2024年 第1回活動 総会と根利森林鉄道遺構保存

2024年4月14
Update : 2024/04/16

群馬県沼田市根利の「林業機械化センター」の事務所にて、2024年度の総会を開催し、今年の活動予定等が承認され、活動が再開されました。

今年も協三工業製の10tディーゼル機関車の再塗装の残作業を行いますが、ホイットカム製ガソリン機関車の修復も始める予定です。


第1回は総会が終わると午前11時頃から、根利森林鉄道跡を辿て、林道に入りました。廃線跡に残されていたポイントの回収と保存のためです。

林業機械化センターからユニックと軽トラに分乗して出発。

写真正面奥を横切り、右へ上っているが森林鉄道跡の林道ですが、実際の線路の勾配は、もっと緩く、ここでは現在の林道の下に埋まっています。

※尚、森林鉄道跡の多くは国有地ですので、今回は利根・沼田森林管理署の所長も同行しました。

途中の動物除けのゲートのところで「土砂崩れで、ユニックは通れないかもしれないよ」と下って来た地元のクルマに声を掛けられました。

左の写真の奥で崩れているのが分かります。

土砂崩れ現場は、大きな石は避けられ、水で掘られた大きな溝も埋められたようですが、その手前がぬかるんでおりユニックがスリップして走れず、みんなでぬかるんだ轍を埋めたり、車幅を確保したり。まさか、自分たちで道路を復旧するとは思ってもいませんでした。(笑)

土砂崩れ現場は小さな滝になっていましたが、大きな石も運ぶほどの大量の水、土砂が流れたのでしょう。恐らく火曜日辺りの雨のせいです。

無事、土砂崩れ現場を通過したユニック。林道のこの辺りは、ほぼ森林鉄道の跡です。


少し先の道路が分岐するところには軌道跡が明確にあります。

大きな岩山を谷側に迂回していた森林鉄道跡です。現在の林道は、左の岩を削り、切通で抜けるように付け替えられましたので、運よく、この迂回した線路跡が残ったのです。

悪路をゆっくりと走り、目的地に到着。

ここで登って来た林道はヘアピンカーブで右に分岐しますが、ここは森林鉄道時代のΩループだったと考えます。

曲がったところに「ブンキ」と呼ばた車両の交換所があり、本線は直進し倉見川沿いに。交換所の先で左分岐したクラミザワ支線は、左カーブのΩループで再びUターンをして、高場沢に沿うように伸びていました。

この広いところが恐らく「ブンキ」の跡。この先でクラミザワ支線は左分岐し、Ωループを描いて勾配を稼ぐとともに、この写真の左手上部を走り、高場沢へと向かっていました。

左下にチラリと登って来る道が写っていますが、ΩループでUターンをして、写真の右手へ。その上と下の線路の間の斜面にポイントのレールが埋まっていました。

少し土を掘り、顔を出したポイントのトングレール。交換所と分岐があったことから最低でも3つのポイントがあったと思われますが、残っているのはこの1組だけの様でした。

ポイントは9kg/mレールの直線ポイントでした。多くのレールは廃線時に撤去して回収したと思っていましたが、積み忘れてしまったのか、この1組のポイントだけが運よく残されたのでした。

ポイントを回収後、更に奥、ブドウ沢の橋台跡まで歩いて遺構を確認してみました。

左はブドウ沢の手前の小さな沢に残る橋台です。根利森林鉄道の橋の殆どが木橋であり、橋自体はあまり残っていません。

ブドウ沢の橋の跡。中央のこんもりとした茂みが橋台です。いつの間にか草に覆われてしまいました。草を刈ったら、中から橋台が現れるはずですので、どこかのタイミングで草刈りを持って、また来たいですね。

林道はブドウ沢の先で土砂崩れになっており、完全にクルマは通れない状況になっていました。15年くらい前は軽トラで走り抜けられたのですが。ただ、その時点でこの先には巨大な落石があり道をふさいでおりましたが。

その後も、いくつかのレールを使用した標識などの森林鉄道遺構を回収しながら戻りました。

これらの遺構は林業機械化センターに展示、保存する予定です。

写真は6kg/mレール。牛が牽いた時代はこの細い6kg/mレールが使用され、恐らく昭和22年のカスリーン台風以降に特殊軽量機関車が導入され、9kg/mレールに置き換えられました。ですので、この6kg/mは初期に敷設されたときの古いものと思われます。


根利森林鉄道軌道跡から戻ると、保存森林鉄道車両たちのブルーシートを外し、片付けをし、冬ごもりから目覚めました。

第2回活動は5月19日となります。活動日に来ていただければ、保存車両を含む林業機械を会員が案内いたします。美しく修復されている森林鉄道の車両たちを是非、見に来てください。