国際経済学科 海外留学便り

◆留学中の韓国より

経済学部国際経済学科 西原陽子 

 ◆  成均館大学へ留学

私は2015年2月から12月までソウル市ジョンノ区にある成均館(ソンギュンガン)大学に交換留学に来ています。ソウルは観光地で有名ですが、特に成均館大学は東大門や明洞といった観光名所から地下鉄で15分と近く、大学の周辺にも商店、スーパー、劇場、博物館など様々な施設があります。勉強にも生活にも非常に便利です。

成均館大学は韓国で最も歴史のある大学です。1398年に朝鮮王朝初の最高教育機関として設立されて以降、約600年もの間、伝統を受け継ぎ人々に親しまれてきました。成均館大学はグローバル化に伴い、英語で行う専門科目授業が多く提供されています。英語でのディスカッションやプレゼンテーションなども実践されており、実用的な英語を勉強するのに良い環境が整っています。このような環境下で勉強しているためか、成均館大学では英語を流暢に話す学生が多いと感じます。

◆ 韓国での生活

最初の2か月はカルチャーショックとホームシックのため、韓国での生活はつらいと感じていました。しかし、周囲の人が励ましてくれたり、気遣ってくれたりしたおかげで、3か月目以降は生活にも慣れ、生活も充実してきました。
韓国は辛い食べ物でよく知られていますが、近年では韓国人でも辛い食べ物が苦手な人が増えているため、辛くない食べ物も多いです。私自身、辛いものが苦手ですが、食べ物に関しては特に問題はありませんでした。ソウルの物価については東京と比べて、生活用品、食料品は高いですが、衣料品は安いです。 

◆ 文化の違い

韓国で生活して韓国人の友人と付き合ったことで韓国と日本との違いを感じました。韓国は日本に一番近い国で、日本にとても似ているということをよく耳にしますが、良いことも悪いことも含め、やはり韓国と日本は全く違います。日本人は常に周りに配慮し本音もあまり口に出さないため、誰に対しても人当たりが良く感じられます。また、日本人は常に周囲から見られているという意識のもと行動する人が多いため、電車内では静かにする、道にごみは捨てないという暗黙のルールがあります。

それに対して韓国人は自分の感情に素直であり他人を気にしないため、付き合い初めのうちや自分に関係のない人には薄情に感じられます。さらに韓国では周囲の人を見る、周囲の人から見られる、という意識が低いため、電車内で通話をする人が多く、道にごみを捨てる人もみられます。最初はこの違いに戸惑いを感じていましたが、良い点も悪い点も韓国だと捉え生活しているうちに、受け入れられるようになりました。

また、前期は語学堂に通っていたため、韓国以外の様々な国の留学生と会話する機会が多くありました。その体験から多種多様な文化を感じましたが、とりわけ印象に残ったことは、宗教や考え方の多様性です。日本では宗教や信仰の生活への影響が他国に比べ少なく、今までそれらについて触れる機会は多くありませんでした。しかしこちらに来て、イスラム教のハラールのため肉を食べないといった友人や、動物や環境のために菜食主義になった友人と出会い、宗教や考え方の多様性について考えさせられました。

◆ 成均館語学堂

私は前期、韓国語の語学力養成のために成均館語学堂に通いました。もともと韓国語が好きだったことも理由のひとつですが、初めて韓国語の経済の授業を聞いたときに話の内容があまり理解出来ず、語学力が不足していると実感したためです。

成均館語学堂は1級(初級)~6級(高級)までランク別に構成されており、ひとつの級を2か月で習得します。授業は毎日4時間、月曜日から金曜日まであります。また15人程度のクラスで行われ、文法・会話・書き取り・聞き取り・実用といった分野に分かれています。2か月の中で中間テスト、期末テストが実施され、2つのテストの結果で進級できるかどうかが判断されます。

私のいたクラスには中国人、台湾人、ドイツ人、カナダ人がいましたが、授業中の態度や発言などから文化の違いを感じ、とても楽しかったです。また、高校を卒業したばかりで韓国の大学に入学するために韓国語を勉強している中国人の学生たちが真摯に勉強している姿に大変刺激を受けました。授業以外にも、クラスメイトと食事に行ったり、教師の日には先生にケーキをプレゼントしたりと、充実していました。

語学堂では外国人同士で韓国語を使って会話していましたが、意思疎通が思うように取れないことや、自分の言いたいことを言えないことも多く、最初は歯がゆさを感じることもありました。しかし、語学堂で韓国語を勉強して会話を積極的にするうちに、難しい言葉を使わなくとも、言いたいことを表現する力が養われたと思います。

◆ おわりに

韓国での生活も半年が過ぎましたが、半年の間に本当に様々なことがありました。楽しいことだけではなく、つらいことも少なくありませんでした。韓国は日本と近いとは言え、日本とは全く違う面戸惑ったり憤りを感じたりすることも少なくなかったからです。しかし、この経験を乗り越えたからこそ、自分は成長できたと感じますし、何よりも故郷が日本であることに誇りを持てました。

日々の生活の中で、日本にいたとしたら出来なかったことを体験し、また日本にいたとしたら感じることができなかったことを発見し、留学に来て非常によかったと感じています。そしてこのような貴重な機会をいただいていることに本当に感謝しています。

留学生活も残り半分となりましたが、ここでたくさんのことを吸収し、さらに成長できるように努めていきたいです。