跡や焼け跡が残り、「これまで鉄骨を支えてきた」痕跡がしっかり刻まれています。
役目を終えた部材を見つめると、鉄骨建て方から溶接までの流れがひとつにつながって見えてきます。
溶接完了部(エレクションピースを外した跡が、鉄骨建て方からつながる工程の流れを感じさせます)
溶接が完了した箇所では、これから**超音波探傷検査(UT検査)**が実施されます。
この検査は、溶接部の内部に欠陥がないかを超音波で確認するもので、建物の安全性を担保するうえで欠かせない工程です。
鉄骨の“つなぎ目”は建物の性能を左右する部分でもあり、この検査により、内部までしっかり溶け込みが確保されているかを丁寧にチェックします。
検査が進んだ際には、改めてその様子をお伝えしていく予定です。
現場で溶接が進むと同時に、事務としても工程管理・記録確認・次工程との調整など、裏側で多くの作業を支えています。
・溶接箇所の検査記録の確認
・施工図との整合チェック
・後続の耐火被覆や設備工事との連携
これらが滞りなく流れることで、現場はスムーズに先へ進むことができます。
鉄骨がつながり、建物が少しずつ“ひとつの形”になっていくこの時期は、現場を支える者としても大きな手応えを感じられる瞬間です。
溶接が済んだ階では、これから耐火被覆や設備先行工事など、建物内部の印象を形づくる工程が本格化していきます。
いよいよ“使われる建物”の姿が見え始める段階です。
これからも「新棟建設日記」では、未来の学び舎がどのように形づくられていくのか、皆さまとともに見守りながらお伝えしていきます。
次回もどうぞお楽しみに!