2022年度ゼミナール紹介

齊藤ゼミ紹介(3年次・4年次専門ゼミ) ~ 財務諸表分析・レポート作成・プログラミング ~

本ゼミナールの目標は社会人基礎力の養成です.ここで想定する社会人基礎力とは,問題に直面した際,その問題がどのようなものであるかを分析して解決策を見つけること,そしてその解決策を周囲にしっかりと伝える能力を指します.分析を行ったり解決策を導いたりするには,問題の背景にある事実関係の把握と,それをもとにした論理的思考が求められます.また導出した解決策を周囲の人々に理解してもらうには,ものごとをわかり易く表現する技術が必要となります.本ゼミナールでは問題解決に必要となる「知識」・「論理的思考」・「表現」を「財務諸表分析」・「プログラミング」・「文章作成」という3つの題材を通じて学ぶ機会を提供しています.

また期末に行われる発表会(プレゼンテーション)を通じて,学んだことを実際に使いながら,現実の経済や社会を分析することも体験してもらっています.下記は財務諸表の分析ができるプログラム作り(ゼミナールⅢB),およびオリジナルのプログラム作り(ゼミナールⅣB)に関するプレゼンテーションの模様と参加学生の声です.

ゼミナールⅢ

プレゼンテーションの模様

ゼミナール参加学生の声

Q:ゼミナール(プログラミング)に参加することで,どのような感想を持たれましたか?

A:学生①

私がプログラミングを学んで感じたことは,学んだことを応用して様々なプログラミングをすることの楽しさである.プログラミングの授業では,まず様々な関数の意味や使い方を習ってから,それらの関数を駆使して徐々に使い方の幅を広げていくという形式で学習していった.一見使い道がわからないような関数であっても,それまでに習った関数と組み合わせると,1つの立派なプログラムになるというところに面白さを感じた.ただ,もっと時間をかければさらに良いプロクラムが作れたという反省もある.プログラミングを学んで,異なるものの組み合わせから新たなものを生み出せることを知り,面白いと感じることができた.

学生②

プログラミングを学ぶことで,諦めず試行錯誤し続けることの重要性を理解できた.今までプログラミングに触れたことがなかったので,エラーが発生すると,始めのうちはその原因がよく分からなかった.またそのエラーを直しても新たなエラーが出てしまうことなどもあった.しかし,同じグループの人と協力し試行錯誤しながらプログラムを完成させることができた.その一方,他のグループがやっていた高度な手法(背景の色などによって入力や結果画面を見やすくする工夫)までは手が回らなかった.それが心残りである.

学生③

プログラミング学習を通じて,グループワークにおける問題解決能力の向上を感じることができた.グループワークでは各々がプログラムを書き,それらを持ち寄る形で作業を進めた.だが,プログラム同士をつなげた際,期待したように動かないという問題が頻発した.しかし,問題が発生する度,グループ内で連携を取って解決案を出し合い,ほとんどの問題を解決することができた.一方反省点としては,数値以外を入力した際にエラーを表示する機能を作ったものの,それが不完全なものに終わってしまった点だ.これは次回プログラムを組む際の課題としたい.以上のように,プログラミングを学ぶ過程で,グループ内において連携して問題を解決することの重要性を学ぶことができた.

学生④

プログラミングを通じて,物事の順序の大切さと問題に対する解決策を学ぶことができた.プログラミングは何もない状態からスタートするため,まずは自分で何かを始めなければならない.どのようなものに役に立つプログラムを作りたいのか,そのためにどういった機能を与えなければいけないのか.実際のコーディングに入る前に,こういった準備の段階から多くのことを自分で考えねばならない点を痛感した.また,プログラミングを行うと少なくとも一度は問題に直面する.その際,原因を探し,解決しなければ目的のプログラムを完成できないことも体験できた.物事の順序を把握すること,そして問題の原因を探しそれを解決する能力は,プログラミング以外でも必要となってくる.自分が何か始める際はプログラミングで学んだことを活かしていきたい.

学生⑤

プログラミングの学習を通じて,物事を正確に処理することがいかに大切であるかを学んだ.Pythonのルールに従ってコードを書いたつもりでも,文字や数値を正しく打ち込まなければプログラムが上手く動いてくれないことが頻発した.その度に作業を正確に遂行することの大切さを身にしみて感じた.

