2025年 第8回活動
根利森林鉄道跡の調査と車両たちの冬ごもり
2025年11月9日
Update : 2025/11/11
2025年11月9日
Update : 2025/11/11
2025年最後の活動日は雨となりました。ただ、根利に着くと小雨になっており、ミーティングの後、根利森林鉄道軌道跡調査を行うことになりました。根利地区屋内運動場から3台の軽に分乗して出発。
根利地区屋内運動場脇の道路の柵の山側が森林鉄道跡で岩をくり抜いた素掘りのトンネル(写真左)になっています。根利から下流部は昭和22/1947年のカスリーン台風で、多くの線路が崩落し、廃止になった区間です。ここから先は、この林道がほぼ森林鉄道跡と思われます。
林道は、間もなく小さな沢を小さなオメガループで越えます。ループにして勾配を緩くしているのは、鉄道跡だからではないでしょうか。
写真左は行きに撮影、上は帰りに撮影です。
林道の分岐点。左が昔の根利道で子捨沢を登り、コモギ峠を越え穴原に。直進は大立沢を辿り穴原に出る現在の林道です。この地点から大立沢を見下ろすと、崩落で落ちたレールがいくつか見えます。
大立沢沿いに落ちているレール。森林鉄道の線路は、これよりも上、林道よりも下にあったということになります。
森林鉄道は根利川沿いに下りますが、この大立沢と少し東の子捨沢は、沢を上流部に回り込み川幅が狭いところに架橋し、根利川沿いに戻っていました。ここは大立沢ですが「子捨沢橋」が架かり、その辺りで森林鉄道も木橋で渡河していたようです。
森林鉄道は、基本的に山から一定の下り勾配で敷かれています。これは鉱山も同じで、動力なして重量物を山から下ろせるようにです。ですから、林道が昇り始める手前で沢側に分岐しており、沢際まで下り勾配です。木橋で渡河した先は、沢に沿って、やはり下り勾配となります。
会員二人がいるところ、土砂が積まれた下、林道の1メートル程真下から森林鉄道跡は分岐して沢の上流に向かって下って行くいるはずです。土砂が積まれる前は、林道の下から分岐してくる森林鉄道の路盤が分かりました。以前はこの部分にレールが覗いていましたので確実です。
その路盤は林道の下を走り林の中に消えますが、その林の中には行った直線の小道があるのが分かります。ここを森林鉄道は抜けていたと思われます。恐らく林の中の線路は崩落を免れ、土の中に埋まっているのでしょう。
林を抜けた先です。平らな部分が森林鉄道跡で、奥の子捨沢橋の手前で左にカーブをしているように見えます。そこで木橋で渡河していたのでしょう。(写真左)
写真上は子捨沢橋から見下ろした線路跡です。右上からカーブをして川に向かっている平らな部分が分かります。
これ以上、上流に向かうと登り勾配になるでしょうから、この辺りに森林鉄道の木橋があったのでしょう。沢を渡ると右岸を下りますが、並行する現在の林道が標高を上げて行くため、沢は狭まっており、林道の下の方に埋もれてしまったと考えます。
右岸側の林道は登り勾配で崖を右に回り込むと眺めが良くなりますが、眼下は根利川となります。大立沢が合流した先です。このり辺りは川沿いに平場もあり、川沿い、あまり高くない位置を森林鉄道も、昔の根利道も通っていたと思われます。
その辺りで下に目を凝らすと、レールのように落ちた枯れ枝が多いですが、1本だけレールを見つけました。カスリーン台風による根利川の氾濫で崩落したのか、上流部から流れてきたのか。ただ、この辺りに森林鉄道はあったのではないでしょうか。
左写真が子捨沢橋。隣には砂防堰堤があります。帰り道に橋を渡りますと、林道脇に「へ」の字の大きな立派な金具が。良く見ると太い角材を繋いでいるようです。この金具を二つ使って大きな角材を止め、台形状の木橋を作っていたのではないでしょうか。雰囲気滝には、台形状になっていたものを、二つ重ねて置いてあるようです。昔の根利道では、こんな立派な金具もボルトも必要ないでしょうから、森林鉄道の物と考えれば、木橋ということになるかと思います。
帰りに撮影した根利地区屋内運動場手前。写真上の左手の崖に見える黒い穴が森林鉄道の素掘りのトンネル。写真右が反対側の坑口。年々少しずつ崩落が進み、短くなり、路盤も高くなっていっているようです。
軌道跡調査から戻ると、ちょうど12時、昼でした。朝、根利に来る道中から降っていた雨も、軌道調査をしている時は上手い具合に小雨になってくれていました。
昼食をして、先日の森林鉄道サミットの話をして、午後から保存車両の冬ごもりです。
先ずは、分解されているホイットカム社製ガソリン機関車を奥へ入れる作業です。キャブを4人でバールでこじって奥へと押し込み、台枠はブルーシートを持ち上げて、ブレーキを解除して奥へ転がしました。
ホイットカムGLを押し込み、線路の手前が空きましたので、運材台車をこちらの線路に移し、そこにエンジンと砂箱を積みます。
先ずはエンジンを運材台車から一旦降ろし、続いて砂箱も降ろします。
そして、運材台車をユニックで吊り、ホイットカム前の線路上に移しました。
その運材台車の上にエンジン、そして砂箱を積込み、運材台車で奥のホイットカムGLの手前まで転がしました。
やっと冬ごもりのカバーを掛ける準備が出来ました。
シートを掛ける前に、雨で塗れた部分の水を吹き飛ばし、拭き取りました。
ボールドウィン社製蒸気機関車に布団や毛布を掛け、木曽森林鉄道B型客車と共に半透明の大きく丈夫なシートで覆います。
ホイットカムG
ホイットカムGLと協三工業製DLも適当に布団を掛け、ブルーシートで覆い、最後にボールでウィンSLとB型客車をブルーシートで覆って、風で飛ばないように縛って、午後3時前には冬ごもりが完了しました。
まだ3時でしたが、雨が降っていたこともあり、辺りは随分と暗くなっていました。2025年は、これで終了です。冬の間は活動内容を決める会議を開催。第1回会議の後には、昨年同様に忘年会も予定しました。