2022年 軌道調査

根利森林鉄道跡の調査と
車両たちの冬ごもり

2022年1113日
Create : 2022/1
1/14 / Update : 2022/11/16

2022年1113日、栗原川林道から見えた「S字」の「Ωループ」上流側掘割。

【ご注意】※栗原川林道は現在通行止めで、通り抜けはできないようです。また、群馬県のホームページによりますと「狩猟期間 令和411月15日(火)から令和5年2月15日()まで※ただし、ニホンジカ及びイノシシに限り令和5年2月28日(火)まで」とのことです。尚、今回の入山に関しては、利根沼田森林管理署森林官に同行していただいています。

軌道、遺構調査と保存車両たちの冬ごもりの模様をYouTubeにアップしました。

あまり動画を撮影しませんでしたが、雰囲気は伝わるかと…。

朝、林業機械化センターに集合して、午前10時に、毎年恒例11月の軌道調査に出かけました。左写真の中央を横切る栗原川林道で上流部の調査です。

まず寄ったのは「大石」。左の山沿いから正面の木の間に続いていました。左がヒノキで、右がスギ。この境目が線路の跡ではないかとの話が以前ありました。

また、当時の林業関係者の話ですと、ここには分岐と呼んでいた交換所があったとのことです。

「倉見」「新地」の林道分岐地点。倉見方向の現在の林道は岩場を切通で抜けていますが、軌道は、その岩を巻いて倉見川沿いを抜け現在の林道に合流するルートでした。なので、ここの辺りは、林道がほぼ根利森林鉄道跡となります。

その先の開けたところは土場とのこと。以前来たときは、ここに原木が沢山置かれていました。ただ、今でも土場で、今後も使うことがあるとも。

岩場の切通の「安全第一」の看板。かなり危険な感じがしますね。

林道が右カーブをして橋で渡るのがオバッコ沢。ここでオバッコ沢支線が分岐して、沢の右岸に沿って延びていました。

左の写真の辺りは森林鉄道時代は「シャクナゲトンネル」でしたが、林道を作るときにトンネルは崩されたようです。上の写真は林道から見たオバッコ沢沿いの軌道跡。

シャクナゲ平を過ぎた辺りから、軌道は4回倉見川を渡河します。

写真の右手で対岸に渡りますが、石積みの路盤が上流の砂防ダムまで続くのが見えます。軌道は砂防ダムのところで架橋し渡河していました。

林道を行くと広い敷地がいくつか見られますが、それが旧根利製品事業所跡と根利小学校倉見分校跡。そして、林道は左に急カーブをしてS字を描いて右カーブをします。この右カーブのところで林道が分岐しますが、森林鉄道もS字を描き、ここでクラミ沢支線(※高場線)が分岐していました。

※沼田営林署のOBが描いた当時の絵地図には「高場線」と書かれており、分岐の手前には交換所も描かれます。

分岐に入らず倉見川をさかのぼりますと、小さな沢に残る石積みの橋台が目に入ります。ブドー沢の1つ下流の沢となります。

上流側の橋台は奇麗に残っていますが、下流側は林道工事で埋まってしまったのかもしれません。ただ、林道が軌道跡に沿っているのが良く分かります。

ここがブドー沢。根利森林鉄道で良く聞く名前ではありますが、こんな感じです。

写真は軌道の橋の跡。右手のこんもりとした茂みが橋台。左手の茂みは橋脚らしいです。更に左手に橋台があったらしいですが、土砂に埋もれているようです。

今回の目的は終点土場手前のレールが現存していた石積みが奇麗に残る軌道跡でしたが、ブドー沢のすぐ先で林道は土砂崩れで通行できず。以前、2009年4月に来たときも、埋まりかけていましたが車の通り抜けは出来ました。今回は、その上に土砂が崩れて、徒歩で先に行ったものの、時間切れ終了となりました。

帰り道も林道沿いを見つめて走っていますと、ありました!! 根利森林鉄道の遺構が!! 崩れた木橋と石積みの橋台が奇麗に見えます。位置的には製品事業所の上流部でしょうか。

木橋は木に引っ掛かり、崩れつつも繋がってぶら下がっておりました。ぶら下がるのは木橋自身か、木製の橋脚なのでしょう。左手には反対側の橋台も残っています。

製品事業所跡の川沿いにも軌道跡を発見しました。

左の写真が上流部を見たところ。上の写真が下流部を見ています。かなり長く軌道跡が続いています。

そして、最後の発見はこれ!!

行きに見たΩループのS字の上流部となります。S字の手前で軌道は直進する旧線とS字の新線に分岐し、その先はしばらく高低差がありながらも並行し、小さな沢に2つの橋の跡が残っていますが、その更に上流側です。

上流部から下流方向を見た写真です。中央上部に石積みが見え、その右手に左カーブをする路盤が見えます。2つに分岐した旧線、新線が合流する辺りではないかと思いますが、さてどうなっているのでしょうか。

午前10時から2時間の予定で山に入りましたが、戻ってくると13時を回っていました。想定内ですが。

根利森林鉄道につきましては「改訂新版 沼田営林署 根利森林鉄道 調査報告書 『山の幸を運んで』」の本に詳細に記載しています。

機械化センターに戻って昼食をして一服して、今回のもう一つの目的、車両たちの冬ごもりです。

今年は、屋根下の車両たち3両をブルーシートで覆いました。車体長に合わせた大きめのブルーシートのお陰で、思った以上に要領良く作業は進みました。

木曽森林鉄道B型客車から始めて、ボールドウィン製蒸気機関車、最後にホイットカム製ガソリン機関車を覆って14時45分頃に終了。15時に解散となりました。

ということで、しばらくは車両たちの見学はできません。ブルーシートを剥がすのは、来年の第1回活動日、2023年4月中旬となります。ご了承ください。

根利も11月中旬を過ぎますと雪もありますしね。

しかし、10年以上振りに辿った根利から上流部の森林鉄道跡ですが、意外と残っていて、新たな発見もあり楽しめたのでした。

来年も車両の維持管理、保存活動、線路工事と、森林鉄道跡の調査で楽しむつもりです。興味ある方は問い合わせください。

yomigaere_baldwin@yahoo.co.jp

2022年1113日、冬ごもりをした機関車たち。ブルーシートを剥がすのは来年4月中旬となります。