学生⑥

プログラミングを学び,やり残した点が2つある.第一に,計算結果を分かりやすく表示することだ.ゼミナールⅢBのプログラミングでは,企業の安全性を分析してその結果を表示するプログラムを作った.しかし,計算結果を四捨五入するようにコードを書かなかったため,計算結果の表示が分かりにくくなってしまった.第二に,プログラムを長期間使用できるようにすることだ.今回作ったプログラムは,2021年の業界平均との比較から分析対象となる会社の安全性を調べる仕様とした.そのため,来年度以降も続けてこのプログラムを使用することができないものとなってしまった.以上の2つがやり残した点である.

ゼミナールⅣ

プレゼンテーションの模様

ゼミナール参加学生の声

Q:卒業作品(オリジナルのプログラム)に取り組むことで,どのような感想を持たれましたか?

A:学生①

プログラミング学習の成果として,「最高のものを作ることに固執するのではなく,駄作でも良いから完成させて,諦めずに目標を達成する力」が身に付いたと感じた.プログラムを作る過程で,様々なアイディアを出してはコードを入力した.しかし,全て納得のいく結果にならず,期日までに完成しそうになかった.そこで失敗作を利用して,これらを削除するPythonファイルを作り上げることに方向転換した.最終的に完成したファイルのコードはとても短いものだったが,しっかりと失敗作を削除できるものを作って発表に臨むことができた.ただ,動作確認を怠らなかったにもかかわらず,発表時にプログラムが動作しなかった.悔しかったので,帰宅後にコードを見直し,しっかりと動作するよう改善した.

学生②

作品への取り組みを通じて,コードを変えるだけで異なるプログラムを作れることがプログラミングの楽しさであり難しさであること,そして1つの考えに囚われない姿勢を学んだ.当初ネットにあるオセロ勝敗のデータを用いて「勝てないオセロ」を作りたかったが,その情報をプログラムに組み込むのが難しくて断念した.その代わりにコンピュータが終局まで戦う処理を用意して勝った回数を記録し,一番勝つ回数の多い一手を打ってもらうプログラムを作ることにした.最初に目指したような作品にはならなかったが,なかなか戦い応えのあるオセロになったと感じている.

学生③

私はプログラミングを通じて,まずは行動してみることの大切さを学ぶことができた.プログラミングにはエラーが付き物であり,失敗を恐れていては何もできない.まず手を動かしてアイディアを形にする.そしてたとえエラーが発生しても,その都度原因を発見して修正していきながらコードを完成させるといった姿勢を学んだ.反省点としては,統計学等の学習をもっと事前にしておけば,本来予定していた内容のプログラムを実現できたかもしれないという点だ.しかし,まずは行動することの大切さをこのゼミで学べたので,やらないで後悔する今回のような事態は今後少なくなると思う.

学生④

プログラムを作る過程で何度も壁にぶつかったものの,その結果,「仮想環境」に対する理解を深めることができた.今回の取り組みではPythonをインポートしゲーム性を高めることに成功した一方で,仮想環境の構築には苦労した.ゲーム性を高めるために,ボールの移動速度を速くし難易度を高めてスコアを伸ばしづらくして,「永遠に終わらない」という状況を打破した.また読み込む画像もサッカーコートに合わせ,サッカーボールとサッカー少年に焦点を絞ることで統一性を高めた.その一方で,pygameを作動させるための環境が自身のパソコンになかったため,anacondaのinviromentで仮想環境を整える必要があり,その構築に多くの時間を割く形となってしまった.しかしそのおかげで,仮想環境への理解がいっそう深まった.

学生⑤

私はプログラミングを通じて機械に作業を任せることの簡便さを実感した.これを感じたのは,プログラミングを用いて統計学を学んだときだ.統計学を学習した当初は,分析する度にデータを統計量の式に当てはめていた.しかし,いったんコードを書いてしまえば,あとは何度でも計算でき,仮に大量のデータであっても数秒で計算が終わってしまうことなどを目の当たりにした.データの数が多ければ多いほど統計量の信頼性も高くなるので,正確な値を出そうとすればするほど,プログラミングの有用性が出てくると感じた.

学生⑥

私はオリジナルのプログラムを完成させる作業を通じて,目標を明確かつ迅速に定めること,そしてその目標を達成するに当たって筋道を立てることの重要性を実感した.後者は簡単であったが,前者はやってみると案外難しいことがわかった.特に「なんでもいいから」という建前をもらうと人間は堕落するか,こだわりを捨てきれず停滞してしまう.そうならないように,「成果を上げやすく,期日までに間に合い,かつ他者から評価される目標」を作らなければいけない.これはこだわりすぎてしまう私にとって容易なことではなかった.やり残した点を挙げるとするならばいくらでもある.そもそも単純なインベーダーゲームを作ったこと自体妥協であった.