2021.03.10WED

学生主体の社会実験「和光市プロジェクト2020」が終了しました

経済学部総合政策学科3年生6名が進めていた「和光市プロジェクト2020」では、この1年、埼玉県和光市を舞台にしてアセットマッピング手法の社会実験を行ってまいりましたが、このたび無事終了し報告書を和光市役所に提出しました。

アセットマッピングとは、地域に関する様々な地図を重ねることで地域の課題や資源を浮き彫りにする手法で、主に米国で活用されています。このたび、地方創生を積極的に進めている和光市との協定に基づいて、本学根本祐二教授の監修のもと、日本で初めて学生による本格的な実験チームを組成し活動を行いました。

アセットマッピングのポイントは、市民が自分でオリジナルの地図を作り、複数の地図を重ねることで、従来見えていなかった発見をすることです。今回は、市内に立地する企業の社員やママさんグループなど5団体に、それぞれの観点でユニークな地図を制作していただきました。

もともとは、学生が市民の皆さんと一緒に現地視察、地図作り、課題発見、政策提言の活動を行う予定でしたが、あいにくのコロナ禍により活動はオンラインで行うことを余儀なくされました。しかし、逆に頻繁なリモートコミュニケーションが可能になり、2020年12月17日には、全チームにご参加いただき、web会議を活用したオンライン発表会を開催することができました。

Web会議によるオンライン発表会(2020年12月17日) 

発表会には、市民だけでなく、全国から多数のアセットマッピングに関心のある方、また、和光市からも松本武洋市長以下担当部署の皆さんにご参加いただきました。各チームからのプレゼンの後、スマホアプリを使ったオンライン投票の結果、子育てしやすい環境づくりを目指す「ママ楽」チームが最優秀賞に選ばれました。

このチームは、神社・お寺マップ、公園マップ、旗当番マップ(旗を持って地域の子どもを見守る役の大人)を重ねて、街灯が暗い公園・神社付近に旗当番がおらず、子どもたちが危険にさらされていることを発見し、この問題を解決するために、パトロール強化、通学路のイルミネーションの点灯などを提案しました。


最優秀チームが実施したアセットマッピング

このプロジェクトは、日本で初めて学生主体のアセットマッピング手法を導入したことはもちろん、図らずも完全オンラインの市民ワークショップを行うというニューノーマルの市民参加への挑戦の場となりましたが、参加者の皆さんの協力もあり無事に進行することができました。事後アンケートでも、参加者からとても高い評価をいただきました

・地図に起こすことで分かりやすく、見る角度で気づくこともあり、ニーズに合わせて街の良さを考えることができるんだなと感じました。

・何か一つの地図というのは容易に手に入るのですが、重ねると別の側面が見えるというのは面白かったです。

・これまで自宅(和光市以外)と職場の往復しかしてこなかったので、和光市のことをもっとよく知る良い機会となりました。

・他の参加者の発表を聞くことで、気付かなかった点に気づき、視点を変えると様々なことが見えることを目の当たりにしました。

・ただ発表を聞くだけの会かと思っていましたが、スマホを利用して感想を入れられたり、皆さんの意見をすぐに見ることが出来たり、受け身でなく参加している気持ちになれた会でした。

初めての試みの連続で大変でしたが、学生にとって得難い体験となりました。ご協力いただいた和光市役所および和光市民のグループの皆さんにこの場を借りてお礼申し上げます。

東洋大学では、今後とも、学生が主体となって地方創生の現場で経験を積めるような機会を提供して参ります。

報告書は以下で閲覧可能です。アセットマッピングやオンライン市民ワークショップをお考えの全国の地域の方のためのガイドにもなっています。

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